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雨降り

幽霊について

「ラ・ラ・ランド」を見て考えたこと

映画

「セッション」も「ラ・ラ・ランド」もこれまでの映画にはなかった夢追い人の描き方をしていると思う。とても変わった作劇方法で、夢を追う人が何かを選んで邁進しているのと同時に捨てているものを映していく。彼ら彼女らが何を捨てているかというと「喝采」風に「故郷」とか「愛」とか、そういうものじゃなくて、人としての「いい感じ」とか、「友情」とか、「行儀」とか「節度」とかそういうもの。そういったものを捨てて、夢を追うってことが、はっきりと「あれかこれか」という感じで問題化されているのではなく、夢を追う中に織り込まれて描かれていくので、見ながらちょこちょこつまずいていく。

週刊文春では絶賛なのに、週刊プレイボーイではそうでもないという具合に媒体で評価が割れるのは、この「ちょこちょこつまずいていく感じ」に対する反応の差なのではないかなと思う。

多分、監督には、私たちの生きているこの世界も、私たちも、全然素晴らしくない、なにもかもみんな、だらしない、醜いっていう主張がある。

そのだらしない人々がだらしない世界で音楽を奏でる。大体は失敗するけど、ごくまれに成功する。それでいいでしょっていう主張がある。

そう考えるとおもしろいなあ、おもしろい映画見たなあっていう気になるんだけど、見ている間は主人公たちと一緒にけつまずいているから、後味が苦い……っていうより、後味がみっともない。何だか恥をかかされたような気分になる。意外と他のどんな映画よりうんざりした気分になるし、自己嫌悪に陥る。

そんなわけで、私にとってはこれからもちょっと要注意の監督で、見る場合は誰かと見に行くようにしようと決心しました。

見る/見ないの二択だったら、見た方がいいと思います!

 

Ost: La La Land

Ost: La La Land

 

 

Whiplash

Whiplash

 

 

ざべすのきまぐれ日記:2017年2月の映画メモ

映画

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こんにちは、ざべすよ。雨子が書けないっていうんで代わりに書きます。

雨子とざべすは今月、DVDや午後のロードショーを入れて大体10本くらい映画を見ました。雨子が風邪ひいてぐずぐずしてたもんで少なめよ。

2月1日(水)ドクター・ストレンジ』『未来を花束にして』@立川シネマシティ

さべすメモ

ざべす、『ドクター・ストレンジ』がとっても気に入ったわ! いちばんだいすき! 最初は気難しそうなお医者さんが出てきて、その人が事故にあっちゃって、いくら気難しくて付き合いづらくても何もこんな目にあわなくてもいいじゃないって思っていたんだけど、その後魔法使いに弟子入りするの。とっても楽しそうだったわ。マントっていうおともだちもできたし。マントが魔法使いの頬をふいてあげるのを見てざべすは泣きました。それから『未来を花束にして』はとってもかわいいカップルが主人公として出てきたのにまさかあんなことになるとは……でも、あの主人公の女の人が同僚の娘さんを助けてあげた瞬間、ざべすは立ち上がってしまいました。「うわーーー!」って叫んでしまいました。恥ずかしかったわ。でも、ほんとうによかったなと思ったの……。

2月6日(月)『アジャストメント』@午後ロー

ざべす、これはよく覚えていません。雨子は好きみたい。

2月7日(火)シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』@DVD

人が大きくなったり、小さくなったりしておもしろかったわ。でも社長さんはとっても気の毒ね。最初のスピーチのときからなんだかかわいそうだったわ。

2月8日(水)アンブレイカブル』@DVD、『スノーデン』@TOHOシネマズ

アンブレイカブル』はすぐ怪我しちゃうおじさんと、どうしても死ねないおじさんのお話。すぐ怪我しちゃうおじさんはかわいそうだったわ。あんなに思いつめるくらいだったらこの世に対する呪詛を日々まきちらしたらいいのに……。『スノーデン』はざべす、寝ちゃうんじゃないかって心配だったんだけどおもしろかったわ。ルービックキューブほしくなりました。

