プール雨

幽霊について

新聞で『それから』

 絶賛連載中。
 今日は代助の旧友、平岡が部下の使い込みの責任をとって銀行を辞めて東京に戻ってきて、資金繰りに困っており、なんと妻の三千代が代助に借金の依頼にやってきたという大変に辛いくだりでした。

 ところが、その金額がちょっと大きいし、そもそも借金は他にも二口あるっていうし、三千代は私「も」悪いの、病気をしていたから、という説明の仕方をするしで、平岡に対する疑惑が生まれる回でした。借金の依頼に三千代をよこすっていうのもね。これまでとこの後の経緯を考えると、これはまずいんじゃないの、平岡よ。それとも、こわしてしまいたかったの?
 それはさておき、「三四郎」のとき、これはお洒落な漱石にはきつかっただろうなあと思われたのが、主人公がぼんくらでお洒落にまったく興味がないので、着物の描写が間抜けにしかできないことで、その点「それから」は控えめながらちょいちょい書けるのが楽しかっただろうなと思われます。三千代はきれいだし、兄嫁は粋でお洒落だし。