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雨降り

幽霊について

「この世界の片隅に」

11 月 15 日@立川シネマ


映画『この世界の片隅に』予告編

エンドクレジットの後、この映画に出資した方々の名前が流れるのですが、エンドロールのときもそのときも客席から誰も立ち上がらず、灯りがついてやっとゆっくりとみんな立ち上がり、そこここで涙が止まらないような人もいて、こういう体験はなかなかできないなあ、一生でこれが最初で最後かもしれないなあと思いながら歩きました。

この映画を人に勧めるときに「反戦映画ではない」とわざわざいわなければならないというのは、あまりにもナイーヴすぎじゃないでしょうか。この映画は「◯◯映画ではない」といった条件がつくような、構えの小さなそれではないと思います。おそらくは、政治的な主張をプロパガンダする映画ではないから(気楽に)みんな見てほしいという意味でそういっているのでしょうけど、この映画を見た後ですらそんな反応が出るほど、「戦争を全力で避ける」といったことが口にしづらい状況になっているということで、こうなってしまうとほとんど戦時中にいるのと変わらないと思います。「反戦映画ではない(から評価できる)」と主張しているときに(おそらく図らず)採用しているその政治的態度を一度じっくり検討してみてほしいなと思います。

この世界の片隅に」は、これまで第二次世界大戦及び戦争そのものについてなされてきたいろんなレベルでの、厖大な「語りそこね」(例えばその中には、戦時を生きた方々について「昔の人はえらかった」という言葉で済ますということも含まれます)があって、それらの失敗をも全部包み込むような、大きな構えの映画です。反戦映画であり、冒険映画であり、恋愛映画であり、戦争が終わっても、戦争から逃れられず、戦争に傷つきつづけている私たちへの贈り物です。

 

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

 

 

 

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

 

 

 

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

 

 

 

2016 年の秋は脈絡なく映画を見ていました

映画

2016 年の秋は来る日も来る日もずっと雨か曇りで、いわゆる秋晴れを味わわないうちに冬に突入してしまいました。でも、そんなことも後で思い返せば、「えっ、そうだったけ?」てなことになってその時目の前にある気象状況に心が移っていくだろうと思っていたのです。

が、あまりにきついと忘れられないものですね。あの、くさくさする日々を今もありありと思い出します。きつかったあ。あまりにくさくさしていたので、よく考えもせず、隙を見計らっては突然映画館に赴いて見た秋映画は、もう全然脈絡なかったです。

 

9 月 30 日 @立川シネマ サメとしてのジェイソン・ステイサム

mechanic-movie.com

原題:Mechanic:Resurrection

監督:デニス・ガンゼル

2016 年 アメリカ

「メカニック」とは殺し屋ビショップ(ジェイソン・ステイサム)の呼び名である。殺し屋家業から足を洗い、音楽と酒の暮らしを堪能していたビショップの前に、かつてともに訓練を受けた幼馴染、クレインが現れる。

 ワールドミッションなので地球を縦横無尽にステイサム様が駆け巡るのだけど、どう見てもスタジオにしか見えないというか、最近ではサメ映画でしか見たことのなかった白いスクリーンをバッグにしたアクションなどを見て胸が熱くなりました。心の支えは世界の美丈夫、ジェイソン・ステイサムのサメ感。海からざっぱーーーんと出て来るステイサムがおもしろかった。今年は新作のサメ映画を見逃していたので、「ああ、今ゴージャスなサメを見ている」と思えて嬉しかったです。

 

9 月 30 日 @立川シネマ 至高

wwws.warnerbros.co.jp

原題:Sully

監督:クリント・イーストウッド

2016 年 アメリカ

2009 年 1 月 15 日、マンハッタン上空 850 メートルでエンジンコントロールを失った航空機がハドソン川に不時着した。乗客乗員 155 人は無事だった。英雄と報道された機長(サリー)、副機長(ジェフ)はしかし、ハドソン川不時着の判断が正しかったのか、国家運輸安全委員会から厳しく追及されていた。

始まった瞬間から「あっ」という感じがする。普段見えていないものを今、まざまざと見ているなという感じ。基本的にシーンとしていて静かで、青みがかった冬の映像がひんやりとしていて、サリーが大勢の人々に囲まれたり、国家運輸安全委員会で追及されていたりするときですら静謐な雰囲気で、衝撃の 208 秒が繰り返されるというのに落ち着いて、じっくり見られる。落ち着いてじっくりと見られるけれども、片時も目が離せない。すごくおもしろかった。これはほんとにみんなにおすすめ。サントラも買いました。今年一番のお気に入り。

 

10 月 7 日 @TOHOシネマ新宿 スタイルとしての不躾さ

bourne.jp

原題:Jason Bourne

監督:ポール・グリーングラス

2016 年 アメリカ

ニッキーがジェイソン・ボーンにコンタクトする。CIA が世界を監視するための極秘プログラムを走らせたこと、そしてボーンの父についてのある情報を携えて、ニッキーはボーンに会い、そいて……

初めてボーン・シリーズを見ました。とてもおもしろかった。弱気なようでいて不躾なカメラは、ちょっとふらふらした後突然人物に近づく。その不躾さは音にも現れていて、不快なノック、雑音まがいの音楽と、映像と音響の文体が一貫しているのがおもしろいなと思いました。でもその後にシリーズの最初から見てみたら、それ以上におもしろくて、遅ればせながらファンになってしまいました。