2月10日(月)ザ・コンサルタント』@立川シネマシティ

ざべす、とっても気に入りました。びっくりして椅子の上で飛び跳ねたり、「何してんのよー!」って声を出したりしてしまいました。ざべすは飽きたら途中でやめちゃうことが多いんだけど、この人は最後までやりぬかないといけないの。性格ね。ざべすのお友だちにもそういう子いるわ。

 2月13日(月)『ハプニング』@DVD

雨子は「ま、いいんじゃない」って言ってたけど、ざべす、あのラストはどうかと思うわ〜。はっきりしなさいよ! でもそこまではとってもおもしろかったです。おばあちゃんこわかったわ。

2月18日(土)レディ・イン・ザ・ウォーター』@DVD

なんだかめずらしい映画で、ざべす、楽しかったわ。ストーリーっていう女の人が間違って団地の中に迷い込んじゃうの。その人を帰してあげるために、団地の人たちが一致団結するのよ。ナウシカのような救世主がいないので、とっても大変だったわ。参考になりました。

2月23日(木)『ツーリスト』@午後のロードショー

ざべすは、無理のあるお話だなあって思いました。

2月27日(月)世界侵略:ロサンゼルス決戦午後のロードショー

まじめな映画なんだけど、エイリアンが出て来るの。雨子が言うには「ロサンゼルスの戦い」っていうのが昔あったんですって。昔のことだけど、多くの人が立ち直っていないのね。

 

次回のお茶会に備えて、全員「ツーリスト」を見ておいてほしいということ

映画

*何らかの意味でネタバレしています。

 「フォーカス」という映画がありまして、日本では 2016 年に公開されました。wiki を見ますと「ロマンティック・コメディ・ドラマ映画」という不思議な分類がなされています。美男美女が主人公で、二人の関係の進行とサスペンスの進行が交錯して、アクションなどもあり、楽しいやつということでしょう。わかります。「ナイト&デイ」みたいなのですね。「フォーカス」、スリ場面はピタゴラスウィッチみたいで楽しいし、主人公二人はいい人たちだし、文句なく楽しかったです。それで「2016 年文句なく楽しかったけど別に映画館で見なくても良かった大賞」などと失礼なことを言っていたのですが、最近テレビで「ツーリスト」を見て、この「フォーカス」やトム・クルーズキャメロン・ディアスの「ナイト&デイ」の出来の良さを噛み締めました。

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何かの組織の捜査官(だってほんとにどういう組織かよくわかんないんだもん)のエリーズが、潜入先だったが今は恋人の、なんとかっていう男への捜査を撹乱するために適当にひっかけた旅行者、フランクが実は……というお話。 

美女に美男が巻き込まれてヴェネツィアの街を右往左往するという楽しいお話。

捜査側の間抜けが度を越している(ポール・ベタニーがあんなにマヌケなはずはない)とか、「ほほう!」「そう来たか!」と思えるところが皆無で、見ていてずっと「へ〜」「ははは」といった反応しか出ないとか、オチがいくらなんでもひどいとか(ラストは捜査官が「あれ〜?」みたいな顔しておわり。そこはちょうおもしろい)、そんなところはともかく、見ていてジョニー・デップアンジェリーナ・ジョリーの雰囲気がこの映画にしては生っぽいのが気になりました。重いっていうのか。なぜか微妙にリアル。全然リアルじゃないはずなのに。アンジェリーナ・ジョリーの方は時々おもしろいのでまだしも、ジョニー・デップジョニー・デップと確信を持てない不思議な仕上がりで、「これはおそらく変装で、薄い皮をぺりぺりと剥いで中から本物のかっこいいジョニー・デップが出て来るという趣向なのであろうな」と思っているとラストまでそのまま行くという。

それで一体、このはた迷惑なカップルを誰がやればおもしろかったのか、「あはははは、あ〜くだらない、あ〜おもしろかった」と目に涙をためるに至ったのか考えて、ジョージ・クルーニーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズをおいて他にあるまいという結論に至りました。

