プール雨

幽霊について

ハイクのデータがブログにインポートできなくてつらかった。

ハイクのデータがブログにインポートできなくてつらかったです。

はてなさんに問い合わせたところ、はてなではハイクの後継サーヴィスの用意がないので、ハイクのデータをそのままインポートする受け皿はないということでした。

自分で何らかの加工をしないと、どうにもならないのかあと、一時期はひとつひとつコピペしようかと考えていました。

そこで id:screwflysolver さんに手取り足取り教えていただいて、「マック 右クリック」「オートフィル 時間がかかる」「正規表現とは」など検索しつつなんとかかんとかデータと格闘すること 10 日。

できそう、できるかもしれない……っていうところまでは行きました。

なんとなく、作業の方向性がうっすらわかるところまでは行きました。

でもそこから先に進めなくて。

 

ここで一旦休憩にします。

ネットを検索すればデータの形式をインポートできるものに変えるツールがたくさん公開されているので使ってください、とはてなの方には言われたのですが、データが大きすぎてそのままだと無理なんですよね。

今回 screwflysolver さんに教えていただいて、そのデータ自体を分割しても別にいいのかもしれない……という発想も持てました。もしかしてその線から攻めるかもしれません。

とりあえず、一旦休憩します。

そして、ハイク(の、特に id ページ)で書いていたようなことを今後はこのブログに書いていっちゃおうという、そういうつもりです。

 

「魂のゆくえ」

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原題:First Reformed

監督:ポール・シュレイダー

2018 年

小さな教会、日曜日、まばらな人々、牧師トラーの堅実な説教。礼拝が終わると、一人の女性、メアリーが牧師に「夫に会って、話を聞いてやってほしい」と依頼する。彼女の夫、マイケルは「こんな世界で子どもを産んではいけない」と、妻に中絶をすすめるのだという。トラーはマイケルに懸命に話しかけるが、逆にマイケルから教会の環境保護に対する態度をなじられ、かわりに、イラク戦争に息子を従軍させ、死なせてしまった経験を話すことになってしまう。

 

いま、イーサン・ホークのうまいんだか下手なんだかわからない歌を聴きながらこれを書いています。

まず、カメラがフィックス。

カットは割れていくんですが、基本的に一旦画角が決まってしまうとそこから動かない。

「当たり前だろう」

と思われる方に弁解しますと、私はふだん映画を見ると、その中に入り込んだような気になっているのです。だから思い出すと実際の画角と別の角度、アングルの絵を思い出してしまい、何度も思い出しているうちに結構なちがいが生じてきてしまうのです。

でも大抵の映画はいろんな角度から見るよう、誘惑していると思います。フィリップ・シーモア・ホフマン(兄)がイーサン・ホーク(弟)を怒鳴っているとき、兄の目から見た怯える鹿のような弟を想像しないでいるのはちょっと難しい。

「魂のゆくえ」はまず、がっちりこちら側の視線が固まるところから全シーンが始まって、そこから動けないのです。目が動かせない。なにかで頭を固定されて見るような感じです。

そこに来て、ドア越し、壁越し、窓越しの映像が多いため、のぞき見をさせられているような感じすらあります。

イーサン・ホーク演じるトラー牧師がジェファーズ牧師から「君はひとりでずっと苦闘している。イエスですらそうなことはなかった。休息が必要だ」というようなことを言われてしまうシーンが終盤あるのですが、トラー牧師は「よりそうこと」を拒む人物として描かれていて、そのことと彼がマイケルからあるものを受け取って、それを自身の義務として生きようと決断する展開が結びついています。

つまり、彼は「世界」と対決しようとするのですが、その「世界」には今現に見ている私も含まれるわけで、見ながら何度か「今、強烈に拒まれた」と感じることがありました。

はっきりとそれを感じたのは、彼が夜通し車を運転し、歩き、そして別の祈り方を発見したとひとりごちる瞬間です。画面の右隅に立ち、向こう側を向いている男が私たちをまるごと憎んでいるのがわかりました。

そのことと比べれば終盤の展開はむしろ優しいというか、「ま、よかったナ」って感じがするほどです。

とにかく、スクリーンからあれほど強く、はっきりと表現として拒絶されたのは初めてのことで、そのことが強く印象に残りました。

私は憎まれていると思いました。

同時に、「私、『世界』じゃないよ」とも思いました。

ざべす・イン・ワンダーランド 最終回

ざべすよ!