 

10 月 16  日 @立川シネマシティ 早く大人になりたい子どもたち

gaga.ne.jp

原題:Sing Street

監督:ジョン・カーニー

2015 年 アイルランド、イギリス、アメリカ

父親の失業で公立校に転校させられた14歳のコナーは、転校先で早速不可解な校則やいじめっ子への対応に追われていた。さらに両親の離婚は時間の問題で、最悪の日々。兄と一緒に見るミュージックビデオだけが楽しみだった。そんなある日、コナーはラフィナに恋をする。そして自分のバンドのミュージックビデオを撮るから、それに出てくれと話しかける。コナーは大急ぎでバンドをつくり、練習を重ねる。

 早くおとなになりたいと思っている子どもたちが主人公で、彼ら彼女らができることと言えば夢を見て、その夢を形にしていくことだけで、暮らしが貧しければ貧しいほどその夢は突拍子もないものになり、そこへ向かうのも驚くべきパワーが必要になる、ということを体の隅々まで納得できる映像の連続。おもしろかった! 中でもラフィナがとても魅力的で、ラフィナの美声がなければコナーくんだってあんなにがんばれなかったと思う。

 

10 月 27  日 @シネマート新宿 「テンポがいい」をほんの少し逸脱するスピード

 監督:チャン・ジェヒョン

出演:キム・ユンソク、カン・ドンウォン、パク・ソダム

2015 年 韓国

キム神父はヨンシンが悪魔に取り憑かれたことを知り、悪魔祓いに尽力するが、助手に次々と逃げられてしまう。そこで、神学生アガトが補助司祭に選ばれる。

ちょうどこの映画を見る直前に、BBCニュースで悪魔祓いが取り上げられていて、その中に、神父さんの次のような言葉がありました。

信仰のない人は悪魔も信じていない。しかし神を信じる人は、悪魔は存在すると知っている。聖書にも書いてある。その上で今の世の中の状態を見てみれば十分だ。これほどひどかったことはない。あまたの暴力行為は人間のやることではない。たとえばISのように。本当にひどい。

www.bbc.com

これ、事前に読んどいて大変参考になりました。映画も「信仰のない人は悪魔も信じていない」ということが前提になっていて、一件不良神学生である主人公が補助に選ばれるのも、実は信仰に篤いからこそ悪魔を感じ取れるという能力を買われてのことで、更にはそこに元々ある土着の様々な信仰が入り込んでごった煮状態のところで悪魔祓いが行われるというところにおもしろさがありました。

テンポが予想より若干程度早く、実感として、「息をつく暇もなく」よりも更にワンテンポ速いタイミングで事態が推移するので、ほんとにびっくりして「わあ!」と声を出してしまいました。主人公が賛美歌を歌うシーンなんか、何ならそれで映画一本つくれるんじゃないかというくらい美しいのに、あっという間に終わる。

好きなゴースト(1)

音楽 映画

テレビで「蛾人間 モスマン」という秋らしい映画が昼日中からかかっていて、あやうく見るところでした。そのときたまたま時間がなくて、見ていたら約束に間に合わないというところだったのですが、「蛾人間 モスマン」の字面の引力がすさまじく、誘惑に負けそうでした。

「蛾人間 モスマン」は二年前にテレビで見ました。チャラ子たちとチャラ男たちが高校卒業かなんかにあたってキャンプできゃっきゃとやっていると事件が起こり、というか「起こし」、楽しい気分は一変、互いに互いを監視しあわなければならない状況に。主人公キャサリンはそこから逃げ出して、遠い街で新聞記者になって楽しく暮らしていたのですが、故郷で行われる「モスマンフェスティバル」を取材に行けと命じられてしまいます。のこのこと忌まわしき故郷に帰って、かつての友人たちと互いをゴーストのように眺める日々、そしてモスマン伝説が動き出す……というお話。

「なんでその流れで突然モスマン出てきた」

と思われるでしょうが、そういう街なのでしょうがないのです。主人公の子の図太さ、肝の太さ、そして体の厚み、きりっとしたラスト……おやっ、もしかしておもしろかったのかな?

捨てた故郷に帰るとお定まりの災厄が……災厄は自分か? という、そんな曲が BECK にあります。2005 年リリースの『Guero』に収録されている「E-pro」。♪ don't forget to pik up what you sow という声を果たしてキャサリンがまじめに考えたことがあったかどうか、「もう十分苦しんだ、忘れていい」みたいなセリフがありましたがな、キャサリンよ、五億歩譲ってそれを被害者がいうのならまだ聞きようもあるが……♪ I won't give up that ghost……おすすめです!

www.youtube.com

これは Homelife が「Ghost Range」というタイトルでリミックスしています。そちらもキュートでおすすめです。

生まれ育った場所を離れるのはパワーがいるので、一度出たらなかなか戻りたくないのはわかります。が、ずっと放置しているとあっちにもこっちにもゴーストが育ってわやになるので気をつけようというお話は映画でも小説でも定番です。「行って・帰る」のちょびっと複雑なやつ。

最近の映画では、「マーゴット・ウェディング」(原題:Margot at the wedding、監督:ノア・バームバック)、「ジャッジ 裁かれる判事」(原題:The Judge、監督:デヴィッド・ドブキン)が印象に残っています。

