10 月の課題図書
10 月の実際
松村圭一郎『くらしのアナキズム』
アガサ・クリスティ『ポワロの事件簿1』厚木淳訳
アガサ・クリスティ『ポワロの事件簿2』厚木淳訳
山室新一『モダン語の世界へ 流行語で探る近現代』
瀬尾育生『文字所有者たち 詩、あるいは言葉の外出』
牧野智和『日常に侵入する自己啓発 生き方・手帳術・片付け』
シルヴィア・フェデリーチ『キャリバンと魔女 資本主義の抗する女性の身体』
田村隆一『1999』
忘れかけていたけど、ホロヴィッツの新作、楽しかった。
小説家ホロヴィッツと探偵ホーソーンのバディ(?)もの第三作で、ホロヴィッツのホーソーンに対する劣等感でじりじりする今作でした。でもホーソーンの方はホロヴィッツが心配しているようなことは考えていないだろうというのが何となくわかるのが不思議でした。主人公にして語り手のホロヴィッツと筆者が同名だというのも意外とおもしろい仕掛けで、事件がクリスティっぽい展開をするところも、(筆者の方の)ホロヴィッツらしいなと楽しめました。はらはらしながら読んで、最後には i の上の点ひとつ、t の上の線ひとつがきちっとあるべき場所に収まるミステリでありながら、点がひとつあまるところもあって、もうすでに次作が読みたい態勢になっています。
ところで、このブログでは "Poirot" を「ポアロ」と書いたり「ポワロ」と書いたりしています。それは、創元推理文庫が「ポワロ」、ハヤカワ・ミステリ文庫が「ポアロ」、デヴィッド・スーシェ演じるドラマ版の日本語訳が「ポワロ」で、ものによって表記がちがうからです。ドラマのことを書いているときは「ポワロ」、ハヤカワのときは「ポアロ」になります。
創元版は字体やルビなどの表記が厳格で読みやすい版面なのが特徴です。うっとりします。でも、私はうっかりハヤカワ版とドラマ版に慣れているため、たまに創元版で読むと「誰……?」と思うことしばしばです。口調がちがうと人まで変わったようで驚きます。髪を切った私にちがう人みたいと言ってしまう、シャイな幼なじみのような読者です。
それにしても『カーテン』を知っている身で短編集『ポワロの事件簿』を読むと、ポワロなりの青春時代だなあと思えて読後感が複雑になります。もっと若いときは第一次世界大戦中で亡命しなければならないような事態に見舞われていたわけだし……戦争反対。
10 月は「なんか、読書的に迷子になっているな」と時折思っていましたが、こうして振り返ってみると、やはりなかなか、充実した読書だったといえます。
11 月の課題図書
『宇宙クリケット大戦争』『雨滴は続く』『人種主義の歴史』はどれも半分くらい読んで行ったり来たりしています。もう、とりあえず読んじゃおう。
11 月もよい読書になりますように。
ここんとここちらでは秋晴れが続いていていい気持ちです。
もうしばらくこの調子でいってほしいですね。
ではまた。
📚 おしまい 📚