原題:Glass
監督:M・ナイト・シャマラン
2019 年 アメリカ
フィラデルフィア。女性が誘拐される事件が続いていた。息子と二人でホームセキュリティの店を営むデイヴィッド・ダンは、「散歩」と称して犯人を捜していた。デヴィッドには触れると悪人がわかるという能力があり、それをもって「群れ」と呼ばれる誘拐犯に近づくことができた。「群れ」には肉体がひとつしかなく、様々な人格が入り乱れ、なかには「ビースト」と呼ばれる超人的な肉体をもつ人格もあった。しかし、彼ら彼女らのそうした能力は妄想だと断じられ、治療の対象として施設に収容される。そこにはデイヴィッドを事故に巻き込んだミスター・ガラスも収容されていた。
えっ、点数ですか? 点数をつけるんですか、この映画に……? 100 点満点で……じゃあ、じゃあ、
100 点としか言いようがないです……
全体としてどうだったか? 全体として……? ぜんたい、ぜんたい……えーと、えーとこう、
楽しかったです……
えっ、どこが楽しかったか? 「どこ」? どこって……
こう、ぜんたいてきに、色彩が限られていて、ちょっと青みがかったところとか、差し色が水色なところとか、主人公たちがマジなところとか、それに、顔が、顔がおもしろいし、カメラが顔にすごく寄るし、マカヴォイくんに見下ろされるけど目が合わないし、それに……
あっ、もういいですか。
じゃ……印象に残った場面……? 「全部」とかではなく、ひとつだけ? ひとつ〜? うーん、うーん、うーん、強いて言うとやっぱり、
三人でコーヒー飲んで変わりゆく人類を眺めている打ち上げシーンが……
えっ、どういう意味でって、「意味」〜? うーん、うーん、なんていうかこう
祝っている
人類をこう、「たははは」と思いつつ祝っている感じって言うんでしょうか……
えっ、「祝っている」とはどういうことか……? えー! えー、えー、えーと、まあ、
そこまではデイヴィッドたちの行動がまるで何かに対する復讐ででもあるかのような語られ方に押し込められそうになっていて、それに対抗する息子や母、そして友人の少女なんかはまるで「物語をめちゃくちゃにされた」ことに対する怒りや悲しみそのもののようなところがあるんですけども、自分たちの存在が因果律に押し込まれてつまらない語り方をされてしまうことに対するミスター・ガラスの闘いがあって、そのことでがらっとお話の水準が変わって、それで終盤はずっと解放感というか、単純な希望に包まれていて……
あっ、はい、もう、いいですか、じゃ、失礼します……
と、ぴあの出口調査に出くわした私は、すごすごとその場を後にしたのですが、も〜、ほんとに、今後はアンケートとか出口調査とか、そういうものには一切答えないぞ、特に映画を見た直後には、と決心を新たにし、ただ、シャマランの新作を初日に見て、とても楽しかったということだけ書き記して終わりたいと思います。