 

マーゴット・ウェディング [DVD]

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 マーゴットは、ずっと会っていなかった妹の結婚式のために故郷に帰ってくる。緊張するみなさん。緊張するマーゴット。明るくてマーゴットとは正反対に見える妹と、時折流れる姉妹らしい、共犯者のような雰囲気。冴えない妹の婚約者。マーゴットはひと目見て嫌いになる。不気味な隣人、不気味にもほどがある。関係を修復しようとやってくる夫。全部わかってるけどわかっていないことにしている子どもたち。そんな話なんだけど、時折ぶほわっと笑ってしまう。特に主人公姉妹の、お互い大嫌いだし憎み合っているけど二人で話していると笑っちゃう感じが良かったです。

「マーゴット・ウェディング」は大人が久しぶりに帰省したときの気まずい感じや、気持ちがずっとどたばたしている感じ、自分が幽霊になったような違和感などが丁寧に描かれていて、時々思い出してしまいます。

 

ジャッジ 裁かれる判事」は父と息子の関係に絞られている分だけぐっと「お話」寄り。

 家族と仲違いをしている弁護士のヘンリーに、母の死が訪れる。久しぶりに橋を渡り、故郷に戻る。タイヤショップを経営する兄、いつもカメラを回している弟、謹厳実直な判事である父。その父が裁判にかけられる事態になり、ヘンリーは彼を助けるために尽力するのだが……。

橋の向こうは別世界。ヘンリーにとって、橋の向こうはゴーストうごめく世界で、その中にはかつての自分もいる。しかし帰ってみるとそこにいるのはゴーストではなく、人間たちで、むしろ自分自身の方が幽霊であるような気がしてくるのでした。

諍いをしたまま大人になり、さらには中年になってしまった息子と父の話で、ちょっと神話めいた雰囲気が魅力。その神話めいた雰囲気で、ヘンリーが義務を負い、犠牲を払うことに説得力が加わる。今まで何度となく聞かされてきた話なのに、新鮮だし、深く納得できる不思議な映画です。

おすすめです!

 

蛾人間モスマン [DVD]

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夢がある

グランド・イリュージョン 見破られたトリック」

原題:Now You See Me 2

監督:ジョン・M・チュウ

2016 年 アメリカ

巨大 IT 企業の個人情報をめぐる不正を暴露するためショーを仕掛けたフォー・ホースメンが逆に仕掛けられてしまい、ディラン(マーク・ラファロ)は FBI 捜査官という地位を失い、追われる立場に。彼らの先手を取り、策略に落とし込んだのは、天才エンジニア、ウォルター・メイブリー(ダニエル・ラドクリフ)、目的は復讐だった。

「先手を取っているつもりが、取られていて、頭に来たのでさらにその先手を取った」というお話なのですが、現実では「先手を取る」ってそういうことじゃなくて、「ロジックを変える」とか、「前提を再検討する」とか、そういう作業をするわけですよね。でもこの人たちは律儀に同じライン上の後先を行くのです。それを馬鹿みたいだと取るか、律儀だと取るかは見る人の構え次第なのですが、私は、「夢がある」と思いました。

登場人物はほぼ全員、出てきた瞬間、イラッとさせられるタイプ。イラッとかムカムカッとか。特にジェシー・アイゼンバーグ演じるアトラスとダニエル・ラドクリフ演じるメイブリーはファースト・カットから不安になる。アトラスはかりかりしているし、メイブリーは不気味すぎる。でもなんとなく、結局のところいい奴そう。そんな感じ。そういう安心感があるのは俳優の力量やムードもあるけれど、何よりこの映画のベースにシニカルさがないからだと思う。大人のシニカルにはもううんざり、っていう人には楽しい映画なのでは。

今目に見えている世界とは別のロジックで動く人々がいると感じること、いつも自分は誰かに見守られていると信じること、それから、その悲しみはいつか癒されると信じること。そういう素朴な水準で夢がある話。

続編ものによくある、話がこんがらがってしまって、ひたすらめんどうになる感じもなく、話が早い。豪快で素朴。登場人物たちは幼いけれど真剣。

これはこれで、いいんじゃないかな。

「この登場人物はいてもいなくても話に影響ないな」という人物が数人いたり、話を動かす主要登場人物に女性がいなくて絵面がむさ苦しかったり、二回見ると粗が見えてきそうだったりするのが強いて言えば残念なポイントだけれども、ちょっと映画館でゆっくり休んで頭の中じゃぶじゃぶ洗いたいっていう感じで見るとなかなか良いのではと思います。

夏は青春映画を見ていました

映画

7/13 (水)

原題:Dessau Dancers

監督:ヤン・マルティン・シャルフ

2014 年 ドイツ

1985年、東ドイツ。テレビでふっとブレイクダンスを目にしたフランクはあっという間に心を奪われる。同じように「踊ってみたい」と言い合う友人たちとトライを重ねて、路上でダンスを踊るうち、仲間も増えた。それが「非社会主義的」だとして摘発を受け、路上でのダンスが禁止されていく中、フランクのチームは政府公認の芸術集団として踊る道を選択し、人気を博していった。

