プール雨

幽霊について

自分にふりまわされる感じ

最近は四大陸選手権の男女シングルや、代々木でやった Stars on Ice、テレ朝で放送された Ice Gala などを見ていました。
四大陸女子シングルではジジュン・リーとポリーナ・エドモンズが印象的でした。ジジュンは FS を滑りきる体力がないのかなというようなことが多かったんですが、久しぶりに最後まで滑りきるところが見られて良かったです。「陸上ではちょっと想像できない身体の部位までコントロールできてる感じ」と「自分で生み出した遠心力に自分がふりまわされてる感じ」の両方が見られるのがフィギュアスケートの楽しみだと思うのですが、ジジュンは後者に寄った動きで、いつも「これはこれでまぎれもないフィギュアスケートだし、これが彼女のスケートなのだなあ」と思います。ポリーナは彼女とまったく違うスタイルのスケートで、前後左右よりも上への動きが印象的で、「コントロールされた、飛びたがる身体」というものを見せてくれる。二人共数年先が楽しみです。
Stars on Ice は今年もオープニングアクトがよかったです。いつもとっても素適なんですが、今回はきらきらっとした群舞でフレッシュで楽しかった。全体的に若くてきれいなショーでした。北米のチームは体幹が強くてコントロールがきっちりした滑りを見せてくれることが多いので、そのパワフルさが素適です。
イタリアでやった Ice Gala、演技と演技の間に色々と工夫のあるショーだったようなので、テレビで放送されたのは半分もないと思うのですが、ヨーロッパでのショーがこうしてテレビで見られるのは幸甚です。
ほんの一部分の放送でも、「遅れてきたクリスマスプレゼント」と呼ばれるだけあって、アットホームな、あたたかみのあるショーの雰囲気は伝わってきました。ああ、この場にいたいなあ! と強く思いましたし、ここでゆったりとショーを見た後、気心の知れた相手とゆっくりお散歩でもしたらどれだけ素適だろうと思いました。大人の演技がたくさん見られたのも良かった。
安藤美姫は一曲目は Rufus Martin が歌う「アメイジング・グレイス」に乗せて、二曲目は「Piano Variation」(誰の Piano Variation の、何番なのか知りたい)に乗せて演技を披露。ああ、こういう風に滑りたいんだなあという感じのする演技。抑制の効いた、コントロールされた部分と、ふっと崩れそうな回転のバランスが絶妙で、私はやっぱりこの人のかたちが好きなんだなあと思いました。カロリーナも美姫も、「氷の上でバレエ」とか「氷上のダンス」といったものではなく、「あるひとりの人が氷の上に乗って、音楽を聞いている」としか言いようのない動きを獲得しているのが素適です。
それにたっぷりショーン・ソーヤーも見られたし。大満足。