プール雨

幽霊について

なんかよくわかんないけどおもしろかった

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いかんともしがたく、秋ですわね

『アダムズ・アップル』を見てきました!

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じゃーん!

ネオナチのアダムは仮釈放中。今日から厚生施設として指定されている教会で厄介になることに。迎えに来た牧師、イヴァンは親切で、公正。高潔な言葉しか口にしない。でもなんか変。同じ教会にいる二人の前科者は不気味で、「以前はアル中だったが更生した」とイヴァンが紹介するグナーは現役でアル中だし、「以前は強盗を繰り返していた」というカリドもまた、疑わしい。イヴァンはアダムに「この教会で何をやるか、目標を決めなさい」と言う。アダムの人生に生きる目標だのそんなものは関係ない。イヴァンが執拗に答を求めるので、苦し紛れに「ケーキを焼く」と答えるとあれよあれよという間に教会の庭に成る林檎を使ってアップルパイを焼くことになる。ところが……

というお話。

イヴァンを演じるのがマッツ・ミケルセン。言われてみればマッツがちょっと若かった。この映画、2005 年の映画だそうです。しかし、そんな時の流れなどものともしないへんてこりんさでした。

マッツとイヴァンが相対する冒頭では、ネオナチの若者と信仰に生きる牧師の二人の対話がアウフヘーベンに向かうのだろうなという先行きが……嘘です、そんなことは一瞬たりとも思いませんでした。

だって、このイヴァンて人が、なんかもう、大変なんだもん。チョッキと半ズボンだし、予定通りに事態が進行しないとぴた……と止まってしまうし。相談に訪れた女性の話を聞きながら、アダムに「彼女と私にクッキーを持ってきてくれ」と言いつけ、アダムが彼女に大きめなクッキーを二枚、牧師に小さめなクッキーを三枚お皿にのせて出すと、なぜ枚数が違うのか、大きさが違うと言うが、計ったのか、正確にこのクッキーが同じ分量かと詰め寄り、言いつのりながらばりばりクッキーを食べる。

そんなイヴァンにびびるアダム。

アダムはネオナチの不良なのだが、何て言うんですかね……ほかに言葉がみつからないので言うと……根はいい人……? なのかなあ。少なくとも常識家ではある。グナーっていう、盗癖のあるやつが、アダムの部屋に忍び込んで携帯電話と財布を盗むんですけど、どなりつけて返却させて、「二度とするなよ」って忠告するだけなんです。イヴァンが「更生した」って言ってる二人は特に更生してなくて、それがアダムには気持ち悪いんですね。二人が更生していないことじゃなくて、この教会の中で彼らが更生したことになっていることが。とにかく、教会のペースが気持ち悪くて、アダムはくらくらしてる。それでかっとしたのか何なのか、「あとすこしで釈放なんだからおとなしくしてよろ」と忠告するネオナチの仲間に銃を手配してもらい、それで何をするかというと、庭の林檎の木に群がる鴉をおっぱらおうとする。

……

……

っていう。

「っていう」としか言いたくない。

めちゃくちゃおもしろいので見てください。

私のななめ後ろに座った人生経験が豊富そうなおじいさんがずっと笑っていて、私、おそろしかったです。

長生きするって大変なことだ。

と思いました。

でも私も気づいたら笑ったり泣いたりしていました。

この映画は寓話的に、理不尽とか不条理がやまと訪れる現代にひとつの生き方を提示……嘘です。嘘ですごめんなさい。

うーん。アダムからすればイヴァンの信仰は嘘っぱちだっていうのがあったんでしょうね。なんせアダムは真剣に、真面目に、ヒトラーを信じているから、そういう彼にしてみればイヴァンのは何かごまかしだって見えたんでしょうね。

で、そういうアダムが「考えを変える」とか「転向する」ってわけじゃなく、形勢逆転する瞬間があるんです。その瞬間までとそれ以降のびっくりを味わって欲しいです。

あれ? あれ? あれれれ? あーーーー? あーーーーーー!! …………ふぁっ!?

っていう。

それでこの映画館、シネマカリテには水槽があって、その中にお魚さんがいるんですが、映画が始まる直前、スタッフの方々が話しているのが聞こえてきてしまったんです。

「あの、死んでる魚、かわいそう……死んで、ああして、みんなに食べられて……でもそれが、自然ってことかナ。だからいいのかナ」

 

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時折、お魚さんが死んでいることもあるそうです

そして、この後私は是枝裕和の『真実』へと向かいました。なんとなくおもしろかったです。これは特別版だかなんだかが 11 月に公開されるので、そっちも見てから感想をしたためたいと思います。

なんて言ったらいいでしょうか、なんとな〜〜くおもしろかったです。イーサン・ホークが義母、カトリーヌ・ドヌーブに相対したとき、妻を間に挟むのですわ。妻の背中にぺっとりはりついて、怯えた子鹿のようにへらへらしている。あと、お得意のよっぱらい演技。よっぱらって説教させたらイーサンの右に出る人類はいないな。

それよりもこの日は久しぶりにタワレコの店舗に行って赤い公園ベイルートの新譜を買い求めまして、やっぱりお店で買うと店員さんに親切にしてもらえるし、いいですね。お金払って CD 受け取っておしまいだし、らくちん。

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ばりばりと外装をやぶってすぐ聞きました

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プレゼント

晴れてたし、友だちとばったり会ったりもしたし、おもしろい休日でした。