ザ・青春映画。「大人はわかってくれない」、漠然とそんな気がしていた主人公たちが「そういう問題ではありませんでした」と気づいていく終盤が爽やかで良かったです。

 

原題:ヒメアノ~ル

監督:吉田恵輔

2016 年 日本

清掃会社で働く岡田は、同じ会社の先輩にせがまれて、彼が好きだという女性に声をかけた。しかしその女性は近頃ストーカーに悩まされており、その相談を聞くうちに岡田は彼女と付き合うことに。

一方その頃……。

これはこれでザ・青春映画……。うああああ、としか言えない。すごい。これを見たら基本的にもう、一生麦茶は飲めない。おすすめですが、麦茶が飲めなくなります。

 

8/5 (金)

原題:暗殺 Assasination

監督:チェ・ドンフン

2015 年 韓国

1933 年。親日派暗殺のため上海に招集された韓国臨時政府の精鋭 3 人。しかし暗殺計画は日本軍に漏れており、臨時政府警務隊長ヨムに密偵の疑いがかけられる。ヨムは密偵の汚名をそそぐため、軍隊にも臨時政府にも属さない殺し屋を雇う。

冒頭のヨムの華やかさ、まっすぐさに 2 時間後、胸をかきむしられる。とにかく、最初から最後まで見る人々を慰め、楽しませることに尽力した映画で、あっという間の 2 時間。「見る人々」として、私たちも想定されているだろうと思える、しっかりとした倫理観に裏付けされた、ポップな存在感をたたえた映画。

 

8/14 (日)

原題:The Trust

監督:アレックス・ブリューワー&ベン・ブリューワー

2016 年 アメリカ

ウォーターズは猫と二人きりで暮らす日々に慣れず、警察の仕事にも情熱を失い、ぼんやりとした日々を送っていた。そこにドラッグ絡みの、表に出せない大金の情報を掴んだ同僚のストーンがその金を奪い取ろうと持ちかけてくる。ウォーターズは聞かなかったことにできず、ずるずると……。

近年、悲惨な仕上がりの続いたニコラス・ケイジもので久しぶりにおもしろかったです。相手役はイライジャ・ウッドで、全くバディ感を発生させないこの二人組がずさんな計画を立て、だらだらと沼に歩を進めていく様にぐらんぐらんするような気持ちを味わいました。イニシアチブを取り合う……わけでもないけれどなんとなく、主導権があっち行ったりこっち行ったりするうちに、なんと……!

 

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「ブリーダー」

原題:Bleeder

監督:ニコラス・ウィンディング・レフン

1999 年 デンマーク

レニーが働くレンタルビデオ店にレオがやってきて、妻が妊娠したと言う。レニーはおめでとうと言い、レオは礼を述べるが、子どもが生まれることに対する不安から、次第に言動がおかしくなっていき、妻に暴力を振るい出す。妻の兄ルイスはそのレオに激怒し、さらに暴力を振るう。それはとどまるところを知らず……。

一方、そのころレニーは……。

友だちが大変なことになっている間、レニーは好きな女の子ができて、彼女に声をかける、かけないで大騒ぎし、かけたらかけたでデートに誘う、誘わないで右往左往、誘ったら誘ったで、デートに行く、行かないで困惑しきっていました。でもレニーにとってはそれも大冒険。それがレオたちのバイオレンスな成り行きとあまりにかけ離れているので落差が大きいけれど、でもレニーの話はレニーの話なりにハードなのです。

 

原題:華麗上班族 Office

監督:ジョニー・トー

2015 年 香港・中国

株式上場を控えたジョーズ & サン社。新入社員のシアンとケイケイは日々あたふたと業務を学んでいる。チャン社長はホー会長の愛人との噂だが、副社長デイヴィッドとの関係も噂になっている。デイヴィッドは実は横領に手を染めており、上場前にそれをなんとかしようと経理のソフィに近づいていき……。

と、全くフレッシュさを感じないあらすじを書いてみましたが、全編これが不思議なセットの中で展開するミュージカルなのです。ほとんどのセリフが歌で、そのため、内心がばんばん、高らかに歌いあげられます。ジョニー・トーの映画では異例中の異例。登場人物の内心が聴けるなんて。溢れる愛と優しさ、情熱、そして後悔、憐れみ。素敵だったわ。

 

8/18 (木)

原題:シン・ゴジラ

監督:庵野秀明樋口真嗣

2016 年 日本

東京湾アクアラインでトンネル崩落事故が発生し、政府は情報が得られず対応が取れないでいる。矢口内閣官房副長官は巨大生物の存在を口にし、対応を求めるが、黙殺される。そんな中、謎の巨大生物が蒲田に上陸した。

子どものころ味わっていた、自分は到底生きていけないだろうという不安を再び味わいました。大人になっていて良かった。じゃなかったらこの映画をきっかけにひきこもっている。すごく人気のある映画で、その盛り上がりに乗れないのは残念ですが、そういうこともある、という気持ちです。あれが蒲田の上陸したときのルックスは好きでした。

晩夏のヘビーローテーション

I hate the world today,
You're so good to me I know,
But I can't change.

