プール雨

幽霊について

また午後ローでパニック映画を見てしまった

ぶおおん

シナモンミルクコーヒータイム

だれかが違和感を表明したときに「気にすることないよ」と黙らせた人物が後でどうなるかこの身にわからせるために最低週に一度午後ローを見るのである。

 ー雨子未送信ツイート集より

 海中に生きる巨大生物に襲われる豪華客船と、どうしたわけかそれを追いかけていた小さな船の乗員のみなさん。

 結構すごく、こわかったです。姿という姿を見せたのは開始一時間くらいだったんじゃないでしょうか。それまで、姿は見えないのに確実にヒトを食っていく巨大ななにかの気配がするだけという大変にこわい状況で、それが姿を見せても全容まではなかなか見せないのです。焦らされて……。終盤、この生きもののある部位が見えたときはちょっと感動してしまったほどです。

 この危機に立ち向かい、なんとか生き延びるべく協力しあわなければならないヒトたちはそこここで「今そんなことしてる場合か」という行動を重ね、ひとり、またひとりと食われていきます。

 生き延びるという目的の前でパニックに陥っているヒトは「主導権を取ろうとする」「違和感をひねりつぶす」「相手に沈黙を強いる」「自分と同じ選択をしない人間を攻撃する」などなど愚行を重ね、目の前に明確に自分たちを食おうとしている存在が迫っているにもかかわらず、足を引っ張り合い、勝手に自滅していくのです。

 ヒトというのは「なんでそこでそうする」という驚くような行動をしてしまうものですけれど、平素、いかに自分たちが愚かかという点に関しては熟知していて、それがこのようなパニックムービーとして結実しているのだなあと思います。だからパニック映画は大体「こういうときこういうことすると死ぬ」という行動が積み重なっていくもので、そうしたパニックものを見るということは「なるほど、でかい声を出せばいいというものではないのだな」といったことを繰り返し確認する、そんな不思議な営みなのです。

 しかしパニックものを週に一回以上見ると相当いろんなことがどうでもよくなってしまうので、私は二カ月に一回くらいでいいなあと思います。

まじめに午後ローを見るみなさん

🎦 おしまい 🎥