雨降り

幽霊について

ソニア・ラフエンテは今シーズンもお洒落だった

2012-2013 シーズンのソニア・ラフエンテは、SP がフランス発のミュージカル版「ロミオとジュリエット」で、FS が「ウエストサイド物語」。
要するに、SP と FS でバージョン違いの翻案版ロミジュリをやったわけで、本家からちょっとずらした選曲で大作を重ねたというのがまずお洒落でした。
SP はこんな感じで。
  
地味だけど、全体の流れがあっていいプログラム。♪ら〜ら、ららら、ら〜ら〜っていうテーマが繰り返される中、ひとつひとつ、丁寧に技を決めていくところに、清潔な、静かな感動を覚えます。
ちなみに舞台はこんな感じ。
  
私は初めて見たんですけど、フランスでは大ヒットして再演もされてるようなので、欧州の人や、舞台が好きな人は「ああ、このフレーズ」ってぴんと来るのでしょう。素朴に、いい曲ですね。
そして、「あ、この子昨日、SP でロミジュリやった子だよね、今日何だろ」って思ってると、なんか衣装が、昨日よりロミジュリっぽい、あ、そうかあ、昨日のはミュージカル版だから、フリーはバレエ版か、オリビア・ハッセーがやった映画版かな? あれ……この曲、えー、この衣装で「ウエストサイド物語」? と、初見の人がちょっぴり驚いたであろう、彼女の「ウエストサイド物語」がこちらです。
  
最初がいかにも「ウエストサイド」な振り付けで始まって、見てるとなにげに 3F も 3Lz (右足で助走して直前に足をクロスさせて軸を左に替えるタイプの) も入り、3Lo が終わって曲が変わるとぐっとムードが良くなります。そして、曲が変わるごとにムードが良くなる。曲間に挟まるスピンのタイミングが合っていて気持ちを切り替えやすいというのもあるけれど、終盤に向けてだんだんのびやかになっていくようです。おまけに、一つの曲としてもわかりやすくて親切設計です。「舞台はこんな感じですよ」から始まって、甘やかな、恋のムード、喜びの表現が挟まって、そこから緊張感のステップ、緊張の緩和と展開していくので、見ていてのりやすい。彼女の滑りに観客が寄り添えるような振り付けになってると思います。
もう少し疾走感がほしいなというところもあるけれど、それは今後に期待、ということで。「ラフエンテのジュリエット」は控えめでしたが、なかなか素敵なジュリエットでした。
 
それにしても、なんて充実した、素敵なチームでしょう。
まず、選曲がわかりやすくも、ちょっとひねりが加えてあってお洒落。
それでいて、SP も FS も滑りやすく聴きやすく見やすい設計。
さらに素敵衣装。SP では定番の十字架を背中に持ってきて、髪型にもひねりを加えて、ミュージカルの雰囲気に近づけ、FS では逆に、映画より原作のムードに近づけ、彼女のもともと持ってるムードを生かして、黒髪の美しさを見せつけました。靴もぴっかぴかにみがきあげて、準備万端でリンクに上がっていく彼女はとても美しかった。
その彼女が滑るプログラムからは、「ソニア・ラフエンテというスケーター」に対する夢が聞こえてくるようです。もともと持っている可憐さ、優雅さを大事に、そのまま真っすぐのびやかに成長してほしい。ほんの少しだけ、強さを身につけて。でも焦らないで、ひとつひとつやっていこう。そういうメッセージが聞こえるようで、とても素敵な数分です。