 そうそう、この絵面よ。さすが。

てなことを「ツーリスト」を通じて考えるのはとても楽しかったです。お茶会または飲み会の話の種としては最高ではないでしょうか。

この話はここでおしまい。

私がこの手のロマンチック・ラブ・サスペンスみたいなジャンルでおすすめなのは、「デュプリシティ〜スパイは、スパイに嘘をつく」です。

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 クライヴ・オーウェンジュリア・ロバーツの二人組がこんなにおもしろいことになろうとは……。これ、初見時はテレビで録画したのを二回に分けて見ました。あまりにおもしろくてくらっくらっきたせいです。映画館で見ていたら発狂したかも。

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冒頭近く、スローモーションで取っ組み合いをするおじさん二人を見た瞬間から脳のかけがねがはずれ、一時間くらい見てもこの映画の、このお話のどの辺に自分がいるのかよくわからず、「もしかして後 30 時間くらいあるのでは」と不安に襲われ、つい一旦休みを入れてしまいました。おそろしい映画だった。そしてこの恐ろしさに勢いをつける クライヴ・オーウェンジュリア・ロバーツのどこまで本気なんだかわからないがもしかして、もしかしたら、全部本気……? と思わせるうさんくさくも重々しいムード。

おすすめです!

2017年1月の映画メモ

1月5日

  • 『グランド・ブタペスト・ホテル』DVD

1月7日 

1月12日 

1月13日 

  • 『レッド・サン』TV
  • 『拳精』DVD

1月14日

1月18日

  • 人魚姫』シネマート新宿……2017年年初に見るにふさわしい大賞、2017年ベストガール候補、2017年エンドクレジットでびっくりした大賞
  • ドラゴン✕マッハ!』シネマート新宿……2017年斧大賞暫定ベスト

1月19日

  • 『心霊ドクターと消された記憶』DVD

1月20日

  • 『ニック・オブ・タイム』TV

1月21日

  • 『ズーランダー NO.2』

1月22日

1月23日

  • 『カオス』TV

1月24日

  • カリオストロの城』TOHOシネマズ新宿(MX4D)……4D というものを勘違いしていました。3D よりはるかにハードだった。

1月25日

  • マギーズ・プラン』新宿ピカデリー……2017年暫定ベスト、2017年ベストガール候補

1月28日

  • マグニフィセント・セブン』立川シネマシティ……2017年イーサン・ホーク大賞暫定ベスト、2017年ベストガール候補、2017年エンドクレジット大賞候補

1月30日

1月31日

ゾンビもカンフーもいいけど、たまにはサメもね!

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www.ttcg.jp

今年も未体験ゾーンフェス、始まっています。東京は渋谷のヒューマントラストシネマで 3/31 まで。ゾンビやサメもいいけど、キルスティン・ダンストの「チアーズ!」がリバイバル上映されるのが楽しみ。リンゴ・ラムの「ワイルド・シティ 迷城」、ファイヤー・リーの「クレイジー・ナイン 老笠」は必ず見るとして、後はどうしようかな。今年は本数も多いし期間も長いから大変です。

一本目は初春にふさわしく、「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」にしました!

見終わった眼からすると、この予告で相当程度お話がおさえられているので、特にいうこともないのですが、真面目に耳を傾けるとこっちの正気が危なくなるような知見を連発する科学者のみなさんと、「奥の手」=「腕力」なみなさんとの間で、小刻みに震えるチワワのようだが芯はしっかりしていそうな女の子と、「お前ら、何言ってるんだ……」という戸惑いを隠さない船長さんの二人が観客の心の支えです。作中に二人も心の支えがいれば、このジャンルとしては最高レベルのサービスと言えるのではないでしょうか。楽しかったです!

