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雨降り

幽霊について

誰よりも狙われた男、泣く男、天使の眼、野獣の街、他

10/14 @新宿武蔵野館

 
舞台っぽい、寓話っぽいつくり。言葉だけを聞いていると人間ではなく、何か概念の具現化のようにしか見えない人物たちに、俳優たちの渾身の演技が現実感を与えていて、思わず納得させられる場面がたくさんあった。
でも、この映画そのものに対する倫理的な疑念がぬぐえず、うまく没入することができなかった。うまく見ることができれば、とてもおもしろい映画なのだろうと思う。
 
10/15 「フルタイム・キラー」DVD

フルタイム・キラー [DVD]

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反町隆史の日本語のセリフが聞き取れなかった。アンディ・ラウはがんばってた。俳優が違ってれば普通におもしろくなってたんじゃないかなあ。
 
10/16 「僕と彼女とオーソン・ウェルズ」DVD
僕と彼女とオーソン・ウェルズ [DVD]

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ある舞台の初日までの、短い期間の「僕」の冒険譚。まだ年若い主人公の背伸びにハラハラしながら見て、舞台に生きる人々と彼の間に明確な線が引かれるところに感銘を受けた。こどもがちゃんとこどもとして扱われているところが良かった。舞台の裏方側の人物にはほとんどセリフがないのに存在感を示す人物などもいて、すみからすみまでみっしりとおもしろかった。
 
10/17 「記憶探偵と鍵のかかった少女」@新宿ピカデリー
 
カウンセリングものとしてとても上品で、カウンセリングする側が立ち直ることが主軸で、患者にまつわるサスペンスはこの物語の外にあるっていう思い切りが良かった。記憶は思い出す度に改変される、ということが映像で示されてとてもわくわくしたし、物語終盤、主人公が立ち直ったことを告げる場面も見事だった。
 
10/18 「レクイエム -最後の銃弾」@シネマート新宿
 
一本の映画で三度かっこいいニック・チョンであった。
 
10/18 「誰よりも狙われた男」@新宿武蔵野館
誰よりも狙われた男

誰よりも狙われた男

 
絶望と退廃に限りなく近づきながら、そこに安住することはありえないという人物造形と、そこが揺らされるラスト。不屈の精神とは、高潔さや正義感とはまたちょっと別の問題で、おそらく合理性に端を発する何かなのだと思う。理不尽な事態に対して、不当だと怒りを燃やすよりちょっと前に、気持ちの悪さを感じる場合に起こる。だから徹底して無力な場合もある。だけど私はそういう人が好きだ。
 
10/25 「天使の眼、野獣の街」DVD
天使の眼、野獣の街 [DVD]

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「監視者たち」リメイク元。おもしろかった! 
監視班に配属になった新人刑事の初めての事件の話で、主人公は班長の乗る車の後部にずっと座っている(韓国版では二人が向かい合っていた。香港版は主人公が上司の背中を見てる)ので、「研修中」「修行中」という雰囲気が強い。基本的には彼女と上司の「教える/教えられる」関係が軸となりながら、各チームの信頼感がさりげなく描かれていて良かった。特にフォーカスされなくても映り込んでいるという感じで。主人公が命令に従わないことで「クソッ!」と声を荒らげる上司が腹を立てたまま、「彼女を助けて!」と指示する。そういう一連の描写がテンポよく繰り出される。また、彼らをいざというとき支えるのが、サイモン・ヤム演じる犬頭の「小話」っていうのも素適だった。疲労困憊で監視を続けるチームのみんなの耳元に届くそれほどおもしろくない話が、なんとも良かった。
この映画の肝となる、犬頭の話を韓国版では縮小。それがとっても上品だと思う。一番いい所をそのままやってしまったらただのコピーになってしまう。「監視者たち」には代わりに流麗なアクションとチーム全体が一つの生き物であるかのような描写がある。とてもわくわくするつくり。原作の「天使の眼、野獣の街」はほぼ同じ話でありながら、じんわりと胸を打つ、美しい成長ものだった。
 
10/29 「泣く男」@新宿バルト9

 
よすぎる!
今年の映画界の名言は「LIFE!」の「嫌な奴になることないだろ」で決まりかなと思っていたのですが、この映画の「ただ、疲れたんだ」はまた、すごかったなあ。
疲れた、というのは重大な話で、「疲れた」と言われてまだその背中に鞭打てる人は、自分が何をしてるかわかってない。
誰よりも狙われた男」でもそうだったけれど、この「疲れた」というのは、絶望や退廃とは実は違う話で、時々それらを混同した映画や小説を見る。近頃同時多発的にそこを峻別する表現が増えている気がする。みんな、総じて疲れているんだと思う。そして、疲れてはいるけれど、退廃はもううんざりだとも思っている。
ところでこの映画によって、梅酒の甘美さを知ってしまった。今度梅酒を飲むときにはソーダで割ったりしないで、ぜひストレートで飲んでみようと思う。