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お楽しみいただきました「ざべすの京都ほっこりダイアリー」も今日で最終回です。

いろいろありましたが、4 月 3 日の午後は、東福寺に参りました。

臨済宗東福寺派の総本山だそうです。

ここもなんでもすっごく大きかったです。雨子たちが「自分の世界観の間尺に合わない」ってずっと言っていました。

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大きさがすこしわかるでしょうか。全部が巨大です。

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本堂と開山堂をつなぐ通天橋をわたります。

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広大なお庭のなかを行きます。秋になると紅葉でたいへんだそうです。

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お庭がおしゃれでかわいいです。

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鳥さんもいました。

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ここから帰りました。

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京都駅から新幹線に乗りました。とってもさみしかったです。また来るからねって京都に話しかけました。ばいばい。

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長谷寺も天理も伏見稲荷東福寺も、この世にひとつの別世界をつくりあげていて、ワンダーだなあと思いました。宗教というのは、そういうものなのだなと思いました。世界をつくるのですね。だから静かできれいで、間尺に合わないんだなと思いました。

迎え入れてもらって、うれしかったです。

おじゃましました。

ざべす・イン・ワンダーランド 最終日前半

ざべすよ!

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「ざべすの京都ほっこりダイアリー」も今回を入れてのこすところ二回です。

4 月 3 日のことでした。

前の晩泊まったところは、ふつうの一軒家の二階で、暗証番号を入れて中に入るシステムで不思議でした。キッチンとお風呂、お手洗い、それに洗濯機や食器などがあって、おうちみたいだったので、ざべすあそこを京都の別荘にしようと思います。

三角形のいなりずしを食べてから、伏見稲荷大社に行きました。

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お山のなかにずーっと、ずーっと鳥居が続いていて、おもしろかったです。お山をひとつ、ワンダーランドにつくりあげたようでした。

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蛭子能収さんが寄進していました。

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ここでお神楽をやったりするそうです。本堂にはカメラを向けられないのですが、このとき、写真を撮っている雨子の背後に本堂があって、そこでなにか祝詞をあげたり、楽器を演奏したりしていました。

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そのあとは、伏見の街の酒蔵めぐりをしました。

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お昼は焼き鳥食べました。

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伏見って、のんびりして静かでいいところでした。焼き鳥もおいしかったです。

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 伏見ではたくさんの新婚さんが記念写真を撮っていました。川沿いの桜の下や酒蔵の古い町並みを背にして、ドレスの花嫁さんとタキシードの花婿さんがとっても幸せそうでした。

ざべす・イン・ワンダーランド 二日目の昼と夜

ざべすよ!

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「ざべすの奈良まったり紀行」も終盤です。

4 月 2 日朝、長谷寺で勤行を済ませ、おごそかな気持ちで初瀬を旅立ちました。

初瀬の駅です。ざべすこのときはすこしさみしい気持ちになりました。

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でも、このあと行ったのが天理市だったので、わけがわからなくなりました。天理教のことは今回すこし勉強しました。天啓を受けた教祖が開いた、「陽気ぐらし」を実現するための宗教だそうです。

神殿は、だれでも見学できますが、とてもおごそかなところなので、おごそかな気持ちで、息を止めて歩きました。そんなところに、いつでもだれでも入れるというのはすごいと思いました。

