プール雨

幽霊について

リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン、私の少女、暗戦 デッドエンド、MAD 探偵 7人の容疑者、インヒアレント・ヴァイス、フォーカス、ホーンズ、ラン・オール・ナイト、チャッピー

-5/1 リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン (2014 監督 アンドリュー・ラウ & アンドリュー・ロー) @新宿武蔵野館
 

 
この主人公の子たちはとても素敵だったし、好きだった。この映画を駆動させたのは創り手の怒りだと思うけど、それをそのまま真っすぐに観客にぶつけられても困る。主人公が怒るのはいいんだけど、映画全体が「この世はクソだ」って言っていてそれをそのままストレートに表現されても反応できない。
 
 
-5/6 私の少女ユーロスペース
 

 
とてもシンプルな映画。あらすじだけを追っていくと、主人公の美しい二人以外は全部敵としか思えないようなことが続く。それが雨の降る寂しい島の中で起こる。その閉塞感も相まって、二人以外の人々には悪いけど、彼女たちだけに幸せになってほしいと願ってしまった。見ている間、恐ろしくシンプルな気持ちになれて、それが実は楽しかった。すかっとしてしまった。でもおそらく、少女の義父に感情移入する人もいるはずで、そうすると少女の方に嫌悪感を持つだろうと思う。そんなことも可能なほど、演出上は単に「最低の村」とは描かれていなくて、繊細な描写が続きます。それでいながら、「あれっ」っていうところもあり、新人監督っぽいバランスです。いや、新人監督とは思えないほど、演出は繊細でキメが細かく、なのに脚本はアラがあるという感じかな。美しいペ・ドゥナを堪能できる一級のアイドル映画に仕上がっています。私は好き。
 
 
-5/9 暗戦 デッドエンド (1999 監督 ジョニー・トー)@シネマート六本木
 

暗戦 デッドエンド [DVD]

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シネマート六本木のクロージングフェスの一つ、香港祭りに行ってきました。まずは、この映画をスクリーンで見られて感激。冒頭近くの颯爽としたラウ・チンワンを見て、そのスタイルの良さ、身のこなしの軽さに驚きつつ、ああそうか、これってアンディの目線なんだ、アンディから見える「天使のような刑事」を見ているんだなあと思ったらそこから涙が止まりませんでした。
 
 
-5/9 MAD 探偵 7 人の容疑者@シネマート六本木
 
MAD探偵 7人の容疑者 [DVD]

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同じくシネマート六本木で。完璧な映画。
アンディ・オン演じるホーが追い詰められていく過程を見せられることで、ラム・カートン演じるコウもかつてはホーのように純粋な時期があり、刑事として働く中でああいうことになっていったんだということが想像できる。紛れもないバッド・エンドで、凝ったものを解かしたつもりがまた新たな凝りが生まれているだけなのに、「過程が明らかになる」だけで不思議なまでに明るさが灯る。とても不思議な映画で、傑作。
 
 
-5/20 インヒアレント・ヴァイス (2014 監督 ポール・トーマス・アンダーソン) @ヒューマントラストシネマ渋谷
 
Ost: Inherent Vice

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チョコバナナを食べつつ見たかったなあ。主人公が毎日毎日せっせとドラッグを紙で巻き、そこここで様々なお薬をおキメになられながら失踪した元恋人の事件を追うのだけど、この、常にラリってるような主人公が相対する人々が彼を容易に上まるネジの抜けっぷりで、会話シーンが入るたびに見てるこっちの頭もおかしくなる。話す方も聞く方もおかしいから、変なタメが入るし、とろんとした目で見つめ合ったりするし、とにかく日常のテンポとかけ離れているので、部屋で DVD で見てたら確実に寝そう。それが映画館の暗闇で見るとすっごくおもしろかった。そして見終わった後、猛然と原作が読みたくなる(し、映画をもう一度見たくなる)。
 
 
-5/20 フォーカス (2015 監督 監督グレン・フィカーラジョン・レクア) @ヒューマントラストシネマ渋谷
 

 
うん。楽しかったです。
 
 
-5/20 ホーンズ 容疑者と告白の角 (2013 監督 アレクサンドル・アジャ) @ヒューマントラストシネマ渋谷
 
Horns

Horns

 
気まぐれで見て大正解。たったひとりの親友であり恋人であった人間を殺され、おまけにその容疑者となり街中から排除の目を向けられる主人公がある朝目覚めると角が生えていて……というお話。繊細でうちにこもりがちな彼が、たったひとつ手にしていたものは彼女との関係だけで、どちらかというと世間一般で言うところの「成功」からは遠い。そういう青年をめぐる風景がくるくると変わっていって、実は地味な彼を周りの人々がまぶしく感じていたというところがおもしろかった。
もしも「タッチ」の上杉和也が事故に遭わなければ、上杉兄弟と浅倉南の間でこんなことが起こっていたかもしれないなあ。
 
 
-5/30 ラン・オール・ナイト (2015 監督 ジャウム・コレット=セラ) @立川シネマシティ
 
Run All Night: Original Motion Picture Soundtrack

Run All Night: Original Motion Picture Soundtrack

 
今度は娘じゃなくて息子のために走るのかあなどと気軽な気持ちで見たら、思いがけずすっごくおもしろかったです。リーアム・ニーソンエド・ハリス、それぞれの息子たちが絶妙で、「ああ、このお父さんにこの息子!」というのが、いかにもありそうでありながら、わりと現実の父子の組み合わせを見たときに近いかすかな驚きがあって、おもしろかったです。
「この街がすべて敵となる」という状況でありながらも、閉塞感や絶望感がそこまで強くなかったのも良かったです。老人たちの「俺たちは間違った」というメッセージのその後が「お前は間違うな、幸せになれ」と続くんだけれども、「間違うな」というメッセージを発するのがリーアム・ニーソンだからなのか、どこか緩さも感じられて、仮に間違いがあっても人生は続くということも含んでいるようで、なんとも言えず良かったです。
 
 
-5/30 チャッピー (2015 監督 ニール・ブロムカンプ)@立川シネマシティ
 
Chappie

Chappie

 
チャッピー、可愛かった。物語の 3/4 くらいのところで、「ああ、人間って嫌だなあ」「もう二度と生まれたくないなあ」くらいの気持ちにさせられるのですが、その後の展開が「ああ、やだやだ」っていう感じじゃないのが良かったです。テンション。