温暖化が進んで、陸地はすべて水没し、生き残った人々は水上生活を余儀なくされています。その模型、じゃなくて、セットはかわいいし、水上スキーみたいなやつは見応えあるし、CGのサメちゃんも活躍しますし、「(不思議なロジックで)死の海になる……」と心配された海ではイルカちゃんが船の横で遊んでいるところがばっちり映ってるしで、基本、くらくらきつつも楽しい。

そしてエンドクレジットで立つ人がいないという、映画鑑賞に身体が馴らされきったみなさんにも賞賛の言葉を送り、まあこの映画についてはこの辺で。

 

よくある話

映画

koinu-story.jp

原題:Wiener - Dog

監督・脚本:トッド・ソロンズ

撮影監督:エドワード・ラックマン

2015 年 アメリカ

ガンを治療中の息子にダックスフントをプレゼントして「何の相談もなしに!」と妻に叱られる男。散歩もしつけもするからと言うが、振り回されっぱなしのある朝…………ところでそのダックスフントが連れて行かれた施設で働く女性、ドーンは犬のあまりのかわいさに……そしてドーンはオハイオに行き……それはさておき……

レミは仰向けに寝転がって半目を開いている。死んだふりをしているように見える。その子にダックスフントをあげる父と、それに反対する母との会話から、レミががん患者で、治療はうまくいっているものの、定期的な検査が必要な身だとわかる。それで、死んだふりじゃなく死ぬ練習をしているのだなとわかる。

レミに、母が犬に避妊手術をしなければならない理由を説明する。この世界はわんちゃんにとってはあまりに過酷だから、彼女が生き抜いていけるように私たちが手助けしてあげるのよとかなんとか。ちょっとおかしなことを言っているな……と母自身がわかっているので、一瞬死んだ目になる。しかしそれを振り払うかのようにオーマイベイビー、悲しまないでとかなんとかそういう傾向のことを言ってハグ。ハグされて、レミも100 % は納得できないので、「なんか変だな……」という顔をしている。

レミ家族のシークエンスが終わると、次は獣医師の助手、ドーンのお話。彼女はちょっと気が弱いけれどいかにも優しそうで素敵な女の子。今度こそハートウォーミングな話に展開するかと思いきや、ばったり会ったブランドンと「オハイオに行くんだけど」「オハイオになにがあるの?」「シャブ」「……」「冗談だよ」「行くわ」という謎の会話を経て旅立ち。

特に会話もなく、ブランドンとの旅は続き、時折「待ってて」と車を停めて待たされる。ブランドンは誰かの家を訪ね、会い、何かを話しているようだけど、どうも門前払いをされているようだ。そのうち……

…………全部書いてしまいそうデス!!

書いてしまったからと言って、特にネタバレということにもならないとは思うんです。そういう映画ではないので。

どういう映画かと言うと、ただ、この映画を見た日から、ブランドンとドーンのことが、レミ家族のことが、売れない脚本家の先生が、その先生にうんざりしていた生徒たちが、おばあちゃんにお金を無心に来ていた孫娘が、そして当のおばあちゃんが、あれからどうしているかな、と気になるというほどでもない温度で気にかかるだけ。震えるほど感動した! というようなことじゃなく、なんとなくずっと、「トッド・ソロンズの子犬物語」と地続きの世界にいる気がする。

一旦口を開くとどうしてもろくでもない言葉ばかりが口をついて出てしまい、思わぬ方向に話が行ってしまってもどうしようもできない。私たち同様に、しょうもない人々が特段糾弾されるわけでも批判されるわけでも、また嘲笑されるわけでもなく、逆に愛されるわけでもなくただスクリーンの中を行き過ぎるのがおもしろかった。一匹のダックスフントのまわりをうろちょろしているだけなんだけど。

2017年、暫定ベスト。

 

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2017年 一本目は「ホワイト・バレット(原題:三人行)」にしました

映画

www.youtube.com

監督:ジョニー・トー

主演:ルイス・クー、ヴィッキー・チャオ、ウォレス・チョン

2016年 香港・中国

強盗が発生し、逮捕にかけつけた警察と強盗団の間で銃撃戦が発生した。強盗団の一人、チョン(ウォレス・チョン)は頭を撃たれ、病院に担ぎ込まれる。手術が始まろうというときに奇跡的に目を覚ましたチョンはなぜか手術を拒否。トン医師(ヴィッキー・チャオ)はたまたま弾が脳の重要な箇所を避けてとどまっているから今は動けているが、危険なことに変わりはない、この 6 時間が山場であると告げる。一方、チャン警部(ルイス・クー)はチョンから証言を得ようとするのと同時に、部下がチョンに発砲した経緯について何とか隠蔽しようと工作を画策する。

きゃー! わからーん!

