プール雨

幽霊について

『サーチ & デストロイ』

事業に失敗続きで崖っぷちに追い込まれた主人公マーティンが映画で一発当てようと原作者、ルーサー・ワクスリング博士に接触をはかる。 しかし癖の強い博士は癖の強いスタッフで周りを固めており一筋縄でいかない。その上マーティンはあらゆる事業にちょっかいを出しては失敗してきたのに詐欺師ですらない。

 という感じで始まる「サーチ & デストロイ」(あらすじに要約できない)。見ながら、この話はどこにどう展開したら終わるのかさっぱり想像つかず、掟破りではありますが、途中で二度ほど巻き戻して見てしまいました。

まず、主人公マーティン(グリフィン・ダン)が口八丁ですらない不思議な塩梅。

マーティンは映画プロデューサーを名乗り、そこに博士の助手のマリー(イリーナ・ダグラス)が「私の脚本を読んで」と話しかけ、途中色々あって、というほどのことはないけれども「なにもない」という感じでもない経緯を経て恋人になります。が、ほどなく実はマーティンが映画など作ったこともないということを知り、さて、さぞマリーは腹をたてるだろうなと眺めていると、「人は名乗った者になるんだ」などと言い訳をするマーティンを、おもしろいものを見るように眺め、追及しないだけでなく、二人でニューヨークに行って映画をつくろうとまで言い出すのです。だから、マリーは巻き込まれるのではなく、自ら積極的にマーティンのふらふらした話に乗るのです。

これがマーティンではなく、ロバート・ダウニーJr だったらむしろ凡庸な詐欺師の話になってしまうかもれいないなっていうくらい、マーティンの姿、たたずまいが微妙でおもしろい。

また、マーティンが出資者を探してキム(クリストファー・ウォーケン)のオフィスで長広舌をぶって自分を雇ってくれと懇願するときのキムの、おもしろいものを見るような顔もおもしろかったです。

マリーもキムもこのマーティンをほんとにおもしろいものを見るように目を輝かせる。 

それで一体、これはどうなってしまうのかなあ、どうなっても受け入れる以外にないなあと半ばびっくりしつつ、半ばあきらめつつ見ていると、それはもう大変なことになってしまうのですがその経緯はさておき、とにかく主要登場人物三人の、どこに行くのかさっぱりわからないふらふらした会話が充実していておもしろかったです。

 

(不思議な充実を見せる会食シーン)

 

ところで、この映画のタイトルを検索すると、このような DVD のパッケージが出てきます。

 清々しいです。

一番上のイーサン・ホークは「リアリティ・バイツ」かなんかのときの彼ですね。この映画とは無関係な写真です。イーサンは一応二場面ほど出てくるのですが、まだ子役っぽい顔のころで相当チョイ役です。ロザンナ・アークエットも最初の方に出てきますが主要登場人物とは言えません。もしイーサンやロザンナのファンの方で、「あ、こんなのあったんだ♪ 見てみよー」という方がいらしたら、止めはしませんが、ご覚悟いただきたいと思います。

そうです、イーサンが出てると思って見たんです。出てはいました。「あ、出てるな」ということを確認できる程度の出方でした。