プール雨

幽霊について

イーサン・ホークは好きですか?(2)

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このところ絶好調のイーサン・ホークさんです。年度の切れ目でも何でもありませんが、この辺りですこし整理して、秋公開の新作に備えたいと思います。

 

〜最近のイーサン・ホークさん:積極的におじいさんになろうとしている期一覧〜

☆以下のリストは「タイトル/原題/監督/イーサンの仕事/見たか見ていないか。見た場合は何で見たか/(あれば)補足」の順になっております。

☆ちなみに、以前のイーサン・ホークさんについては以下に雑にまとめてあります。

poolame.hatenablog.com

 

  • シーモアさんと、大人のための人生入門/Symour : an Introduction/イーサン・ホーク/本人/劇場/ピアノ教師シーモアバーンスタインさんのコンサートを軸にその日常を追ったドキュメンタリーで、イーサンの仕事に対する献身ぶりや、勤勉さ、そして華やかさが見られます。役を演じていないときのイーサンがうっすら光って見えるのは、私の問題でしょうか。その可能性は十分にあります。でも「この人、こんな感じだけどやっぱりスターなんだなあ」という感じが味わえます。バーンスタインさんのお話も演奏もゆっくり聴くことができて、穏やかに楽しむことができます。おすすめです。
  • Ten Thousand Sains(原題)/シャリ・スプリンガー・バーマン&ロバート・プルシーニ/窓から息子の部屋に入って息子に嫌がられる父親(予告編情報)/未見/イーサンは主人公の父親? 結構評判がいいのに日本未公開。公開されるまであきらめません。
  • マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ/Maggie's Plan/レベッカ・ミラー/妻と恋人の間でふらふらするジョン/劇場/ジョンさんは人類学かなんかの研究者なんですけど、突然小説を書き出すんです。そんで、それを読んでくれたマギーに恋しちゃう。恋して、妻とは離婚して、結婚しちゃう。そして子育てしながら小説を書くのですが、その小説が(当人たちには申し訳ないのですが)笑ってしまうほど書き終わらない。見ながら思わず「ぁぁぁぁぁ」と声に出してしまいました。いかに書き終わらないか、今のジョンがいかにぐだぐだか、って話をマギーとジョンの前妻が話すくだりが最高です。イーサンはこの、きれいな色の映画の世界をふらふらと浮かぶ枯れ葉のような味わい。あほなんですけどね。私たちと同じ程度にあほなんです。このイーサンは「親しい友人の配偶者感」があっておもしろいです。おすすめです。

    poolame.hatenablog.com

  • ブルーに生まれついて/Born to Be Blue/ロバート・バドロー/チェット・ベイカー/劇場/近年では貴重な、イーサンの甘い声が聞けます。実話から取っているのでちょっと単調だけど、おすすめです。
  • バレー・オブ・バイオレンス/In a Valley of Violence/タイ・ウェスト/犬と旅する男、ポール/DVD/華麗にDVDスルー。ひどい。ジョン・トラボルタと共演なのに。これはたいへんシンプルにバイオレンスで風がびゅわーーーーーーーーっと吹いて、イーサンは泣いたり怖がったりしつつも粘り強くて、つまりいつものイーサンですが、おもしろかったです。おすすめ。
  • マグニフィセント・セブン/The Magnificent Seven/アントワーン・フークア/グッドナイト・ロビショー/最高でした。イーサンがダメそうな感じで、大丈夫なのかなって感じで登場して、実際ダメで、もう、それだけで最高なのに、イ・ビョンホンに「もどってくると思ってた」とか言われちゃったりして、そんでにやにやしたりして、もう、最高すぎて。言うまでもありませんが、おすすめ。
  • 幸せの絵の具 愛を描く人モード・ルイス/MAUDIE/アシュリング・ウォルシュ/エベレット・ルイス/粗暴で人もよりつかない男をイーサンがナチュラルに熱演。粗暴一直線な男もモードと暮らしながら、ずるずるぐいぐいと彼女のペースに巻き込まれ、最終的には彼女を足の甲に乗せて踊るという高度な技を披露。さすがです。巻き込まれるときのずるずるっとした感じはイーサンならでは。おすすめ。
  • ヴァレリアン 千の惑星の救世主/Valerian and the City of a Thousand Planets/リュック・ベッソン/客引きジョリー/未見/これを見てこそのイーサン・ファンだと思います。痛恨のきわみ。「イーサン、3 分しか出てない」という噂を聞いて腰が引けているうちに終わってしまいました。名画座でかかったらぜひ行きたいと思います。
  • リミット・オブ・アサシン/24 hours to live/ブライアン・スムルツ/引退させてもらえない殺し屋トラヴィスコンラッド/劇場/あと 24 時間であなたは死ぬ、と言われた殺し屋が残り 24 時間で何をするかと言うと……と、新鮮味などさっぱりと放棄して、海辺で酒を飲むイーサン、義理の父親に説教されるイーサン、黒縁メガネに水色のシャツのイーサン、ハニートラップを試みるイーサン、うっかりきっちり胸に弾丸を埋め込まれてしまうイーサン、女性に優しい、ということも特にないがかといって女性だからと言って居丈高になるわけでもない、ふつうのイーサン、親友のいるイーサン、死に神を見てしまうイーサンなど、93 分、たっぷりイーサンを見せてくれます。「ジョン・ウィック」の世界に放り込まれたいつも通りのイーサンがまぶしく、いい感じに楽しいです。おすすめです。
  • リグレッション/Regression/アレハンドロ・アメナーバル/ブルース・ケナー/未見。2018 年 9 月 15 日ついに日本公開/これもう、DVDスルーなのかなあと思ってました。半分諦めていただけにうれしさもひとしおです。このイーサンは刑事。頼りになるのかしら。イーサンだけに、油断できません!

    イーサン・ホークとエマ・ワトソン共演、A・アメナーバル監督「リグレッション」公開 - 映画ナタリー

 

といわけで、この数年、絶好調のイーサン・ホークさんです。出る映画出る映画世界中で大ヒット……というわけではありませんが、「イーサン・ホークが出ていればおもしろい」という評判はかたまりつつあるのではないでしょうか。少なくとも、私の認識としては完全にそうです。

マグニフィセント・セブン」を見たとき、「時代はイーサンだ」と確信しました。すっと立ったときの、おびえた表情と焦り、勤勉でありたいと努力しつつもスピリチュアルなものに弱く、予感や運命に怯えている、その構えに「今の人だなあ」とばりばり感じます。ヒーロー役は無理でも、その構えのまま、映画界を縦横無尽に行き来してほしいです。

オープンで情熱的だけど、孤独。だからバディものをやるとちょっと変な感じになるイーサンです。そんなイーサン・ホークの新作が公開される限りは何がどうというわけではないけど、まだ大丈夫。