6/7 初日、初回に行ってきました。
郷ひろみに始まって郷ひろみにつぐ郷ひろみ、郷ひろみで終るショーに行った結果、しばらく ♪抱きしめ〜ると〜いつもきみは〜 のフレーズが頭を離れず苦労しました。
行く前は昨年の Art on ICE での藤井フミヤ程度の出演だろうと想像していたので、そのひろみ色なショー具合にはびっくりしました。
そして、意外や意外、これがとーっても楽しかった。
不思議!
ショーが始まる前は、隣り合わせた女性と「なんでスケートに郷ひろみ……」とがっかりしていたのに、一部が終るころには「意外と楽しい!」「なんだろう、おもしろい!」と大変盛り上がりました。
なぜあれほどおもしろかったのか、今もってわかりません。
とりあえず、わかる部分だけメモしておきます。
- Opening
- 舞台にせりあがるひろみがおもしろすぎて頭のねじが外れる。
- 最初からみんなわりとフルスロットルで、スケーターがとても楽しんでる雰囲気。♪おくせんまん! の振り付けが ♪おくせんまん! の世界を「わかってる」感じでとてもおもしろい。
- 村上佳菜子
- ダンスうまい。真っ赤な衣装でフラメンコが板についている。この曲はこういう曲よ! という主張がある。ちょう自然にかわいい。
- ジョニー・ウィアー
- 佐野稔先生がいつもジョニーを褒めていたことを思い出した。ジョニーは「上手なスケーター」なんだよなあと、スピンや大きなカーブを見て思い出す。
- ナタリー・ペシャラ&ファビアン・ブルザ
- 「哀愁のカサブランカ」を彼らが滑るとわかったときは、まず落胆。えー、なんでせっかくのペシャブルにこの仕事……。しかし、リフトをばんばんぶんぶんやりまくったあげく、ナタリーに背を向けられるファビアンがとっても憐れでおもしろかった。ファビアンに背を向けて、すーっと滑ってぷぷっと吹くナタリー。
- 「Dirty Dancing 」はファビアンがなぜにあの衣装だったのか。「青春の思い出」感を出すためか。ペシャブルのダンスはこれからどういう感じになっていくのかなと思いました。
- 現役時代、ペシャブルと言えば、ナタリーの方ばかり見ていたし、世間の扱いもそうでしたが、この組の甘い雰囲気はブルザの優しい動きときれいな背中、糸で天井からつったようなまっすぐな身体がつくった部分も多いわけで、そう言えば、ブルザの背中を活かした振付も多かったなあと思い出しました。
- ウラジミール・ベセディン&オレクシイ・ポーリシュク
- 以前友達に「『俺たちフィギュアスケーター』が好きなんだけど、フィギュアスケーターが好きな人にはオッケーな物件?」と質問されて、「『俺たち……』のおもしろさは、フィギュアスケートが本来もってるおもしろさにすっぽりおさまるものである」「フィギュアスケートは懐が深いのだ」と大威張りで主張したのですが、そう言えば「俺たちフィギュアスケーター」みたいな組、いるよって教えるの忘れちゃってたなあ。
- 映画「俺たちフィギュアスケーター」とは違って確かな実力と筋力があるわけですが(笑)。
- 羽生結弦
- 「パリの散歩道」を見ながら、この人の魅力はなにかな、と考える。もちろん大きな 3T などを見るとそんな視点もふっとぶわけだけど(ものすごい最初の方)。単独 3T のかっこよさよ。 3A も大きかった。この人はあんまり「踊らない」ところがいいのかなと思いました。音楽というよりは演技、というところがあるみたいだ。それが老若男女に爆発的に受ける理由のひとつなのかな。二部の「言えないよ」でよりそれを感じました。つまり、Chemistry で言うと、表現の方向性が堂珍の方。
- 安藤美姫
- 「アヴェ・マリア」。ろうそくを持って、黒いマントをまとって登場。長い髪、黒いマントを漂わせつつのエモーショナルな演技。結構細かく見どころのある、よく設計されたプログラム。彼女の、どこか「次にどう動くか想像つかない」感じとあった動き。2A を着氷した後、マントの処理に手間取って転倒。でもちゃんと演技してたから、いいパフォーマンスだった。
- テレビで見た A great big world「Say Something」も素敵だった。きりっと低い位置に結んだ黒髪、黒い衣装。素直で大きなスケートに、音楽に耳を傾けていることが伝わる動き、キュートで大きくて、そして重くて見応えがある。
- とは言え、このところずっと黒か白の衣装で重めのプログラムが続いているから、もっと明るくて、生き生きしたものが見たいなあと思っていたところ、郷ひろみとのコラボ「ハリウッド・スキャンダル」がとっても良くて満足。思い切り四肢を伸ばして、別のカーブにひょいひょい乗り移る姿は、思わず「これこれ!」と言いたくなるほど。久しぶりに見た、彼女の「笑顔で、自分自身に振り回されてる感じ」! これが見たいのよーと言わずにいられない。かわいすぎ!
