元首相演説時の警備、後方ががら空きだったというのが、この数十年を象徴しているように見えて、苦しくなりました。
私はわりとデモや署名に参加する方なんですけど、いつかの機会に首相官邸前に行ったとき、それまでと全然違うなということがありました。
国家議事堂前に行ったときも、そのほか、町をうねうねと歩いたときも、デモ隊と警備の人がちょっと笑いあったり、談笑しているのを横から見たりしたものなんです。
「暑いですけど〜雨降らなくてよかったですよね、今日」と警備の人に言われたときはその辺り一帯が笑顔になりました。
また、若い人を見ると自慢したくなってしまう男性に「柔道で全国に……」といった話を延々聞かされたおまわりさんが、後方の同僚に「助けて……」と目線を送ったら同僚の方は女性ときゃっきゃ談笑していて、その列が全体的にだら〜〜っとなっちゃっていて、ということもありました。
帰りがけには「ありがとうございました」「おつかれさまでした」なんて言いあうこともあったですよ。
警備の人たちも一人ひとり人間で、市民で、業務としてそこにいて、その姿から自分たちは法的に正当な手続きを踏んで今ここにいるんだなあと実感したものです。法律というものを身近に感じるときでした。
でも、官邸前にいる警備の人たちはまず人数が桁違いで、完全に警備の人たちで壁をつくっていたんですね。壁の向こうは官邸で、「決して官邸にこのデモの声を、姿を届けはしないぞ」という、そういうための壁の一部になっている警備の人たちを見ると、同じ業務でも気持ちが全然違うだろうなあと思いました。
そんなこんなを重ねているうちに、あのヤジ排除事件が起きました。
いつどうしてそうなったかは一市民からはわからないのですが、元首相は一般市民に対してすごく嫌悪感があるんだなあと感じることがままあり、それがむき出しになりつつあるなと思うことが増えていました。百戦錬磨であるはずの政治家が聴衆のヤジくらいで警備の矛先をそっちに向けるなんて、政府の考える「反政府」の範囲がどんどん広くなっているようで、どうしたのかなあ、現政府が考える「国民」って自民党支持者だけなのかなあと思って見てました。結局、きわめて身内に近いところから攻撃されることになったわけで、右派からの攻撃を想定していなかったんだなあと、そこにぞっとしてしまいます。
自分たちの「前方」にはずらりと警備をならべて注意を怠らず、一言の落ち度も許さず管理と監視に努め、強行採決につぐ強行採決でスパイ防止法のようなものを成立させたはいいけど、背後の右派からの攻撃にはきわめて脆弱な状態になっちゃってた。
なんかこの、いもしない敵を勝手に想定してどたばたしているうちに、身内に厄介なのを呼び込んでしまっていた感じがなんとも……
なんとも……
なんていったらいいか……
言葉が追いつきません。
うーん。
今宵はここまでにします。
さあさ、ねましょう、ねましょう。
🌖 チェリオですわ 🌝