と思いつつも、最後までどきどきわくわく見てしまった……。

例えば、6 時間以内に手術しないとウォレス・チョンは死ぬ、ヴィッキー・チャオは今すぐにでも手術したい、しかし手術をしたら次に目覚めるのはいつかわからないので、早く証言を取りたいルイス・クーは焦る、ウォレス・チョンはどうしても仲間に伝えなければならないことがあり、それさえ済んだら後はどうでもいいというか何なら死ぬつもり、という三人の間で壮絶な駆け引きが繰り広げられ……といった、ありきたりの話ではま……………………ったくなく、まず、ウォレス・チョンがなぜ手術を拒否するかがわからない。このまま手術をしないとどうも死ぬらしい。じゃあ、警察の支配下におかれている現況と怪我から考えて、もう生きるのを諦めて自暴自棄になっているのかというとそうでもない。生きようとしているし、逃げようとしている。五億歩譲って、麻酔を撃ったときに生じる独り言を恐れる……まあ、どうでもいい! そして、ルイス・クー。部下への伝達ミスでウォレス・チョンを部下が撃ってしまったのだけど、その隠蔽工作と根回しに必死で、捜査はそっちのけ……というわけではないものの、何かこう、不可思議な行動を重ねる。なぜか人員を一箇所に送りたがる。「罠だ」が口癖。真顔で。さらにヴィッキー・チャオヴィッキー・チャオで、事件とは無関係に治療でうまく行かないことが重なり、帰宅を命じられる。が、なぜか帰らない。越権行為などもする。ここに、全然関係ない患者さんの院内徘徊行為なども加わり、しっちゃかめっちゃか。

これらに??????という感じになりつつも、こっちでおじさんが謎の窃盗行為をし、そっちでラム・シュがお尻を刺され、あっちでヴィッキーが薬をすり替え、などするその一連の流れが奇妙に音楽的で、間とテンポが良く、身体の方は素直に楽しんで映画を見てしまう……。

「これ、好きでしょう?」という幻聴がする……いや、断固拒否する!!

そして、ああ、そういえばジョニー・トーには「ダイエット・ラブ」っていう変な映画があったな、「フルタイム・キラー」だってえらいことになっていたな、「ターンレフト・ターンライト」だってびっくりしたな……などと映画的走馬灯がぐるんぐるん周りだし、そうだ、「香港、華麗なるオフィスライフ」だって不思議だったし、きっとジョニー・トーは新たな階段を登っているんだ、また何かの途中なんだ、と思うよう、自分に言い聞かせ、映画館を出ました。

2016 年に映画館で見た映画

映画

ベストテンや各賞は2016勝手に映画ランキング! inハイク - はてなハイクに書きました。2016 年は、おもしろい映画がたくさんあって、もしかして走馬灯でも見ているんじゃないかと不安になるほどでした。2017 年も健康に気をつけて映画館詣でを続けたいです。

以下は 2016 年に映画館で見た映画一覧メモです。57 本見たのかな。書きたいこと、他にいくつかあったけど、もう松も明けるし、去年のことはこれでおしまいにします。

 

