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雨降り

幽霊について

冷たい熱帯魚、ザ・タウン、息もできない、デュー・デート、キック・アス、わたしを離さないで、イリュージョニスト

今年に入ってから見た映画で、感想をまとめていないものについて、メモします。
 

    • 洗練されてておもしろかった。
    • 父殺しをしようにも、その父がわりとあっけなく死んでしまったので、残った勢いで殺し合うっていう身もふたもない話なんだけど、同時に、事実の正確な描写であるような気もした。
    • 切実だけど、語りすぎてないし、説得しようとかジャッジしようという気がないから基本姿勢がポップ。暴力について語るときの理想型の一つかもしれない。

 

  • ザ・タウン(2010 ベン・アフレック
    • すごくおもしろかったし、端正だった。いろんな映画の引用があって、映画を尊敬してる人たちがつくったんだなという感じがしたのも良かったし、その一方で、昼間、テレ東でかかって、それをうっかり見た小学生が映画に目覚めたりしそうなわかりやすさもあったし、楽しかった。
    • ベン・アフレックの顔がよかった。好きになった。
    • 地域の貧困を表すものとして「氷をはれないリンク」が出て来た。

 

  • 息もできない(2008 ヤン・イクチュン)

    • 冷たい熱帯魚」は神話に近い味わいが発生してたんだけど、こちらにはそういう抽象化は皆無で、とても重くて辛い映画だった。
    • でも、暴力にさらされて生きる人にとっては、救いだとか癒しだとかはまた別の暴力になるだけなので、私はこういう映画の方が、構造としては明るいと思う。万人におすすめ。
    • ラスト、主人公の女性の表情がすごい。
    • 韓国の一部の映画は、身体表現に重みを感じることが多いかな。ちゃんと重力がかかってる。痛さの表現に軽さがなくて、ひたすら骨と肉と血と重力。容赦がない。このこととアイドル歌謡が思いっきりダンス方向に寄ってるっていうのは、文化的に関係のあることなんだろうなと思ったり。

 

  • デュー・デート〜出産まであと 5 日! 史上最悪のアメリカ横断〜(2010 トッド・フィリップス
    • おもしろかった……はず。
    • ロバート・ダウニー・Jr 分を補給しにいったんですよ。それで「あ、これでしばらくいいや」と満足したような……。

 

  • キック・アス(2010 マシュー・ヴォーン)
    • 笑いながら最後まで一気に見た。のだが、後味が苦くて不思議な映画でした。
    • 母親不在で、父子神話っぽい味わい。
    • スーパーヒーローに憧れること自体、すでに暴力を含んでいて、一度暴力をふるう側に立ったら、もう後にはもどれないぞ! っていう、ヒーローものに対する最後通牒みたいな映画だった。スーパーヒーローを夢想すること自体、汚れているんだということをつきつける。だから続編があると聞いて驚いた。続編は救いようなくダークになるしか道がない。

 

  • わたしを離さないで(2010 マーク・ロマネク
    • カズオ・イシグロは好きなんだけど、これはあまり好きじゃなくて、でも、映画はいいかもしんないし、と思って見たらやっぱり元の話がそんなに好きではないので最後まで没頭出来なかった。
    • ちゃんとしたつくりの映画なので、これ自体、そんなに悪くないし、俳優陣は見応えがあった。あと建物と風景がきれいで良かった。
    • やっぱり SF としてこの設定、どうかな、っていうのが。

 

    • これはすっっっっごく良かった。
    • 仕事の減った老手品師と、彼を慕ってついていく少女との短い旅の物語。少女の夢を肥大化させていく老手品師と少女の間には、最初は幸せな共犯関係が成立してるんだけど、これはいつまでも続かない。何せほんとは魔法ではなく種も仕掛けもある手品なのだし、その魔法を維持するにはお金も必要。少女が夢から覚めて、旅立っていくショットには雨が降り、彼女は傘も持たない。一方手品師は…
    • というわけで、おすすめです! 東京ではもう終ってしまいましたが、これから都内各所の名画座的なところでかけられるでしょうし、スクリーンで見られるうちにぜひ。すごく抑制のきいたカメラワークで、ストイックに、シンプルに場面展開していくのですが、それがクライマックスで一気に解放されたときには胸がぎゅーーーーーーーーっと、ぎゅーーーーーーーーーっとなること請け合いです。

 
音楽は「ザ・タウン」と「イリュージョニスト」が良かったです。