プール雨

幽霊について

フィギュアスケートで Coldplay

「ちょっとハードめな青春映画のエンドクレジット」感が Coldplay にはあって、それを自分の家で聞くのも何だしなと、手元には置いていないのだけれど、どの曲もスケールが大きくて、聞く人に優しくて立派だなあと思っています。アンドリュー・ガーフィールド主演の青春映画で流れていそうです。よく考えると、サントラでは何曲か持っています。最近では「6才のボクが、大人になるまで (Boyhood)」で冒頭、雲を見ているネイサンのうしろで「ほら、星を見て」という歌詞で始まる「Yellow」が流れていました。

この「Yellow」で始まるのがリチャード・ドーンブッシュの FS です。二シーズン連続で使っていて、何度か見たのですが、一番最近の演技ということになる、2015 年 NHK 杯のものが一番印象的でした。

冒頭 4T の後の 3A は降りてくるときに音楽に合わせて降りてくるかのようでとても素敵です。 3Lz (両手を上げて)、StSq (Yellow のサビ部分。前半の山場)、FCSp を挟んで曲が「Fix You」に変わり、緊張感の上がる中盤のシークエンスに入ります。残念ながらここでいつも失敗してしまうのが 3A(+3T?) で、見てる方も一度ステップの山場で気持ちが高まった後で、ちょっと気が緩んでしまうところです。次の 3Lz+2T+2Lo はきれい。そして、曲は「Viva la Vida」へ繫がります。3F+2T のふたつ目はうしろで手を組む独特な姿勢で、とてもかわいい。曲が盛り上がるところで 3Lo。直後にツイズル、イナバウアーからの 3S、コレオと、解放感が増していきます。

「Yellow」で切なく始まって、「Fix You」で緊張感を味わわせて、「Viva la Vida」で苦いなりに大団円という感じで、まず、全体のバランスが良いのが好き。ジャンプがどこかに固まってなくて全体に満遍なく配置されていて、冒頭には冒頭なりの、中盤には中盤なりの、終盤にはそれにふさわしい演出のもとジャンプやスピンが入り、転倒すら音楽的に、映画的に見えます。甘苦い。

特に終盤は視線が上の方にあるので余計、甘酸っぱさが増して映画を見ているような気持ちになれます。

今シーズン中にもう一度くらいこのプログラムが見られるかな、見られるよね、と期待していたところ、なんと故障で全米選手権棄権のニュース。残念ですし、心配です。*1

「Fix You」とは言えないにしろ、故障問題の解決と来季の活躍を期待しています。

現在開催中の全米選手権では、シブタニ兄妹がその「Fix You」でダンスを滑りますね。こちらもまた名作で、NHK 以来ずっと録画をリピートしています。ツイズルのシークエンスがボーカルなしのパートで、そこを見てしまうと、やっぱりフィギュアスケートにボーカルはトゥーマッチなのかなあと思いもするのですが、ボーカル入りがアイスダンス以外のカテゴリーで解禁になって以来、全体にプログラムにバリエーションが出たような感じがしますし、その中で選手たちの年齢にふさわしい、若いプログラムも見られるようになって、結局良かったんだなあと思います。