雨降り

幽霊について

2015 年アイドル映画大賞

話題の「技術者たち」を見ました。

gijyutsu-movie.com

監督:キム・ホンソン

出演:キム・ウビン、イ・ヒョヌ、コ・チャンソク 他

原題::The Con Artists

2014 年 韓国

ジヒョク、グイン、ジョンべが厳重な警戒をかいくぐって宝石店からダイヤを盗み出したことに、チョ社長が目をつけた。社長は以前から政府の隠し金1500億ウォンを狙っていた。隠し金はセキュリティ万全の税関にあるという。それを盗み出すには金庫破りやハッカーといった「技術者」が必要で、ジヒョクらこそが社長の求める人材だった。社長は人質をとって彼らを追い込み、自分のもとで働かせ始めるが……。

 大ヒット上映中。

見ながら、「これは完璧なアイドル映画だな〜」と思いました。とても楽しかった! 見終わると客席のあちらこちらから「おもしろかったね〜」という声があがっていたし、一分の隙もないアイドル映画でした。

主人公ジヒョクを演じた人が実際アイドルかどうかはわからないものの、映画内における扱いが完全にアイドルだったので、アイドル映画という認識で良いと思います。

アイドル映画に肝要なものは何かと考えると、主人公がきらっきらっと輝いていて、その人が輝くために出来事も心情も全部向かっていくような「輝く中心」感と言うか、(語弊があるかもしれませんが)「掃き溜めに鶴」感と言うか、そういうものだと思います。

この映画でまず特徴的に示されるのは、ジヒョクの身体能力です。冒頭から走り、跳び上がり、回転し、飛び降り、おしみなくその高い身体能力を見せてくれます。大勢の警備さんに追尾されながら、一人だけ重力が違うかのような、羽でもはえているかのような描写が続きます。

このジヒョクと対になるのが、彼を追い詰める「社長」にどこまでも付き従い、どんな汚れ仕事も眉ひとつ動かさず淡々とこなす秘書で、こちらはコントロールされ尽くした「美しい」動き。対して、ジヒョクは野性味のある、ときにはじたばたしたところも見せながらの華やかな動きです。

また、ジヒョクには一つ秘密があり、それを誰にも打ち明けないまま物語は終盤を迎えます。こういう映画では主人公が何を考えているかわからないので、観客は置いて行かれがちになりますが、彼の場合は動機がきちっと示されるので、大丈夫。社長に捕えられ、配下に組み入れられて無謀な計画に加わらせられたという経緯の後、屋上で一人、コップに酒をくみ、虚空に向かってそれを渡す場面が入ります。そして、「先生、今夜はやけに先生に会いたいよ」とつぶやくのです。

事実としてどういうことがあったかはわからないものの、彼が死者と酒を酌み交わそうとしてできず、ただ、もう一度その人に会いたいと願っていることはわかります。おそらくはその人物が一連の彼の行動の背景にあるのだなとこの時点で納得させてもらえるので、見ていて、彼を信用できるのです。

この場面に至る前、彼はある人物に向かって自分を「信じてくれ」とやや唐突に言います。言われた相手は当然戸惑うのですが、そのときの言葉が時間差で観客の胸に響くことになります。

そして彼にはグインという信頼のおける相棒がおり、その相棒もまたジヒョクの言ったことなら信じ、さらにはグインが信用してつれてきたハッカー、ジョンべがいて、という具合にジヒョクの周りには信頼感の糸が張り巡らされています。

はらはらしつつもしっかりとした中心のある物語で、さらにその物語にとって必然性あるかたちでのアクションシーン、カーチェイスなどもたっぷり見られ、とても楽しかった。これは紛れもなく2015年アイドル映画ナンバーワンと言って良いと思います。

ちなみにナンバーツーは、「WE ARE Perfume」。

we-are-perfume.com

こちらは、私の好みとしてはちょっとはずれる部分もありました。できればナレーションなしで、もっとロード・ムーヴィーとして作り上げて、初めて見た人にも訴えるようなものにしてほしかった。そういった若干の不満はあるにしろ、彼女たちがいるだけで世界が輝いているように見えるのだから、紛うことなきアイドル映画。お仕事映画の側面も大きいのですが、終盤の高まりはアイドル映画としか言いようがありません。

ナンバースリーは「イニシエーション・ラブ」と迷ったすえ、「ジョーカー・ゲーム」に決めました。

www.jokergame-movie.com

決まりきらない部分もあります。もうちょっと何とかなってほしいなと思う部分がちょこちょこあります。でも、主演の亀梨和也が着替えながら走るシーンや、ビルからビルへ屋上を走って飛び回るシーンなどがとてもきれいで、質の高いアイドル映画を見ているなあと思えました。

イニシエーション・ラブ」もあっちゃんがモンスター級にかわいくておもしろかったし、「海街 diary」の輝くばかりにかわいい広瀬すずの破壊力も印象に残っています。

そして、アイドル映画を考える上でドニー・イェンをどうするか悩みました。「アイドル」という言葉を聞くと真っ先に浮かぶのがドニー・イェン。特に今年の「スペシャルID」などはアイドルの輝きでした。でも、ドニーをこのカテゴリーに入れるとトム・クルーズキアヌ・リーヴスも入れなきゃいけなくてしっちゃかめっちゃかになるので、この辺にしときます。おわり。