2016 ベストワン候補

  • この世界の片隅に……後から思うと、テンポがはやいのも良かった。考えるのは後からゆっくりでも良いし、頭を真っ白にしてただ見るという体験ができたのが良かったんじゃないかな。
  • サウルの息子……カメラがすーっとサウルに焦点を合わせた瞬間からずっと、息が苦しかった。
  • ハドソン川の奇跡……始まった瞬間はっとした、あの感じが忘れられない。
  • 裸足の季節……主人公が逃げ出そうとするときに、内と外をひっくりかえすこと、「行かせてやれ」という声が、彼女を閉じ込めていた側の人間からあがることなんかが印象的だった。
  • ベストセラー……仕事に献身するということに当然ついてくる様々なことがゆっくりと描かれる。ハードだけど、優しい映画でした。
  • ブルーに生まれついて……事実を元にしたという感じが薄い。ゆるくない、ハードな物語。イーサン・ホークが今まで出してこなかった声を出している。
  • タイガーマウンテン 雪原の死闘……記憶と史料、歴史、そして物語の関係を生き生きと描いていて、素晴らしかった。
  • キャロル……キャロルが主人公でなくなりそうな雰囲気があった。くるくると視点が変わるような、視線の行ったり来たりの過程で映画そのものが変質してしまいそうな危うさにどきどきした。
  • リリーのすべて……映画冒頭のリリーたちの間にあった、創造的で、二人で闘いながら生き抜いていくのよ、幸せになるのよ、という雰囲気が、もう戻ってこないとわかってからも、一瞬でいい、戻ってきてくれないかと思いながら見ました。
  • ヘイトフル・エイト……時折誰かが口にする「お前の話を聞かせてくれ」という言葉が終盤に行くにしたがって大きく反響していって、あのラストになる。
  • マネーショート 華麗なる大逆転……映画なんだけど、本を読むような楽しさがある。
  • ボーダーライン……自分が日常、その中で考えている法や論理が通用しないところにぽーんと放り込まれる、その放り込まれ方があまりに静かでびっくり。
  • スポットライト……それぞれの立場、それぞれの見え方が無理なく、穏やかに共存したかたちで描かれていて上品だった。
  • アイ アム ア ヒーロー……原作より上品で大人っぽい仕上がり。
  • クリード チャンプを継ぐ男……欠点がない、完璧な映画だと思う。
  • 貞子VS伽倻子……最高!
  • ヒメアノ~ル……もう麦茶は飲めない。この映画が残した傷は深い。
  • 暗殺……チョン・ジヒョンが大好きになった。
  • シング・ストリート……長男大賞。

 

2016 ワンじゃないけどベストテン圏内候補

  • ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー……主人公の三人が、私は好きだった。私にとってはとても魅力的な三人だった。
  • ブレイク・ビーターズ……甘酸。ラストがすごくいい。
  • スター・ウォーズ / フォースの覚醒……レイの前で神話が歴史になる瞬間がクライマックスになっているのが良かった。
  • オデッセイ……疲れているときに見るといいと思う。
  • ノック・ノック……主人公は何の落ち度もないのに酷い目に遭う。そのひどい目に遭う彼に対して、いらっとしたり、時には笑ったりしてしまう……。キアヌ・リーヴスでなければ成り立たなかった。
  • ストレイト・アウタ・コンプトン……147 分もあるように感じなかった。実話をもとにしているせいか、アップダウンが上品だった。
  • レヴェナント:蘇りし者……あそこまでやっといて、最後のショットでああなるっていうのが、いいなと思ったよ。

 

2016 欠点はあるだろうけど私は好きだった群

  • 香港、華麗なるオフィス・ライフ……いやもう、びっくりした。すごい映画だった。
  • 湾生回家……こればっかり見てたらいけないとは思うけど、これはこれで撮られて、公開されて良かった。
  • ジェイソン・ボーン……映像も音楽も不躾な中、ボーン本人の強さがきらっとしていておもしろかった。
  • グランド・リジュージョン 見破られたトリック……疲れているとき見たらいいと思う。
  • インサイダーズ / 内部者たち……映画全体が粘り強くて良かった。
  • ダーティ・コップ……ラストがちょっといい。いいニコラス・ケイジ
  • ゾンビスクール!……「この人、ひとっつもいいところないな〜」っていう登場人物はいないので、わりと最後まではらはらどきどき楽しいです。
  • ロブスター……ルールのわからないゲームに途中参加するような不安が味わえます。ラストはシニカル。
  • マネーモンスター……おもしろかった。
  • 探偵なふたり……これわりときっちりおもしろいのでおすすめです。
  • プリースト 悪魔を葬る者……すごいテンポがはやくて「うわあ」とびっくりします。エンドクレジットでは主人公たちが朗々と歌います。
  • 私の少女時代 - OUR TIMES -……まあ、すごいです。甘酸。天使役でアンディ・ラウが。
  • 華麗なるリベンジ……あんまり華麗ではないんですが、主人公たちは魅力的だし、ラストもさわやか。
  • 弁護人……これがヒットしたという事実がたいへんに重いです。
  • エブリバディ・ウォンツ・サム!!……縁もゆかりもない、体育会系のうかれたみなさんの、人生最高に調子乗ってる数日を見るという不思議な体験。
  • 君の名は。 ……予告と全然違う、予想外にきちきちーと組んである話なので、予告で「なんだいれかわる話か」と思って見てない人は、見た方がいいんじゃないかな〜。
  • メカニック ワールドミッション……前作では趣味がクラシックだったステイサム。今作ではロックに。お金がなくなったようです。それでも素敵。
  • DENKI GROOVE THE MOVIE ? 石野卓球ピエール瀧……ガラの悪い仙人の活動をぼんやりと見ることができます。