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 そして、すっごくなにもかがもおっきくて、びっくりしました。神殿の写真、人間のみなさんと比較してください。柱も大きいし、天井も高いし、窓が全部開け放たれていて、びゅお〜と風が行き来して、ちりひとつおちてない、とってもきれいなことろでした。

 大きさときれいさが伝わるでしょうか。雨子が「写真には写らない大きさがある」って言っていましたが、伝わるといいなあと思います。

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なにかこの世とは別に、ひとつ、おおきな世界をつくりあげているんだなと思いました。きれいで、しずかで、大きくて、変わった映画の中に入りこんだような気がしました。雨子は「これがほんとの 4D」って、よくわかんないこと言ってました。

ここからすこし行くと石上なのですけど、ちょっぴりくたびれたので駅前でお昼ごはんにたこ焼きを食べて天理を後にしました。たこやき、おいしかったです。やきそばも食べました。

宇治に移動して、抹茶とさくらもちをいただきました。ここから「ざべすの京都ほっこりダイアリー」です。抹茶、おいしかったです。疲れが取れました。雨子と雨夫がお店の人に「おいしいお茶って、出汁みたいな味がしますよね。そうじゃないお茶ください」とか言ったので、ちょっぴり恥ずかしかったです。もう!

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平等院鳳凰堂に行きました。

藤原道長さんの別荘的なところを息子さんの頼道さんが寺に改めて創ったのだそうです。ここで雲中供養菩薩像っていうのを見ました。仏様やお坊様がひらひらと雲にのって楽器を演奏している像がいっぱいあって、とっても素敵でした! ふわふわ、ひらひら、ぴーひゃらひゃらとしていて、うわあと思いました。うちにもほしいです。

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雨子が撮ったなぞの看板。

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この日はこのあと伏見に移動して、肉食べて熟睡しました。

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(元がどこに行ったかわからなくなったので、自分のツイッターをスクショした写真)


(三日目につづく)
 

ざべす・イン・ワンダーランド 二日目の朝

ざべすよ!

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「ざべすの奈良まったり紀行」にようこそ。

4 月 2 日のお話です。

この日は盛りだくさんなので、分けます。

初瀬の古い旅館で目覚めて、長谷寺での勤行というのに参加しました。お坊さんがビートをきざんで、それに合わせてお経をあっちからこっちから最初は控えめに、だんだん激しく、最後は大合唱という感じで歌っていきました。ざべす、おとなしく聞きました。おもしろかったです。

もちろん、このときの写真はありません。

この登廊(のぼりろう)を登って本堂に行きました(写真は手前が上です)。大きな観音さんがいて、さわらせてもらいました。すべすべしていました。

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だんだん日が昇っていきました。

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お花咲いていました。

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旅館に歩いて帰って茶がゆ食べました。

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とってもおいしかったです。右上の、赤いこんにゃくが見えますか? 旅館の人に「このこんにゃくみたいなの何ですか?」って聞いたら「こんにゃくです」って教えてくれました。ざべすこれ、琵琶湖の辺りでも食べたことあります。不思議な食べ物です。また食べたいです。

(二日目の昼と夜に続きます)

ざべす・イン・ワンダーランド 一日目

ざべすよ!

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ざべすたち、奈良と京都を旅してきました。

そのときのことを書きます。

旅程

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最初に行った今井町って、こんなところです。今井町の人のお話では、浄土真宗本願寺派称念寺というお寺を中心にして栄えたのだそうです。そこがむかし、織田信長さんと緊張関係にあったのですけど(そのためでしょうか、町がぐるりとお濠で囲まれていました)、堺の商人さんや明智光秀さんが間に入ってなんとかなったのだそうです。だから今でもこんな風に古くてきれいな町並みが維持されているのですね。うまく行って、よかったなあと思います。

