プール雨

幽霊について

右往左往の結節点

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東京ドーム!

ところで、『パラサイト 半地下の家族』を二回見ました。一回目は一人で、二回目は夫といっしょに見ました。

www.parasite-mv.jp

全員失業中のキムさん一家が豪邸に住むパクさん一家の生活をじわじわと侵食していって、いつそれがパクさんたちにばれるかとはらはらしていたら、していたら……!? というお話です。

借りぐらしのアリエッティ』のアリエッティが巨大なバージョン。

キムさんたちの家がある半地下から、階段や坂をいくつもいくつも上ってやっとたどりつけるパクさんち。その上下移動が繰り返されるなか、時折はさまれる横長の風景。それは、高名な建築家が建てたパクさんちのリビングから見えるものです。晴れていても雨が降っていても絵になる、音楽があってもなくても優雅なその窓からの眺めが、まさかかすめ取られているとは気づかないパク社長なのでした。

このパク社長が、財閥のドラ息子なんかではなく、おそらく受験戦争を勝ち抜き、留学なんかもして、万全のサポートに応えて勤勉に生きた結果、現在の地位を築いている人で、「ひどい目に遭ってもしょうがない」と思えるような人でもなく、家族も基本的にオープンでいい人たちです。ドラ息子&ドラ娘たちによる無慈悲な支配が描かれているわけではありません。単純な勝ち負けがある話ではない。

私がこの映画を二度見て、二度ともじんわりとまとわりつかれたのは閉塞感でした。半地下の部屋から階段と坂を上ってたどりつく豪邸まで、空間が一続きで、その外部が想像できない。あるんだろうけれども、たとえば予備校に通えず、大学受験に成功できないキムさんちの子ども達がそこから出て行って、何か生活の糧を得て、生産手段と生産の場を見つけて生き生きと、楽しく生きていける外部が想像できない。というか、先がどうなるか想像もつかないような外部が想像できない。例えば『子猫をお願い』で主人公たちが、家を捨てて外に飛び出した先に広がっていた空のような、『フロリダ・プロジェクト』で駆けだした子ども達の背中が見せる、どうなるか想像もつかないような外部が措定すらできない。

パク社長はキムさんの匂いが嫌だという。それは地下鉄の匂いにも似て、耐えがたいのだといいます。でも、その匂いはあなたの足下から立ち上がっていて、あなたもその匂いの一部なのです。その匂いは最愛の息子と、愛しているかどうかわからない妻と娘の足下からも立ち上っているわけで、すみわけを疑ってもいないあなた方もその一部です。

と、考え出すとキリがない。

閉じているのに(閉じているから?)、おもしろい映画です。

映画を見た後は、水道橋に移動しました。

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東京!

この、外濠と併走する線路の風景を見ると「東京だなあ」と思います。 東京に住んでいるのですが、自分が住んでいるところには東京を意識させるものがありません。市ヶ谷とか水道橋、お茶の水辺りに立つと「東京だ」と思います。

暖かくなったら外濠散歩とかもいいかもしれません。

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東京ぽいです

新型肺炎の件では毎日毎日新聞やなにかで情報を追いかけるしかないので、「こわがりすぎないように」というのも違うような気がするし、「こわがれ」というのも生活が破綻してしまうし、とても自分には乗りこなせない事態だなあと思います。そもそも、新型肺炎のことがなくても心配事のひとつやふたつやみっつ、ありますし。こういうことはちょくちょくあるのですけれども、相手がウィルスで、罹患しても自覚症状がない場合があるというのがネックになって、マスクなどの備蓄をどこまでするか迷います。マスクではウィルスは避けられないし、あれは罹患した人が使って効果があるものなので、本当に必要な人たちのところに行き渡るよう、元気者かつ通勤・通学がなく、大体日中は孤独に暮らしている私は使用を控えた方がいいのでしょうけど、もしかして、どこかで罹っているかもしれない。でもね、家族が重度の花粉症だから自分はマスク、温存したいんですよね。

と、マスクひとつで右往左往の毎日です。

この日は Perfume が東京ドームでライブを行いました。

それで考えた私はライブの帰り、ついにマスクを着けました。ここから数日は注意深く自分を観察していきます。

そんな感じです。

ライブではあ〜ちゃんが「よくぞ様々な不安や困難を乗り越えてたどりつかれたものよ。みなさま、今夜はいっとき、心配事を忘れて、音楽に酔いしれましょうぞ」というようなことを言ってくれたので、うむうむと、全身で楽しみました。

考えてみればあの名曲、"Perfect Star, Perfect Style" から 14 年!

ということは、自分の Perfume 歴ももう 14 年ということですから、びっくりします。昨夜は帰りに落ち合った Pefume ともだちが「俺は人生の二分の一を、かしゆかとともに生きている」というよくわからない冗談を言っていましたが、二分の一といわず、三分の二、四分の三と言えるくらいまで*1、人類の限界めざして元気いっぱい生きていきましょう。

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頼まれたものの、うまく写真を撮ることができなかったあの若者達よ。お元気ですか? だれかにいい塩梅に写真を撮ってもらえましたか?

 

*1: 一生を Perfumeとともにすることを前提としています