- ステファン・ランビエール
- 鬼気迫ってた。
- 一曲はオリジナル、一曲は郷ひろみとのコラボというスケーターが多い中、彼は二曲ともオリジナル。もちろん! こうでないと。
- 一曲目Hurts の「the Water」は四肢をいろんな方向に動かして、陸ならバランスがとれないであろう姿勢でひょいひょいとなめらかに動いていくのが圧巻。それでいてどの動きも美しい。最後はバックのスパイラルからそのままスピン。圧巻だった。
- 二曲目はグリーグのピアコン。背中と足のつくるカーブが大きくて美しい。荒川静香、ジェフリー・バトル、ステファン・ランビエールは競技を引退した後、いよいよ自身の理想を追求しているなあと思っていたけど、ランビエールのこの充実はすさまじい。こちらのラストは 3T からただちにまわるスピン、そのスピンによる慣性のみで動いてみせるかのような不思議なステップ。すごー……い!
- 織田信成
- 「アディオス・ノニーノ」。彼も競技を引退してからぐいぐいうまくなるタイプだった……。アディオス・ノニーノ、良かったし、このままアクセントの強い、ハンサム路線行ってほしい。いつかの年のエキシビションの「踊り明かそう」もぴったりだったし。
- ハビエル・フェルナンデス
- 新 SP に採用予定の Ram Jam「Black Betty」。今、あなたのまわりに「この人フィギュアスケート好きになりそうだな」という女性がいたら、ハビーを何気なく紹介するとスムーズに引きずり込めるのではないかと思う。危なっかしいところと上手いところと両方あるのがいい。
- 髙橋大輔
- Finale
- あーちーち、あーち! で、とっても楽しかった。
- 「ブルザのリフトのおろし方は優しい」っていう意見をちょっと前に読んだんだけど、みんな優しいよね。ブルザは降ろすとき、膝の角度がナタリーとそろうので特にそう見えるのかな。あるいは単にファンの感じ方かな(笑)。
- 安藤美姫は自分のプログラム以外のことろで器用さを見せることが多いなあ、と今回も思いました。
- FaoI の(ゲストスケーターじゃなく)、Cast にすごいかっこいいシルエットの人がいた。
- 郷ひろみさんという人選はありかなしかで言ったら、「なし」だと思う。けれども、そっからひっくり返せるのは郷ひろみだけ! と納得させるパワーと、これまでにも数々の場を制圧してきたであろうさすがの力量に感服しました。
- しかし、やっぱりソロの「歌手」じゃない方がいいんじゃないかなというのは思います。ショーに生演奏というのは楽しい。ピアノ、ドラム、ベースギターを一台ずつでも楽しいと思うし、何か弦もの5台とかでも楽しいと思う。歌ならソロじゃなく、コーラス・グループがいい。今、日本のミュージカルがどうなってるか私は知らないのだけど、人材はいると思う。郷ひろみや藤井フミヤほどの大メジャーである必要はないし、むしろ、これをきっかけにスケートファンが新たな世界を知る、くらいのことの方がいいと思う。
- それにしても何であんなに楽しかったのだろうと振り返るとやはり演出と、郷ひろみパワーの寄与するところは大きいのである。
- そして出演者がほんとに充実していて、味が濃かった。いわゆる間に合わせの、「エキシビションみたいじゃん」っていうショーとは全然違って、予想外に楽しかった。
きりがないのでおしまい。