こちらの企画に参加します。
2010〜2019 年に見た映画ベストテン
- 『マギーズ・プラン』(2015 年、アメリカ、監督:レベッカ・ミラー)
- 『新しき世界』 (2013 年、韓国、監督:パク・フンジョン)
- 『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』(2013 年、アメリカ、監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)
- 『T2 トレインスポッティング』(2017 年、イギリス、監督:ダニー・ボイル)
- 『ロープ 戦場の生命線』(2015 年、スペイン、監督:フェルナンド・レオン・デ・アラノア)
- 『この世界の片隅に』(2016 年、日本、片渕須直)
- 『裏切りのサーカス』(2011 年、フランス・イギリス・ドイツ、監督:トーマス・アルフレッドソン)
- 『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015 年、アメリカ、監督:ジョージ・ミラー)
- 『インヒアレント・ヴァイス』 (2014 年、アメリカ、監督:ポール・トーマス・アンダーソン)
- 『メッセージ』(2016 年、アメリカ、監督:ドゥニ・ビルヌーブ)
選出方法と経緯:この 10 年はちょうど自分が「映画のメモを取りつづけていた 10 年」。記録が残っているので、それらを見ながら「劇場で見た」「細部まで思い出せる」「実話ものではない」「ひたすら好き」といったあたりを条件に 50 作品くらいまで絞ったのち、直感で並べました。
1. 『マギーズ・プラン』(2015 年、アメリカ、監督:レベッカ・ミラー)
かなり困った事態になる主人公たちの話であるにもかかわらず、わくわくが止まらないのが不思議。マギーが夫の、前の妻が淹れてくれたバターコーヒー(まずい)を飲むシーンは永世「まずいコーヒー映像大賞」です。
2. 『新しき世界』 (2013 年、韓国、監督:パク・フンジョン)
今回のリストを作っていて、自分がいかに『新しき世界』が好きか自覚しました。思い出し泣きしました。見て以来、時々「チョンチョンに会いたいよー!」と脈絡なく叫んでしまう。チョンチョンがジャソンにある言葉をかけますね。その言葉がどういうものだったかをここに書かないのはこれからご覧になる方に配慮しているというのもありますが、どちらかと言うとそれを書こうとすると手がふるえるので書けないということなのです。
3. 『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』(2013 年、アメリカ、監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)
単に落ち込んでいる男が今日も落ち込んでいるというだけなんですが、移動に移動を重ねてぐるっともどってくる姿に神話の味わい。名前映画なのです。名前を呼び合っているだけとも言える。また、数ある猫映画の中でも特に好き。この子かわいい。
4. 『T2 トレインスポッティング』(2017 年、イギリス、監督:ダニー・ボイル)
『トレインスポッティング』の続編。 打ち明け話映画。打ち明け話を、誰に話したいのかわからないまま語り始めて、語り終えたときに初めて相手を知るという、そういう話。この続編があることで、前作も輝きを得たと思う。
5. 『ロープ 戦場の生命線』(2015 年、スペイン、監督:フェルナンド・レオン・デ・アラノア)
やっぱり、人間の移動は絵になるなあと思わせる神話っぽさと、散文的な発想ではたどりつけない詩的なラストと、甘ったるさからはほど遠い、ばらばらぱさぱさした人物たちと。
6. 『この世界の片隅に』(2016 年、日本、片渕須直)
映画が終わってもなかなか立ち上がれずにいたら、客席中みんなそんな感じだったという映画体験も印象に残っています。原作では、会ったこともない、これから会うこともないであろう人々に殺したいほど憎まれるのが「国民」であることの運命なのか、というような意味の言葉や、「正義」って何なんだ、といった意味の表現があるのですが、映画では、台詞上そういった表現はありませんでした。そのかわり映像と音響があって、音がこわかった。男性陣の声もこわかった。今度また新しく、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』として上映されるので、広くみなさんにご覧いただきたいです。
7. 『裏切りのサーカス』(2011 年、フランス・イギリス・ドイツ、監督:トーマス・アルフレッドソン)
静かに献身している人々の、その声のバランスが印象的で、高低や大小を何か別の言語に変換していったらそこにも物語が生じているのではと妄想してしまうほど、見飽きないというよりは聞き飽きない映画です。
8. 『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015 年、アメリカ、監督:ジョージ・ミラー)
人類の罪を慈悲深く描いていて、その点についてこれ以上の表現はないのではないかと思う。
9. 『インヒアレント・ヴァイス』 (2014 年、アメリカ、監督:ポール・トーマス・アンダーソン)
本を読んでいるのに近い感じが映像で味わえる。この主人公の「読み方」が好きで、探偵ものとして、最高に好き。
10. 『メッセージ』(2016 年、アメリカ、監督:ドゥニ・ビルヌーブ)
言葉の檻の外に出たいと思う。出ようと思う。出ようとする。そういうことが繰り返し映されていて、くらくらしました。これも音が印象的で、最終的には紙をひっかく音すら言葉に聞こえてきて、静かな映画なのに耳がざわざわしました。
次点は『ボーダーライン』、『イコライザー』など。『いつだってやめられる』や『神と共に』は一本で完結していないのがネックでここには入りませんでしたが、好き〜。そんなわけで、10 年分の映画を思い出す作業はなかなか楽しかったです。そうだ、『 ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』とか大好きだったなあ。久しぶりにまた見たくなってしまいました。