称念寺さんのお写真はないのですけど、境内にあった休憩所は撮りました。おざぶとんが用意されていて、だれでもここで一休みできるようになっています。

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このお寺を中心にして、きれいで静かな町並みがどこまでもどこまでも続くし、道もとっても歩きやすくてゴミが落ちていないの。それでいて子どもたちがあちこちで遊んでいたり、洒落た喫茶店で近所のおばあちゃんたちがお食事していたり、なんだかとっても素敵な町でした。

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これはよくわかりませんが薬屋さんで雨子が撮影した看板と旗です。

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そして、じゃじゃーん。

ざべす、ここ素敵だと思いました。

以前は町役場として使われたこともあったそうです。今は「今井まちなみ交流センター」といって、資料館になっていて、だれでも見学できます。

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町で労働中のみなさん。

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そしてここから初瀬ということろに移動しました。

長谷寺です。お花咲いていました。

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すごくワンダーなところでした。ここは二日目の朝にも行ったので、くわしくはそこで書くとして、このとき天気雨が降ったの。わーって降ってぱっと上がったの。そしたら、虹が見られました!

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ざべす感激。

写っている写真がないのですけど、ほんとは虹、二本あったの。びっくりしたわ。

初瀬の町はこんな感じです。金田一耕助さんが出てきそうです。

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泊まった宿にはこんな絵がありました。

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肉食べてぐっすり寝ました。

ハイクがおわって

はてな様より「ずっとブログ書いていませんが、お元気ですか」と生存確認をされました。

お元気じゃありません。

10 年くらい、来る日も来る日も書きじゃくってきたハイクが 3 月 27 日の午後 5 時に目の前で消えまして、泣きじゃくってしまい、翌朝、鼻血が出た上にほうれいせんが、この人生上ナンバーワンの深さで顔に刻まれ、「ああ、寂しいとか悲しいっていうのは健康に悪いのだな」と思いました。

ほんとは、ハイクのデータをこっちにインポートして、ブログタイトルも変えて、完全に web 上で生まれ変わってみよう、こんちくしょう、という気持ちでした。

でもそれもいつになるかわからないし(データをエクスポートして、それをエディタに読ませるために、エディタのマニュアルを読みつつ、イメージトレーニングしている段階です)、ただでさえハイク終了のお知らせがあってからのこの 4 カ月というもの、延々ハイクに注力して、こちらは放置状態だったので、そろそろ動かさないと書き方を忘れそうです。

ハイクはわりと初期のころから「過疎だ」「いつ終わってもおかしくない」と言われたり、スパムの襲来が始まってからはシステム自体不安定になったり、そんななか、人間が集まってやることですから、喧嘩もあったりして、いいことばかりではなかったです。終わると聞いて、ほっとした部分も実際あります。

でも、ハイクで私は個人的にいくつかすごく大きな恩恵を受けていまして、そのうちのひとつを今日はがんばって書いてみようと思います。

「雨子はガラスケースに入っている感じだ」と 25 歳くらいのとき人からいわれて、自分は自分なりにオープンなつもりでいたので驚きました。でも、47 歳の今振り返ってみると、35 歳くらいまでガラスケースに入っていたなと思います。

人と話すことに実はすごく抵抗があって、大事なことほど口にしてくなくて、その分、内面がすごく騒がしかった。いつも心の中は言葉でいっぱいで、自分で自分がうるさかったです。

それをハイク上で開いていったという感覚があります。言葉をぽろぽろとこぼしていって、あるとき、「あ、今、心の中、シーンとしているな」と思いました。それは自分にとってすごくほっとすることで、ほとんど初めてというくらいの深さで気持ちが落ち着きました。

ハイクで色々と日々のよしなしごとを書いていくうちに気づいたのは、以前の自分が「私の言葉は私が所有している」という感覚がどこかにあったんだなってことです。それを開陳して傷つけられるのが嫌だったんですね。