と、始まるこの曲を YouTube で見つけて、「あれっ、なにこれ!」と気に入って毎日毎日聞いていました。

Room Eleven のデビュー・アルバム『Six White Russians and a Pink Pussycat』は 2006 年リリース。それが、経緯はわかならいのですが、2007 年に数曲のカバーとライブ録音を加えて再発売されたのですね。「Bitch」はその時のバージョンに収められている曲。

2006 年の最初のバージョンを持っているので、あらためて買うのも何だしな、と YouTube で我慢するるもりだったのですが、むくむくと、夏の夕方のこの部屋で、ちゃんとしたスピーカーで聞きたい! という気持ちが抑えられなくなり、中古盤を購入することにしました。

ウィ・ラヴ・ルーム・イレヴン(初回限定盤)

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  • アーティスト: ルーム・イレヴン
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" I hate the world today, You're so good to me I know, but I can't change." といった言葉はこれまで何度も何度も聞いてきたし、そういう気分になることも数限りなくあったけれども、これほどすーっと、聞き入れたい、そばにいたいような気分になる "I hate the world today" は初めて。

このバンドは今はもう解散しているのですが、ヴォーカルのヤナ・スクラ(Janne Schra)はソロで活動中で二枚のアルバムを出しています。

 

この人の、寂しそうだけど機嫌の良い感じが気にいって、この夏は狂ったように聞いていました。

秋になっても聞くでしょう。 

 

Janne Schra

Janne Schra

 

 

ポンゾ

ポンゾ

 

 

コーヒー映像千本ノック (7) コーヒーカップが待ち構えている

コーヒー 映画

『RONIN』

原題:RONIN

監督:ジョン・フランケンハイマー

1998 年、アメリカ

パリ、モンマルトル。夜更けにサム(ロバート・デ・ニーロ)は長い階段を降りていた。階段の先にはパブ。出入りする人々の慕わしげな姿が見える。サムは裏手にまわり、ドアの位置を確認すると拳銃を隠した。パブにはディアドラ(ナターシャ・マケルホーン)、ヴィンセント(ジャン・レノ)らがいた。そこにスペンス(ジョーン・ビーン)、グレゴール(ステラン・スカルガルド)、ラリー(スキップ・サダス)らが加わり、ある人物から銀色のケースを奪ってほしいという依頼を聞かされる。経歴も本名も互いに知らない、国や組織といった雇い主を持たない 6 人はアタッシェケース奪取のために共闘するのだが……。

日本での公開は 1999 年。1999 年 というと、「スターウォーズ エピソード 1」が公開された年。大騒ぎだった! それに「マトリックス」もあった。小さい子たちがキアヌ・リーヴスのモノマネを路上でしていたなあ。「ファントム・メナス」、「マトリックス」、「サイコ」、「シックスセンス」が同じ年公開なんだと思うと「シックスセンス」の時の流れと無関係な感じすごい。それに「メリーに首ったけ」、「バッファロー '66」、「ラン・ローラ・ラン」、「シュウシュウの季節」、「ゴージャス」……この年もこの年なりに映画界は大騒ぎだったのですね。

そして、完全に見逃していた「RONIN」、「好きだと思う」とDVDを貸してくださった方がいてじっくり見ることができました。大好きでした。

この映画は前半後半でがらっと様相が変わる。前半は互いを知らないまま依頼を受けて、計画し、実行するところまで。後半はその計画が失敗し、事態の一部が露見し、主人公たちが真相究明に向かう。前半では一般市民に犠牲者が出ることなく物事が推移し、そこから彼らの元々の職業が窺い知れる。後半はそれがぐらっと崩れて、たまたまそこにいただけの人々が銃弾に倒れる。しかも舞台が観光地と来ているのでとても怖い。

さっき、「主人公たち」と呼んだのはロバート・デ・ニーロ演じるサムと、ジャン・レノ演じるヴィンセント。サムは、ほとんど内心を見せないし語らないので、最後の最後まで何を考えているかわからない。ヴィンセントはこのサムと語り合わないまま友情めいたものを結び、互いに飲み物や煙草の火を分けあい、そして互いの命を助けるに至る。誰が何者かわからないこの映画にあって、サムとヴィンセントの連帯は、唯一観客がほっとできるところ。ヴィンセントとサムの、言葉よりはるかに雄弁な目の表情に何度もほっとした。特にヴィンセントはただ一人、内心が窺い知れる人物で、言葉少なな彼がぽつっと漏らす「助かったよ」「恩人だ」といった本音は、真っ暗闇の中に据えられた白い巨石のような役割を果たす。コーヒー代を彼が払うと言い、次は俺が払うとサムが言う場面には感動してしまった。

前半の、作戦場面で印象的な役割を割り振られているのがコーヒー。

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ポットの中身はコーヒー。このコーヒーによって、能力が低く作戦にとって不利益をもたらす人物と、作戦に紛れ込んだ敵が炙りだされる。サムは並々と注いだコーヒーカップで相手を挟み撃ちにして、確認する。そして自分にとって信用できる人物を絞り込み、生き残ろうとする。

当然のことながら、事態が大きく動く後半ではコーヒーの場面はぐっと減ってしまう。

撃たれたサムとヴィンセントが一時潜伏する場所で飲んでいるのはおそらく紅茶だったと思う。

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ティーカップだから。

こうなってくると、コーヒーを飲んでいたあの頃が懐かしい。サムはまだ撃たれていないし、シルバーのケースはあるべき場所にあった。

コーヒーが雄弁に語る場面は後半にも、一箇所ある。この場面がとても素敵だ。

長い階段、路地、高低差の激しい道、Y 字路、コーヒー、森に住む偏屈な老人、カーチェイスそしてフィギュアスケートと見どころ満載。これで猫が出てきたら気絶しそうっていうくらい、私の好きなものがてんこ盛りで、思わず二回連続で再生してしまいました。

