一年以上、映画にも(それほど)行かず、ライブにも(例年に比べれば全然)行かず、家でおとなしく仕事と読書と飲酒の繰り返し。
いえ。
いいえ。
いいええ。
まさかそんなわけ。
この、なにかというとロマンスカーに乗り、まわりが油断していると新幹線にひょいっと乗っている私が、一年以上家のまわりだけをぐーるぐーる歩き回って我慢できるわけがあるでしょうか。
できなかった。
二回目の緊急事態宣言は、変異株の影響もあってかおさえこみがきかず、下げ止まっちゃったな、またちょっと感染者数が増えてるな、ってところで解除になっちゃったんですよね。それであっという間に三回目の緊急事態宣言が出ることになったわけですから、常識的に考えれば、宣言が解除されても、基本的には仕事と生命維持以外では外出せず、同居している相手以外とは会わない生活を続けるべきなのです。そんななか、「でも」も「だけど」も「だいじょうぶかな?」も何もなく、「矛盾した行動をしているな」と思いながら、ひょいっと出かけたことがありました。
緊急事態と緊急事態の狭間で結婚記念日なるものを迎えていた我々がひょいっと出かけたところについて、特にタイミングも脈絡も釈明もなく書きます。
1.日原鍾乳洞に行ってきました
夏になるたびに「日原鍾乳洞に行ってみようか」という話が出ては立ち消えになってきた日原鍾乳洞。「地獄の一丁目」と呼ばれる東京の夏にぽっかりと響く「鍾乳洞」の三文字。JR 青梅線終着駅奥多摩からバスで 40 分くらいで行けると噂のオアシス、日原鍾乳洞。
さすがに夏はすごく混むそうで、「整理券の列が」とか「食事にありつけない」といった噂話で腰が引けていました。
考えました。
うすら寒いこの季節なら行けるのでは?
行ってみました。
空いていました!
う〜わ〜! なんだかすごいところに来ちゃった! と鍾乳洞に入る前から感激。
特に整理券がどうこうということもなく、すいすいと鍾乳洞に突入しました。
ネルフ気分を味わいながら、じんわりあがったりさがったりしていたら、観光地としてはぎりぎりな感じの領域に到達しました。
「この先はかなりハードなので、お子様や足腰に不安のある方はあっちに行った方がいいですよ」という看板を視野に入れながらも、平素より基本的に自分を過信している私はまっすぐ進みました。
そしてすこし、後悔しました。
もう、前に進むしか選択肢がないところを歩きつつ、「今は歩くことだけに集中するのよ……シンジ君」とエヴァンゲリオン気分です。
途中で休憩を入れておられる方々の脇をすりぬけ、「私、今止まったら多分歩けなくなります」とどきどきしながら歩みを進めていたら、やっとこさ出口の気配で、とてもうれしくなりました。
は〜、すごいところだった!
ふうふう言いながらお山を少し下りますと、食堂があって、そこでまずは前菜。
そしてメインディッシュ。
しみわたるおいしさ。
地図を見ながらお店の人に、このバス停まで、山のなかの集落を見つつ降りていきたいのですがと尋ねたら、「その地図を見ると山のなかに集落があるように思われるのですが、ありません。単にけわしい山なので、そこには入らない方がいいです。店の前を通っている道をおとなしくくだるべきです」とアドバイスいただき、その通り、バス通りを下っていきました。
町に出ました。
バスに乗って、山を下りました。
バスで町に降りて、奥多摩駅周辺もお散歩しました。
奥氷川神社に大きな三本杉があるというので、見に行くことにしました。神社の隣にはすてきな建物があって、青果店でした。
そして、噂の三本杉。
大きさがわかるように撮ることができませんでした。でっかいです。
境内に入るとお猫様に威嚇されました。
きれいな方。
王者の風格です。
駅の隣には奥多摩工業氷川事業所があって、山並みを背景に偉容をほこっています。
駅の二階はカフェになっていて、クラフトビール、コーヒー、カレーなどがいただけます。
青梅線沿線には酒蔵もあって、途中まではちょくちょく来ていたのですが、終点の奥多摩まではなぜか足をのばしていませんでした。
奥多摩、いい!
もっと足繁く通えばよかったです。鍾乳洞も楽しいのですが、奥多摩駅周辺だけでもお散歩しがいがあって楽しいです。駅でおいしいビールも飲めるし。
感染症が落ち着いたらまた遊びに行きたいです。
🗻 おしまい 🗻