でも言葉はみんなの間にあるもので、私が書いたことは私が所有できるものではなく、他のだれかが書いた言葉とからみあって、私たちの間にある織物になっていくんだな、と、そんなことはあらかじめわかっていたつもりだったのに、実際目の前でそういうことが繰り広げられると、言語体系がまるごとじゃぶじゃぶと洗われていくような感じがしました。

私がファンになったハイカーのみなさんとお気に入りのお題群で作るアンテナは、なかなかいい感じでしたよ。

思想的にはいわゆる右派から左派までまんべんなくいて、文学、文芸がなきゃ生きていけないって人から虚構には興味ないんですって人までいて、お部屋がぴかぴかのミニマリストな方もいれば毎日「片付かない」って泣いている人、そして片付けるつもりなんかありませんって人も、健康な人も病気がちな人もとくに持病はないけど虚弱な人もいて、そんなみんなでよってたかってひとつの織物を編みました。そして編み物は一枚だけではなくて、千枚くらいあったんでしょうか、よその宇宙も感じつつ、毎日毎日書いていました。

言葉を鍛える機会をありがとうございました。

はてなハイクというサーヴィスには様々な可能性があったと思いますが、いろんな失敗もあったし、残念ながらあそこで終了していまいました。

でも、悪くなかったです。

ありがとうございました。

野に放たれたハイカーの活躍にご期待ください。

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2018 年に読んだ本メモ(読んだ順)