 

失う、(   )作る、それを繰り返す

映画

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そのときトニー・スタークは、アフガニスタン駐留中の米軍のジープで移動中だった。車内では誰もが、軍事企業社長であり発明家である有名人、トニー・スタークを乗せていることで緊張していた。そこでトニーは「私と話すのは禁じられているのか?」と兵士に話しかけ、記念写真にジョーク交じりに応じ、護衛についていた彼ら彼女らを笑わせるのだった。ところが、そこをゲリラに襲われてしまう。ついさっき笑いあった若い兵士たちが次々と撃たれ倒れていく中、トニーに向けられた小型ミサイルには「スターク・インダストリーズ」の文字。その文字から目が離せないまま、激しい閃光と爆風の中、彼は意識を失った。

 トニー・スタークは日常を維持する天才だ。職場であろうと、戦場であろうと彼はそこをあっという間に慕わしさのこもった空間へと変える。戦場で警護されながら移動するその最中にも彼はジョークを言い、人々の気分を和らげる。おしゃべりと笑顔で囲まれていること、それがトニーの日常だ。「アイアンマン」シリーズではその日常が不法に侵入を受け、トニーは日常から外へ連れ去られ、攻撃され、何かを失う。何かを失って、それを回復することがかなわず、傷は癒えず、代替物が与えられる。そのため何らかの依存症に苦しみ、「しかし」なのか「ゆえに」なのか判然とはしないが、ひとまず彼は整備士として振る舞い、働き、次の話へと向かう。その息苦しい繰り返しがアイアンマンシリーズだ。

 トニーが日常を維持する天才だというのは、父親の会社をスタッフそのままのかたちで受け継ぎ、さらに会社を大きくしてきた一方で、自分自身はメカニックであり続けたことにも表れている。何か新しいものを生み出すこと、生み出したものを整備して使い続けること、彼の仕事ぶりはシンプルで強い。「考える、作る、試す、改良する」の繰り返しとスピーチで彼はその日常を維持していく。トニーは破壊しない。

 兵器産業の雄で、「強力な武器が平和と富を生む」「我々はアメリカの自由を武器によって創りだす」という信念を持ち、それを体現すらした父が死んだ時、彼はどうやって立ち直ったのだろう。その傷は今なお癒えていないように見える。窮地に立たされると彼は亡き父に話しかけ、父の残したノートや映像をたどる。偉大なる父に対する素朴な敬慕。親子とは思えないほど、ねじれがない。彼は、父よその信念に本当に迷いはなかったのかと一度だけ問いかける。一度だけなのだ。トニーはわかっている。その答えは父のものであって、自分のものではないと。トニーは武器で平和を維持することの矛盾について考えるだけでなく、何らかの結論を出し、メッセージとして発信し、さらにはそれ自体をビジネスに繫げていく義務を負っている。父の業績は目の前にあり、さらには実現しようとしてできなかったものを窺い知るための資料も大量に残されている。それらを手がかりの一つに加えてトニーは働き続けるのだが、「核兵器をもたらした男の息子」と呼ばれながらも、その苦しみや恨みを亡き父にぶつけたりはしない。このトニーの「父の苦しみは父のもの、私の苦しみは私のもの」という態度は、シリーズを通じて「トニーらしさ」を感じさせる核のようなものになっている。

 「アイアンマン」冒頭で、攻撃されたトニーの胸には文字通り大きな穴が空く。心臓付近に爆発したミサイルの破片が刺さり、そのままでは一週間で死ぬ。それを止めるには電磁石で破片を引き止め続けなければいけない。テロリストに攻撃され拉致されたトニーの胸には、ミサイルの破片、その破片を引きつけておくための電磁石が埋まっており、さらにその電磁石を動かすための車載用バッテリーに繫がれていた。

 死にかけたトニーの心臓にミサイルの破片が刺さるのを食い止めたのは、トニーと同じように拉致されてきたインセン博士だ。二人は誘拐犯たちに強要されて武器をつくることになる。もちろん、言われるがままに作るわけはなく、相手の目を盗んで後にアイアンマンと呼ばれることになるスーツを作るわけだが、この過程で彼らは非常に興味深いやりとりをする。インセンはトニーに、家族はあるかと尋ねる。トニーはいないという。両親も他界しているし、妻も子もいない。インセンはそれじゃ解放されても寂しいな、私には家族がいる、だから必ず帰ると、ひどいことを言う。

 だが、実際のところインセンに家族はなく、身を賭してトニーを助け、トニーを帰すことに尽力するのである。帰っても一人じゃ寂しいじゃないかと語りかけた男は、おそらくある時点で絶望しており、最後の力を振り絞ってトニーだけを戦場から日常へともどしてやる。注目すべきは、トニーがこのインセンの言外のメッセージを過たず受け取り生き残ったという事実である。

