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雨降り

幽霊について

イミテーション・ゲーム、バードマン、ワイルド・スピード、セッション、マップ・トゥ・ザ・スターズ、嗤う分身、群盗

-4/15 イミテーション・ゲーム新宿武蔵野館

The Imitation Game

The Imitation Game

    • 嘘自体問題だけど、中でもきついのは、言われた方がは即時にそれが嘘だとわかるだけでなく、ほんとうのところをすーっと理解でき、しかし「嘘つくなよ」の一言がどうしても言えないような状況のとき。さらに言った方もそれがわかっているようなとき。そういった共犯関係に突入してしまうことは現実にままあり、ほんとうにつらい。映画で、こんな風にそれを純化したかたちで見せられるとやはりつらいけれど、なんだか慰められているような気もした。主人公が何度か、「その嘘、知ってたよ」と言われて、それでもさらに嘘を重ねなければならないというところがあまりに痛ましく、せめて一生に一度、「そうだよね、わかってたよね、やめよう、こんなこと」と言ったっていいじゃないかとか、そういう甘ったるいことを考えた。
    • 主人公は天才で、ふつうの幸せが望めない人として描かれているんだけど、私にはどんどん「ふつうの人」に見えてきた。この人が「偉大な人」になってしまったのは戦争があったからで、それがなければちょっと付き合いづらい一人の研究者として、「ふつうに」生涯を生き抜いたかもしれない。「偉大さ」なんて、私はいらないな。アランが気の合う人と親密な生活圏をつくって、笑ったり泣いたり、ときには退屈を味わい、論文が受け入れられたり受け入れられなかったりしながら生きてくれた方がずっと良かった。

 
-4/16 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)@立川シネマシティ

Birdman

Birdman

    • 見てると、健全に暴れん坊になれる。「文句あっか!」とか口汚く全世界を罵りたい健全な自分が、映画の間じゅう楽しく大暴れできる。

 
-4/22 ワイルドスピード SKY MISSION@TOHO CINEMAS 新宿

ワイルド・スピード スカイミッション

ワイルド・スピード スカイミッション

    • きれい! 楽しい!
    • 飛行機から車がぶーんと飛び降りる。車ごとぶつかりあったり飛んだり跳ねたり、アクションします。
    • ポール・ウォーカーの「動けるけどマッチョじゃない」ムードがすでに懐かしい。アクションスターであり、同時に甘い雰囲気もあって、それが懐かしくて寂しい。
    • 趣味の良い友人がテレビで予告を見て「こんなの、誰が1800円払うの?」と呆れた口調で言いましたよ。それは、わ・た・し! しかも 3D で見たからもっと払った。ぱーんと払いました。なんなら今年1位だ。
    • ジェイソン・ステイサムってほんとに華やかで素敵。

 
-4/22 セッション@TOHO CINEMAS 新宿

Whiplash

Whiplash

    • 映画のラストの盛り上がりに向けて、主人公たちの「底が割れる」。この「割れ方」が自分にとってはダメだった。「その土曜日、7 時 58 分」も、「ゴーンガール」も「ブルーバレンタイン」も「レボリューショナリーロード」もぐいぐいと見てきて受け入れてきたのに、これがダメだなんて自分でも不思議だな。ラジオで宇多丸が「この映画最大のツッコミどころ」って言ってた箇所が自分にとっては「ツッコミどころ」という表現では到底呼び得ない、破綻としか感じられないものだった。
    • 先生の授業風景は、学生時代のことが思い出されて、そこは楽しかったです。「ああ、こわかったなあ」とか思い出した。でも、私の先生はあんな子供っぽい悪人じゃなかった。ああいう人、いるだろうけどさ。まず「先生」になれないよね。単純に「就職できない」っていう意味で。
    • つまり自分は、「音楽」も「教育」も「舞台」もかなり「大切なもの」と思っていて、そんなのクソだよと言われると、むかっときてしまうんだなあ。「クソだ」っていう人が大勢いるのは知ってるし、その理路も一応理解はするけど、クソだって思うなら、クソじゃないところで勝負すればいいじゃんって思ってしまうよ。それだって、「ゲーム」なんだから。

 
-4/27 マップ・トゥ・ザ・スターズ@キネカ大森

Map to the Stars

Map to the Stars

    • 恐るべき子どもたち in ハリウッド。
    • 言葉も映像も整理し尽くされているので、目が離せない強烈さがあるのと同時に、疲れない。
    • あんまり人間をきれいに撮ろうという意思が感じられない映像で、見る時々で好悪が変わりそう。
    • そうか、さすがにこれは大人っぽいのか。クソを扱うにしても、こう来られると、見ていられるなあ。

 
-4/27 嗤う分身@キネカ大森

Ost: the Double

Ost: the Double

    • いつの、どこの、なんの話かわからない感じがして良かった。
    • 主人公が、主人公の分身によって場から排除されていく過程になると、絵面がアメリカっぽくなっていって、ああ、ここで終わるとちょっと嫌だなと思っていると、もう二回転くらい、展開があって、「どこのなに」かわからなくなっていったので、良かった。
    • 上を向いて歩こう」の場面のきれいさが見事だと思った。

 
-4/29 群盗@シネマート六本木

Kundo: Age of the Rampant

Kundo: Age of the Rampant

    • 道具立てはシラーの「群盗」に似ていて、広大な土地と巨万の富を手にする家系の息子、ユンと、貧困にあえぐ暮らしの中でひょんな行きがかりから盗賊団に助けられ、その中で生きることになったトルムチの、「似ても似つかない兄弟」のような二人が主人公。ユンは嫡子ではないため、正統な後継者として父から認めてもらえず、その渇きから悪に染まっていくというわかりやすいキャラクター。一方トルムチは富も知識もないけれど、善良さと仲間、善導してくれる大人もそばにいるというやはりわかりやすいキャラクターで、俳優たちの存在感がそのまままっすぐな魅力となって観客の胸をかきむしる、ストレートな良い映画。
    • 人々の顔が重々しく、それだけでも見応えがある。おもわずしげしげと眺めたくなるような、重みのある顔。
    • その中でユンだけが徹頭徹尾美しく、可憐で、同情を誘う。
    • 父親の愛情が欲しくて狂っていくユンが、幼い弟に手をかけようとしてかけられず、また長じてその弟の生まれたばかりの子をやはり抱きしめてしまうところは、ちっとも甘ったるくない話だ。
    • ハ・ジョンウは、「トルムチ 18 歳」という、その若さを堂々と熱演。その年齢を聞いたときは、口にしたコーヒーを吹き出しそうになったけれど、あとになって考えてみれば、ハ・ジョンウに当て書きしたとしか思えない、堂々たる若さだった。重さと若さが同居しているのが彼の魅力なんだと思う。