プール雨

幽霊について

新聞で『それから』

 平岡は銀行をやめて東京に戻ってきたし、お兄ちゃんは忙しそうだし、「人の心を持っていればちょっと断るのは難しいであろう」というような縁談は来るしで、刻一刻と張られていく代助包囲網。いつまで呑気に大威張りでぶらぶらしていられるかというとそれはもしかして明日までかもしれない、といったくらいの状況ができてきました。
 が、当人はぼんやりと小説を読んで、そして祖父や父たちとの断絶を感じています。父は切腹を免れた経緯があり、しかしそのときに死ぬ覚悟はしたと言います。代助は、父の話がもし本当なら不愉快な人間だと思うし、そうでなければ嘘つきだ、嘘つきだと考えた方が父としてはありそうだと考えます。
 そんな風に、徐々に読者が代助に寄り添っていけるような仕掛けがなされるのと同時に、彼が追い込まれていくという、んもうっ! いじわるねっ! っていう感じの盛り上がりです。