 インセンは家族のために生き、人のために生きた。トニーはしかし、このインセンとは全く相容れない生き方をしている。トニーは家族のない人生じゃ寂しいという考え方はしない。恋をし、結婚し、子どもを持ち、それが人生だという考え方はしない。彼はただ、今目の前にあるものを少しでもましなものにするために尽力する。彼の現在は過去や未来に奉仕するためにあるのではない。インセンがもしそんな考え方をしていたなら、二人で逃走を図ることも考えられただろうけれど、残念ながらそんな力は残っていない。インセンが最後の力を振り絞ってついた噓にトニーは付き合い、その痛みにそっと触れ、力を借り、帰る。この慈悲深い冒頭部分が、「アイアンマン」シリーズを支えている。

 トニー・スタークをひと目見たときから好きだ。そのトニーが延々ひどい目にあうのが「アイアンマン」シリーズで、トニー好きにはこのシリーズに付き合うのは大変な苦労を伴う。なんとか見続けられるのは彼が延々心情を吐露したり、煩悶したりせず、迷った時にはメカニックであるという自分の基本にもどり、生産の場に立ち続けるからだ。いざというときは「金で解決」というのもヒーローものの主人公としては斬新だ。どうやら「4」もあるらしい。今から辛い。今年はあまりに辛くて「シビル・ウォー」をスキップしてしまった。いつかは見なければなるまい。

tower.jp

 

2016 年上半期映画でフィギュアスケート女子シングル FS のプログラムを組みました

映画 フィギュア

好きな映画で「打線」を組んだり、「イレブン」を決めたりしているのを見て、私もやってみることにしました。

 

まず、大事な大事な冒頭のジャンプ。観客を異世界に引き込みます。単独の 2A スタートで、優雅に「キャロル」。余裕のある、ふわっとしたジャンプで、着氷はまるで音楽に合わせて降りてきたかのよう。宝物です。降りた脚で軽やかにステップを踏みます。ゆっくりはじまったな~きれいだな~と油断していると、そこからやおら飛ぶ、3Lz+3Lo =「貞子VS伽倻子」のびっくり大盤振る舞い。とは言え、「跳んだ!」「降りた!」だけの「貞子VS伽倻子」ではありません。しっかりとした技術に裏打ちされた、絶品の「貞子VS伽倻子」です。観客がその充実の大技に驚いているうちに、フライングシットスピン、つまり「アイアムアヒーロー」。女子としては驚きの大きな入り。すぐさま決まる深いシットポジション。速い。フリーレッグがあらぬ方を向いています。ゾンビ表現ですが、奇をてらった感じはしません。スピードは上がる一方。観客の興奮が早くも最高潮に達したところでリンクを大きく使ってのステップシークエンス=「スポットライト」です。一つ一つのターン、ステップの堅実さが光ります。左右バランスよく、上体の動かし方も美しい。そしてなんと言っても音楽にぴったりと合っています。軽々と踏んで当然レベル4。加点の嵐です。

得点が 1.1 倍になる後半のジャンプはゴージャスに 3F=「ストレイト・アウタ・コンプトン」から。これが見事なインサイドエッジ、反時計回りのカーヴからぽーんと大きい、大きい、大きすぎる飛翔! そのわりに軽々とした着氷になにこれーー! とか言っているうちにあっという間に 2A+3T=「オデッセイ」!! この「オデッセイ」を「手堅い」などと言う人には「ちょっと待て」と言いたい。何を勘違いしているのですか、プログラム後半、ステップシークエンスからの 3F からの 「オデッセイ」ですよ。泣くでしょう! あ、二回目の 2A だな~、するとコンビネーションだから 2T でもつけるのかな~と思っていたらなんと「オデッセイ」。しびれる。しびれる観客にたっぷりゆったりステップを挟んで油断させておいて「あっ」という間もなく まさかの 3S+2T+2Lo、マネーショーーーートーーー! 「マネー・ショート」、何が起こったかよくわからない。どきどきがとまらない……のに、来ました、プログラム終盤での絶品 3Lz。つまり「ボーダーライン」。乾いた夕日が見える。銃を構えるマイム。撃つのか、撃たないのかどうなのどうなの? えっ……転倒……っじゃない、「今のもう一回見せて?」という不思議なポジションから足換えコンビネーションスピン、「ヘイトフルエイト」だーーーー! 場内泣きながら爆笑!!! 一体何回回っているのだ!! そして来ました。話題の鬼コレオ「レヴェナント」。人間の身体はそういう風に出来ていないのではないのか? という動きの連続で観客はぐらんぐらんしてきました。なんだか寒い……いや、暑いのか……? と額から汗が流れたところでスケーターがゆるりと観客を見回します。くるうり、くるうり、くるうり、くるくるくる~まだ跳ぶのか 3Lo、「サウルの息子」………!

もう、何がなんだかわからなくなったところで、最後はリンク中央で見事な背中のカーブを見せるレイバックスピン「クリード」。久しぶりに見る、オーソドックスなレイバックスピン。なのにフレッシュ。ポジションを変えても回転速度が落ちません……きれいなかたちのビールマン、飛んでいってしまいそう……というところで大きく回って回転をおさえて、フィニッシュ!

 

明日になれば書いた本人にも意味がわからなくなるでしょう。

2016 年上半期映画館で観た映画メモ

映画

この半年間に観た映画を「タイトル/監督/映画館/おすすめポイント」のかたちでメモしました。大体おすすめです!

