みょうちきりんな映画でした。
思わず二回見てしまいました。字幕版と吹き替え版で一回ずつ。
おもしろかったです。
あっ、これは、も……
……っのすごく、変わった映画だな! と思いました。
まとまった感想がどうしても書けませんので、思いつくままに書きます。
1.まず最初に、ローズ問題
最初に小さな問題から。
ローズには人間味を感じませんでした。
「ディズニー映画を食わず嫌いで見ていない人が想像するディズニープリンセス」、あるいはやはり「食わず嫌いで宮崎あおいの出てくる映画を見ていない人が想像する宮崎あおいがやりそうな人物」で、人間というよりは物語の型のようでした。
もうちょっとくわしく言うと、ディズニーが捨てた古い物語の型、宮崎あおいが(おそらく)脱ぎすてた古いイメージそのもののような感じで、ローズだけちょっと抽象度が違っていて、出てくるたび不思議でした。
だから、キスシーンは逆におもしろいと言えば言えるのかなあ、という気もしないでもないです。
フィンという人は徹頭徹尾自分で考えて(あるいは反射的に)、自分で動く人で、なんとも言えない魅力があり、私にとってはほぼ「親戚の子」程度の重みがあり、完全に、個別具体的な一人の人なのですが、この人に、「物語の象徴」がキッスをした……といった感じの驚きがありました。
その後のフィンの戸惑いも含めて、びっくりシーンでした。
映画にとって必要なシーンかというと「いらない」としか言えませんのですが、まあ、びっくりしたよ。
2.性格と運命
「生まれつき」ってことを考えさせられる映画でした。
マザー・テレサが言ったとされる、いいかげんな言葉遣いをしているといいかげんな行動につながり、いいかげんな行動はいいかげんな習慣につながり、いいかげんな習慣はいいかげんな性格になり、いいかげんな性格はそれなりの運命を呼ぶ、的な言葉がありますでしょう。
いや、誰が言ったかはっきりしないけど、違うね、テレサ(仮)! とよその幼子を見るたび思います。
人間って固有の人格を背負って生まれてくるんだなあ、と。
「子どもって、存外親に似ていないな」「思いっきり別人だな」と、子どもたちを見るたび思います。みんなすくすくそのまま大きくなりますように。
でもなかなか「そのまま」でいさせてくれない。それが環境で、フィンはファーストオーダーに拉致されて洗脳されてしまったし、レイは……(一応ネタバレに配慮)……たし。
それでその、フィンが革命軍から脱走して、そこでレイに会って、会ってすぐ「彼氏いる?」とか聞くのが変じゃないかって思う人もいるそうなんですけど、変じゃないと思う。
フィンは、生まれつきああいう人なんだと思う。
レイが、……(一応ネタバレに配慮)……という過去がありながら、あんな風にまっすぐな目をして明るい性格なのは変だという人もいるかもしれないですけど、あれは生まれつきだからしょうがない。
「生まれつき」という言葉はどうしてもネガティブな情報と結びつきがちですが、「生まれつき賢い」「生まれつき明るい」「どうしても、いい奴」ということもあると思います。
そして、おもしろいのは、それが血筋では語りきれないことだということ。SWはファミリー・アフェアの面があるのですが、フィンとレイはそこから切り離されています。血筋がドラマを呼ぶのではなく、ほかならぬフィンとレイだからドラマがうまれ、そしてそのために、宇宙のそこここでいつも何かが動いていることまで想像できるのです。
3. ルーク
ルーク、「4」のルークだった。お久しぶり!
4. レイア
美しい。
ルークとレイアの再会場面にハードボイルドを感じました。あの二人は、ハン・ソロもそうだけどハードボイルドですよね。
レイアは生まれつききちかちっとしているからまだいいけど、もしルークがハードボイルド味を身につけていなかったら、ほんと、ほんと、まじで、単にむかつくじじいですよ。中身は変わってないくせにかっこつけてるから愛せるわけで。
ああして現れてサ、「(新しい髪型)よく似合ってる」とか言っちゃってサ、C-3PO にウィンクしちゃってサ、あいつに「またな」かなんか言っちゃってサ。
ルークとレイアがああしてお互いを慈しみあってサ。
私の人間性が目覚めました。
やっぱり、ある程度の年齢をこえたら臆面もなくかっこつけることができて、それが板についていて、っていう状態に至ってないと…………多分、きつい……つらい……。
レイアと、レイアの兄貴が大好きです。
5. 若造 & 小娘
それに比べるとヤンガーな面々はかっこわるいところばっかりで、恥をかかされることも続くし、見ていて辛いところも多かったです。レイがケアテイカーに一言も謝らないのなんか、そんな、レイ! レイはそんな人じゃないでしょ! あれ〜? そういうところもあるの〜? と私の心は千々に乱れました。
6. その他
思い出せば思い出すほど変な味わいの映画でした。音楽の入るタイミングがかっこわるいとか、アクションシーンがかっこわるいとか、いくら何でもフィンとローズがよその星飛んで……のくだりはいろいろとひどくないかとか、トロ様はだってトロ様なのだものとか、言い出したらキリがないのですが、まあ、二回見て、「……あっ、そういうことかあ」と思い、また、二回目にも限らず
泣いた
なんていうことのあった映画なのだから、捨て置くのももったいないかなと思います。
おしまい