プール雨

幽霊について

丸山正樹『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』

丸山正樹『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』


犯罪を目撃した緘黙症の少年が日本手話という言葉を手にして、そして……という話の中にきわめて現在的な問題があれでもかこれでもかと詰め込まれていて、正に今現在の話。今って、こんな感じ。息苦しい。それでいて、抜群におもしろい。このバランスは映画で言うと『ブラックパンサー』。基本的に時系列通りに素直に前に話は進んでいくし、わかりやすいんだけど、構成が見事で、ああ、あれがこうしてこうなってそして……という驚きに満ちています。前作『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』と合わせておすすめです。

デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 (文春文庫)

龍の耳を君に (デフ・ヴォイス新章)