1月

  •  「スター・ウォーズ / フォースの覚醒」J.J.エイブラムズ@TOHOシネマズ新宿 神話が歴史に変わって主人公たちが走りだす!っていうのが爽快。
  • 神なるオオカミ」ジャン=ジャック・アノー@ヒューマントラストシネマ渋谷 草原と馬と狼の映像が素晴らしかった。
  • ヘリオス 赤い諜報戦」リョン・ロクマン&サニー・ルク@新宿武蔵野館 うーん。とりあえず、びっくりはするかなあ。
  • タイガーマウンテン 雪原の死闘ツイ・ハーク@シネマート新宿 痛快、そして知的で上品。
  • 黒衣の刺客ホウ・シャオシェン早稲田松竹 どこかおおらかで、ゆったりとした映像とラストの展開が素晴らしい。
  • 非情城市ホウ・シャオシェン早稲田松竹 たまにしか会えない親戚の話を聞いているような気分になれる。

2月

  • オデッセイリドリー・スコット@渋谷TOHOシネマズ すかっとしてるしキュート。「なぜ」というマヌケな問いかけを聞かずに済むだけでも嬉しい。
  • ゾンビスクール!」ジョナサン・ミロット&キャリー・マーニオン@シネマサンシャイン池袋 「職場もの」としてまずきっちり楽しい。
  • 探偵なふたり」キム・ジェオン・ホーン@シネマート新宿 極端な話だけど、主人公があたふたしてるのに乗せられて最後までぐいぐい見られる。
  • キャロル」トッド・ヘインズ@TOHOシネマズ新宿 ちょっとした加減でふわっと主人公が変わりそうで、そこが素晴らしい。
  • ドラゴン・ブレイド」ダニエル・リー@シネマート新宿 変わらず、ジャッキー・チェンの献身が見られる。映画としてはばらばらっとした感じ。

3月

  • DENKI GROOVE THE MOVIE ? 石野卓球ピエール瀧大根仁@立川シネマシティ 一緒に見に行った人が言った「ガラの悪い寒山拾得」という評が秀逸。
  • リリーのすべてトム・フーパー@立川シネマシティ ブルーを基調とした前半の幸福がゆっくりと変質して色調すら変わっていく様がハードだけれども噓がなかった。
  • ヘイトフル・エイトクエンティン・タランティーノ@立川シネマシティ 誰かの話をゆっくり聞きたいという願いが詰まった映画で、切なかった。
  • ロブスター」ヨルゴス・ランティモス@シネマカリテ ルールのわからないスポーツに参加したようなびっくり体験。
  • インサイダーズ / 内部者たち」ウ・ミンホ@TOHOシネマズ新宿 ポップでハードでそして粘り強かった。

4月

  • マネーショート 華麗なる大逆転」アダム・マッケイ@TOHOシネマズ新宿 質の違う言葉があちこちから飛び出してそれらが絡み合わずにどんどん行き過ぎる。
  • ボーダーラインドゥニ・ヴィルヌーヴ@TOHOシネマズ新宿 全てのシーンが印象的。
  • サウルの息子ネメシュ・ラースロー@立川シネマシティ 二人称的なカメラの存在感。
  • レヴェナント:蘇りし者アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ@TOHOシネマズ新宿 鬼監督。鬼すぎる。それでも隠し切れないポップさ、若さ、華やかさ。
  • スポットライト」トーマス・マッカーシー@TOHOシネマズ新宿 記者たちが取材を進めるうちにそれぞればらばらにたどり着いた結論めいたものがあって、それを特段滔々と話し合ったりはせず、淡々と、着々と仕事をしていく。

5月

6月

  • ストレイト・アウタ・コンプトンF・ゲイリー・グレイ早稲田松竹 すごい速度。体感時間5分。
  • クリード チャンプを継ぐ男」ライアン・クーグラー@早稲田松竹 尊厳が光り輝いた。
  • サウスポー」アントワーン・フークワ@TOHOシネマズ新宿 個々のシーンは良いけれど、つながりがぎくしゃくしていて、4時間くらいあるものをカットしたのではないかという感じがした。見て、4時間くらいある映画に頭の中で組み直すのが良いと思う。
  • ノック・ノック@ヒューマントラストシネマ渋谷 かっこつけるキアヌ、弱るキアヌ、怯えるキアヌ、埋められるキアヌ!
  • FAKE森達也ユーロスペース 佐村河内さんを騙したような気持ちになる。
  • マネーモンスタージョディー・フォスター@TOHOシネマズ新宿 最初から最後までみっしりとしている。ジュリア・ロバーツの美声が生きる。
  • 貞子VS伽倻子」白石晃士@TOHOシネマズ新宿 ちゃんとおもしろいのでおすめです。女の子たちと魔法使いと幽霊。

 

予想外におもしろい映画が多くて映画鑑賞生活としては大分あたふたした半年でした。「ボーダーライン」「サウルの息子」「スポットライト」あたりは名画座にかかったらぜひまた見たいです。

今年は年初に「アイアンマン」をテレビでやってて、その勢いもあって「アイアンマン」シリーズを DVD で見直したら、常にトニー・スタークのことが頭の隅にある状態になってしまい、これが存外重くて、それでマーヴェルものをスキップしてしまいました。下半期にどこか名画座でかかったらあらためて見たいと思います。