  1. フィリップ・K・ディック『時は乱れて』……どうってことない日々の風景が激変する最初の瞬間。思わず冒頭を書き写してしまった。
  2. 清水潔『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』
  3. 清水潔『桶川ストーカー殺人事件 遺言』……上記と合わせて二冊一気に。こういうことはテレビ局や出版社のスケールがなければできないこと。ネットではできない。
  4. デボラ・E・リップシュタット否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い』……歴史や言語、教育に関してはだれもが当事者。でも、当事者であるからといってプロだということにはならないわけで、ネット上の言説を見ていると、歴史、言語、教育について多くの人がでたらめをでたらめと思わず書いている。そうしたでたらめとプロの研究を対置させてはいけない。比較できないものを比較するのはまちがい。
  5. アガサ・クリスティー『スタイルズ荘の怪事件』……ポアロ登場。
  6. 春日武彦×平山夢明サイコパス解剖学』……誤植も多いし、つくりが雑な本だった残念。
  7. 門井慶喜銀河鉄道の父』……無力さに食い尽くされそうになる宮沢賢治という新しいイメージ。
  8. アガサ・クリスティー『ゴルフ場殺人事件』
  9. アガサ・クリスティーアクロイド殺し……ポアロ。どちらも再読。『アクロイド』は犯人がわかった上で読んだ方がむしろおもしろい。初期の作としてはやはり完成度が高いように思う。
  10. 映画秘宝 底抜け超大作……病床で通読。
  11. エラン・マスタイ『時空のゆりかご』……おもしろかった、楽しかった!
  12. 國分功一郎『中動態の世界 意志と責任の考古学 』……ハラスメントを記述する際、どういう構造のなかに彼ら彼女らそして私たちが置かれていて、どのような理路のなかで「ほんとうは受け入れたくないことをまるで自分の意志であるかのようなかたちで飲み込まされるか」を見ていくことが、そして、そのような視点を社会で共有することが必要。「意志」は個人のものではなく、社会が想定し、要求する仕組みのようなものだから、「意志」「責任」「動機」といったことを個人に向けて尋ねている間は実態に即した記述はできない。
  13. 丸山正樹『龍の耳を君に』……おもしろかった!
  14. 黒田龍之助『外国語を学ぶための言語学の考え方』
  15. 黒田龍之助チェコ語の隙間 東欧のいろんなことばの話』……なにか語学を学ぶ際に、言語学の視点をもつこと。
  16. アガサ・クリスティー『ビッグ4』……ポアロ。スパイもの。
  17. 津村記久子江弘毅『大阪的』……ルールのわからないゲームに放り込まれたような感覚。
  18. リー・ツンシン『小さな村の小さなダンサー』……村の暮らしをすぐそばに感じる。
  19. 田村隆一『ぼくの交響楽』……戦後という苦い時代、彼が書き付けた違和感が今爆発している気がする。
  20. ミシェル・ウエルベック服従……こわい。
  21. パトリシア・ハイスミス『11 の物語』……こわー。
  22. 竹中亨『明治のワーグナー・ブーム』……音楽に実際に触れる前に、言葉に触れていたということ。聞く前からふくらんでいた期待と物語。
  23. 都築響一『世露死苦現代詩』……小田嶋隆『ポエムに万歳!』とセットで。
  24. アガサ・クリスティー『青列車の秘密』……ポアロ。「オリエント」への道。
  25. 色川武大『うらおもて人生録』……おもしろかった! 自分だけが感じる、自分のための宗教をつくるような感じ。だれにでも必要な営み。
  26. 池谷 裕二『脳はなにかと言い訳する』……「やめる」っていう判断はとても高度なもので、それが人間にとってもコンピュータにとっても難しく、とくにコンピュータにはできない。人間、がんばる。
  27. 笹原宏之『謎の漢字 由来と変遷を調べてみれば』……著者が調査中、外で待たされていたお子様がつっぷして泣き出したくだりに感動。
  28. 大澤真幸『美はなぜ乱調にあるのか』……再読。なのにいまひとつ思い出せない。
  29. アガサ・クリスティー『邪悪の家』……ポアロヘイスティングズと仲悪い。
  30. スティーヴン・キング『夜がはじまるとき』……おもしろかった!
  31. 笹川洋子『日本語のポライトネス再考 発話行為・発語媒介行為・相互行為』……脱・文脈依存について考えた。
  32. 三森 ゆりか『外国語を身につけるための日本語レッスン』……外国語に訳せるような日本語を話す、ということについて考えた。行政の場では特にそうあってほしいと思うけど、国会中継なんかで聞く言葉遣いは記者の追記がなければ意味が通らないことが多い。高度に文脈に依存していて、フェアじゃないとすら感じる。
  33. 真魚 八重子『映画なしでは生きられない』……楽しかった。
  34. 小森陽一(編著)『「ポスト真実」の世界をどう生きるか ウソが罷り通る時代に』……未だにPCを使わず、ネットにほとんど触れない著者がその道のプロに教えを請う。おもしろかった。
  35. 雨宮処凛『非正規・単身・アラフォー女性「失われた世代」の絶望と希望』……この人の、根っこの部分が明るくできている感じがおもしろい。やっぱり名文家だと思う。
  36. ジャッキー・フレミング著、松田青子訳『問題だらけの女性たち』……真理に触れることだけが人間を救う。
  37. 小森陽一編『手塚マンガで憲法九条を読む』……解説つきで手塚マンガが読める。楽しかった。
  38. ダグラス・アダムス『ダーク・ジェントリー 全体論的探偵事務所』……これくらいのでたらめを私もさらさらとさらさらと口にしてみたいもの。