2016 リバイバル上映なのでどう位置づけていいかわからないけど傑作群

  • ブリーダー……マッツがどえらいことになっているので、みんな見てほしい。
  • 黒衣の刺客……映画館でかかる度に見たい。「解ける」ことをこんな風に映すなんて。
  • 悲情城市……何度見ても不思議なおもしろさ。
  • ロシュフォールの恋人たち……いちいち踊ったり歌ったりしないと次のステップにすすめない恋人たちに幸あれ。
  • めまい……いやもう、何もこんなに主人公をひどい目にあわさんでも。

 

2016 好みかと聞かれればわからないけど、おもしろかったし、文句はないというか、何なら賞賛したり、人に勧めたりしても構わない

  • マイケル・ムーアの世界戦略のすすめ……まじめな映画で、誰にでもおすすめできます。

 

2016 それ以外群

  • ドラゴン・ブレイド……ジャッキー・チェン、色々大変なのかなあとか思った。
  • サウスポー……編集で何か無理をしたような印象でした。
  • FAKE……全体にだらしなかった。
  • シン・ゴジラ……苦手なかっこわるさだった。
  • すれ違いのダイアリーズ……すごろくみたいな話だった。
  • 神なるオオカミ……回復不能な、やったらいけないことをやって、それを映しているのに、なんとなく許されるのが気持ちわるかった。
  • ヘリオス 赤い諜報戦……何でヒットしたのかさっぱりわからなかった。ゆるゆるに見えた。ニック・チョンにあんなことをさせる映画界に腹が立った。

ざべすのきまぐれ便り

今週のお題「2017年にやりたいこと」

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こんばんは。

ざべすよ。

雨子が忙しいっていうから代わりに書いているわ。

雨子、忙しいっていうけど、今年のぎょうむはぜんぶ終了しているらしいわよ。後は本読んでお酒飲んで寝るだけですって。優雅ね!

ざべすはこう見えても色々忙しいの。

きぜわしいっていうのかしら。

雨子って気がつくとぼんやりしていて、なんにもしないのよね。だから代わりにばんごはんのメニューを考えたり、おやつの時間を教えてあげたりしているのよ。

ざべす、そんな雨子につれられて、2016 年はたくさん映画を見ました。

おもしろいのもあったけど、眠たいのもあったわ。

ざべすは「貞子VS伽椰子」がおもしろかったわ! 客席で興奮して立ち上がっちゃった。立ち上がってもざべす小さいから影響ないんだけど、本人としては驚きました。まほうつかいみたいな男の人が出てきてね……これ、言っちゃっていいのかしら? だめかもしれません。

ざべすは来年、映画以外にももっとたくさんおでかけしたいの!

素敵な喫茶店とか洋館とか行きたいわ。

それに100歩譲って、映画に行ったとして、帰りはどこかでおいしいもの食べましょうよ。映画館におむすび持っていくのなんて、もってのほかよ!

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(こういう感じのところですか?)

レトロすぎるわよ!

もう!

そういうところばっかりじゃなくて、来年はもっときらきらしたところにお出かけするのよ!

