プール雨

幽霊について

幸子さん


Juice=Juice『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』(Promotion Edit)

今年の上半期に話題だったこの曲が私、びたいちもんぴんとこなかったのです。

先に言っておきますと、全部私の責任です。

時は 2016 年。

年末の音楽番組を見ておりまして、「今年、10 代に人気だった曲ベスト10!」的なくだりが始まりました。その数年前から、「一年でいちばん売り上げがあった曲を、年末時点で聴いたことがない」という事態は展開中だったので、「今年もそうだろうな、おまけに 10 代じゃ、無関係だもの」とか思いつつ見ていたら、なんと 1 〜 3 位のバンド(パフォーマー)名が読めなかったのです。「名前くらいは見たことあるけど、よく知らないなあ」という余裕すらない、「読めない」。

それで、「これはついに私もきたな」とあきらめ、もう、以後そういうランキング番組とか見るのはやめました。

 簡単にいうと、「あとはわかいもんにまかせた」と思いました。

まあ、だって、じぶんちにある CD 聞きこなすのだったできてるかどうかあやしいのに、新しいのにちょっかい出してどうする。

そんな、ナイス・エイジな人が言うことなので、この「『ひとりで生きられそう』って……」が好きな方にとってはほんとに、「ねじれの位置」といいますか、無関係といいますか、おそらく、まったく理解できないことを申し上げることになると思いますが、私はこれを聞いて、「これは、聞いた人にどう反応してほしいと思っている曲なのかな? ひとはこれを聞いて、どういう情感を抱くものなのかな? これが街で流れて、その街の風景はどうなるのかな?」と思いました。まとめると「とっかかりがなかった」のです。

 

「ひとりで生きられそう」っていうのは、どういう悪口なんですかね……ずいぶん荒々しい人間関係のようですけれども……と、がまんして聞いていくと最後には、「まあ、言いたいやつには言わせとくわ、私は強くなって自分を大事にして、愛せる誰かのことを大事にして生きていくのよ」といったことを我らが金澤朋子様が高らかに歌い上げるのでちょっとほっとします。

Juice=Juice 金澤朋子 ファーストビジュアルフォトブック「tomorrow」

Juice=Juice 金澤朋子 ファーストビジュアルフォトブック「tomorrow」

 

 私は「ひとりで生きられそう」と言われるような状況にいたことはないのですが、「幸薄そう」とはよく言われました。この「幸薄そう」には「弱いまま、ひとりで生きていきそう」という予測も含まれると思います。どんな気持ちでみんな、私に「幸薄そう」って言ったんでしょうね。幸が薄そうだから「幸子さん」と呼ばれたこともあります。そんな私の手元にひらりと舞い落ちたこの漫画。

 

幸子、生きてます(1) (ワイドKC)

幸子、生きてます(1) (ワイドKC)

 

 

幸子、生きてます(2) (ワイドKC)

幸子、生きてます(2) (ワイドKC)

 

 私 金子幸子

33 才独身の地方公務員です

旅に出たんです

女一人旅に

元彼からもらった魚拓を持って

 っていう。

それで思わず音読してしまったんです。

「魚拓を持って」

「ええ 魚拓を」

「ええ 魚拓です」

幸子がある日、テレビで絶景を見て、そこの観光サイトを見たら「大切な人と見てほしい景色です」って書いてあって、「大切な人」がいないと見ちゃいけないのかと悲しくなってそっとサイトを閉じたのだそうです。それで幸子は友人に言われるんですよ、「幸子の解釈では『大切な人』=『恋人』であると?」「幸子は大切な恋人とその絶景を見たいと?」「幸子は恋人に下手に出る質だ」「そんな相手と絶景を見にいっても 絶景より相手の反応が気になり絶景を心から楽しめない!!」って。矢継ぎ早に。そんで、「大切な人」ってじゃあ、恋人じゃないとしたら誰だろう、親? 友人? と話し合っていってついに幸子の出した結論は……!!

ふう。

ちょうおもしろかった。

マッチングアプリでどうのこうのして何度かデートした人がいるんだけど〜っていう話を飲み屋で不倫中の友人にしていたら、そのオフリン中の子のくだと、偶然居合わせたマタギのおじさんのくだがマッシュアップされてもうたいへんなことになったり、まあ、毎日毎日幸子は大変です。

わたくしは、Juice=Juice の金澤朋子様はこちらがわにいらっしゃるんじゃないかとにらんでおります。だって「『ひとりで生きられそう』って〜」の解釈がひとりだけ違うんだもん。