  39. 木原浩勝『九十九怪談 第九夜』……ちょっと食い足りない。
  40. 野矢茂樹『大人のための国語ゼミ』……復習。
  41. いとうせいこう & 星野概念『ラブという薬』……患者と担当医の対話集。精神科医によるカウンセリングで肝要なことは相手の思考のスピードを落とすこと、というのはなにかピンとくる話だった。真理にたどりつくのに、スピードは邪魔かも。
  42. 岩井志麻子『現代百物語 終焉』……シリーズラストにふさわしい豪華さ。すばらしかった。
  43. 柚木麻子『ナイルパーチの女子会』……悲鳴をあげるほどこわかった。こわすぎ。
  44. スティーヴン・キング『トム・ゴードンに恋した少女』……中盤のつらさがほんとつらかった。
  45. いとうせいこう『鼻に挟み撃ち』……楽しい!
  46. ゴーゴリ『鼻/外套/査察官』……楽しい。
  47. アガサ・クリスティー『エッジウェア卿の死』……ポアロ。謎の美青年がたんに美青年だった。
  48. 金田弘・宮腰賢『新訂 国語要説』……復習。
  49. 岡崎友子・森勇太『ワークブック 日本語の歴史』……復習。
  50. アガサ・クリスティーオリエント急行殺人事件……ポアロ。シリーズを順に読んでいくと、ここで「満を持して書いた」という感じが味わえる。そして、うーん、やっぱりケネス・ブラナーポアロは変。
  51. 苅米一志『日本史を学ぶための古文書・古記録訓読法』……史学と文学で方法が共有されていないことに驚き。びっくりした。
  52. 穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』……楽しい!
  53. 古橋信孝、鈴木泰、石井久雄『現古辞典 いまのことばから古語を知る』……通読した。おもしろかった。
  54. ダグラス・アダムス『宇宙の果てのレストラン』……声に出して笑った。これくらいのでたらめを私もさらさらとさらさらと口にしてみたいもの。
  55. 司馬遼太郎『北のまほろば』……津軽を旅しながら読んだ。楽しい読書体験。
  56. 穂村弘『はじめての短歌』……煽られたり脅されたりする日々のなかで、ただ佇んだりじっとしたりする手法、文体を身につけるということ。
  57. 鯨統一郎『月に吠えろ! 萩原朔太郎の事件簿』……おもしろくなかった。
  58. 岡井隆『鉄の蜜蜂』……ハードボイルド。
  59. 山田正紀『カムパネルラ』……「45分」の新解釈に大笑いしました。楽しかった。
  60. 早川タダノリ『神国日本のトンデモ決戦生活』……とんでもないなあとひとつひとつ資料&史料を読みながら、以前はまさかこんな考え方、こんな生活を求める人が実在するなんて想像しもしなかったんだけど、今はこうしたことを好む人がかなりいることを知っているから、ぞわぞわした。
  61. 岩波講座哲学 05 心/脳の哲学』……ざっと復習。
  62. アルジャーノン・ブラックウッド『ブラックウッド幻想怪奇傑作集 秘書奇譚』……大体、「秘書奇譚」っていうタイトルがかっこいい。
  63. アガサ・クリスティー『三幕の殺人』……ポアロ。ちょっと変えてきたな、という感じ。
  64. 若竹七海『錆びた滑車』……葉村晶もの。彼女の集中力や、あまりメタ思考に陥らないところが功を奏して、語り手自身よくわかっていない後悔や切実な気持ちが遅れて、わっとあふれる瞬間があった。
  65. 上野千鶴子『情報生産者になる』……細かい、具体的。マスコミ関係の人にもおすすめです。
  66. 新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』……文章が厳密で読みやすかった。もっともっと手に取られてよい本だった。タイトルで敬遠してしまったような人にこそ読んでほしい。
  67. 櫛野展正『アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート……遠くから見たらみょうちきりんなことでも、近づいて話を聞くと必然性のあることだというのがわかる。
  68. 原沢伊都夫『考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法』……復習。
  69. フリードリヒ・デュレンマット『失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選』(増本浩子訳)……めっちゃくちゃおもしろかった。
  70. アガサ・クリスティー『雲をつかむ死』(加島祥造訳)……ポアロポアロ、読破してみようというつもりで読み始めて、疲労がたまってきた。
  71. 沼口麻子『ほぼ命がけサメ図鑑』……文章が厳密で読みやすかった。「サメから見たらヒトは亀」というフレーズが心に残りました。
  72. アガサ・クリスティーABC殺人事件……ポアロ。中期の人気作。紅茶がぬるくてまずいとか、細部が楽しかった。中期はヘイスティングズがちょっと割を食っている感じがする。
  73. 宮田珠己『いい感じの石ころを拾いに』……自分はただの石ころを探しておきながら、翡翠を探す人を見ると暇人だなと思う、そんな勝手な筆者の右往左往がとっても楽しかったです。
  74. TOBI、奥野武範『レ・ロマネスクTOBIのひどい目。』……想像していたより遙かにひどい目にあっていてびっくりしたけど、それ以上にびっくりなのはその出会い。
  75. 片山杜秀荻上チキ『現代語訳 近代日本を形作った 22 の言葉 五箇条の御誓文から日本国憲法まで』……復習。じっくり整理しながら読みました。