 

ではおやすみなさい。

みなさま、今年は雨子がお世話になったわ。来年もよろしくお願いするわね。

どなたさまも良いお年を。

 

Based on a True Story 2016

" (Movie) based on a true story" の但し書きを目にすると、それを見るかどうかかなり迷います。映画を見るまでの手続きがめんどくさいし、見た後も「あー、おもしろかった!」で済まないし。

まあでも、そうでなくても大抵は「あー、おもしろかった」では済まないのですが……。

 

11 月 26 日@立川シネマ

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原題:Genius

監督:マイケル・グランデージ

編集者マックスウェル・パーキンズの元に、まだ無名だったトマス・ウルフの原稿が持ち込まれた。パーキンズは編集者として献身的に作品作りに打ち込み、トマスもそれに応え、第一作『天使よ故郷を見よ』が完成した。それはベストセラーとなった。

コリン・ファースジュード・ロウニコール・キッドマンガイ・ピアースローラ・リニーといったスター俳優たちのきらきらした姿が見られます。みんな好き放題、やりたいように演じている感じで、生き生きしている。「扱いにくい天才」という主題が過去のものになりつつある現在だからこそのバランスがあって、ゆっくりと見ていられる穏やかさがありました。上手く言えないのですがメモ的に書くと、時々映画を見ていて発生する、追い詰められるような、おどされるような感じと無縁で、それがとても良かった。ゆったりと考えることができました。

 

11 月 26 日@立川シネマ

borntobeblue.jp

原題:Born to Be Blue

監督:ロバート・バドロー

チェット・ベイカーがヘロインに溺れ、売人たちに殴られ顎に大怪我を負い、再起不能と言われた時期、そばにはジェーンという女性がいた。

「6才のボクが、大人になるまで。」や「ビフォア・ミッドナイト」  といったリチャード・リンクレイターとの長い共作が終わった後のイーサン・ホークは「ドローン・オブ・ウォー」といい、この作品といい、それまでは演じたことのなかったタイプの人物、演出に挑戦しており、それらがことごとく成功している印象で、ちょっとすごいと思っています。この「Born to Be Blue」は実話に材を取ったとは思えないシャープな仕上がりで、とてもおもしろい。含みやはぐらかしがなく、ただただ痛ましい。「偉大であれ」という声に、自らの不幸で応じるという倒錯があって、ひたすら悲しい。

 

 

11 月 30 日@シネマート新宿


映画『弁護人』予告編

監督:ヤン・ウソク

2013 年 韓国

1980年代、軍事政権下の韓国で、高卒から弁護士となり、税務弁護士として日々の糧を得ていたソン・ウソク(ソン・ガンホ)は、食い詰めていた若いころから世話になっていた食堂の息子ジヌが国家保安法違反容疑で逮捕されたことを知る。かつては大学生がデモをすることにすら批判的だったウソクだが、実際によく知るジヌが逮捕され、拘置所に出向いて彼の心身に拷問の後を見ることで、衝撃を受ける。その裁判を通じて彼は法を司るものとしての意識に目覚めていく。

韓国の五人に一人が見たという大ヒット映画。弁護士時代の盧武鉉元大統領が担当した冤罪事件「プリム事件」を元にした物語で、苦学の末に資格を取り、税務専門の弁護士として成功していたウソクが民主主義に目覚めていく過程を追う。

おもしろかった。ウソクが世話になった恩人の息子、ジヌの苦境を目にして一も二もなく弁護を引き受けてしまうその速度、つまり、人の尊厳がふみにじられる現場で尊厳の回復に尽力することに目覚める速度がおもしろかった。ウソクは実際にジヌの拷問の跡を目にするまでは行ったり来たりするのだけど、一度目にしたら、思考の質自体が変わってしまう。その一線を越えたら、後はもう、話はシンプル。

映画のそこここに繊細な工夫があって、観客が笑顔を浮かべて映画館を出られるよう尽力しているなと感じました。映画が「傷ついた人々」を観客として想定しているなとも感じました。

 

というわけで、今年見た実話ものは結局どれもとてもおもしろかったし、「ハドソン側の奇跡」も含めて、個性的で、後々まで色々と考えたり調べたりせずにいられないところまで全部、おもしろかったです。