 

とにかく、煽ってくるものや焦らせようとするもの、スピードからは距離を置こうというのが読書体験全体を通しての感想です。ゆっくり、じっくり、どこまで分節化できるか、どこまで多彩に表現できるか、自分自身の構えとしてはやっぱりそんな感じかなとあらためて思いました。

締められてたまるか、このネジを

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原題:Glass

監督:M・ナイト・シャマラン

2019 年 アメリ

フィラデルフィア。女性が誘拐される事件が続いていた。息子と二人でホームセキュリティの店を営むデイヴィッド・ダンは、「散歩」と称して犯人を捜していた。デヴィッドには触れると悪人がわかるという能力があり、それをもって「群れ」と呼ばれる誘拐犯に近づくことができた。「群れ」には肉体がひとつしかなく、様々な人格が入り乱れ、なかには「ビースト」と呼ばれる超人的な肉体をもつ人格もあった。しかし、彼ら彼女らのそうした能力は妄想だと断じられ、治療の対象として施設に収容される。そこにはデイヴィッドを事故に巻き込んだミスター・ガラスも収容されていた。

えっ、点数ですか? 点数をつけるんですか、この映画に……? 100 点満点で……じゃあ、じゃあ、

100 点としか言いようがないです……

全体としてどうだったか? 全体として……? ぜんたい、ぜんたい……えーと、えーとこう、

楽しかったです……

えっ、どこが楽しかったか? 「どこ」? どこって……

こう、ぜんたいてきに、色彩が限られていて、ちょっと青みがかったところとか、差し色が水色なところとか、主人公たちがマジなところとか、それに、顔が、顔がおもしろいし、カメラが顔にすごく寄るし、マカヴォイくんに見下ろされるけど目が合わないし、それに……

あっ、もういいですか。

じゃ……印象に残った場面……? 「全部」とかではなく、ひとつだけ? ひとつ〜? うーん、うーん、うーん、強いて言うとやっぱり、

三人でコーヒー飲んで変わりゆく人類を眺めている打ち上げシーンが……

えっ、どういう意味でって、「意味」〜? うーん、うーん、なんていうかこう

祝っている

人類をこう、「たははは」と思いつつ祝っている感じって言うんでしょうか……

えっ、「祝っている」とはどういうことか……? えー! えー、えー、えーと、まあ、

そこまではデイヴィッドたちの行動がまるで何かに対する復讐ででもあるかのような語られ方に押し込められそうになっていて、それに対抗する息子や母、そして友人の少女なんかはまるで「物語をめちゃくちゃにされた」ことに対する怒りや悲しみそのもののようなところがあるんですけども、自分たちの存在が因果律に押し込まれてつまらない語り方をされてしまうことに対するミスター・ガラスの闘いがあって、そのことでがらっとお話の水準が変わって、それで終盤はずっと解放感というか、単純な希望に包まれていて……

あっ、はい、もう、いいですか、じゃ、失礼します……

 

と、ぴあの出口調査に出くわした私は、すごすごとその場を後にしたのですが、も〜、ほんとに、今後はアンケートとか出口調査とか、そういうものには一切答えないぞ、特に映画を見た直後には、と決心を新たにし、ただ、シャマランの新作を初日に見て、とても楽しかったということだけ書き記して終わりたいと思います。