プール雨

幽霊について

【2011年の映画を振り返る】(1)「ノルウェイの森」

ノルウェイの森」(トラン・アン・ユアン
全編恥ずかしさで耐えられないのではないかと思ったが、脚本の異様さ、映像の美しさ、音楽の良さ等あってわりと集中して見た。おもしろかった。
耐えられなかったのは玉山鉄二がやった永沢が出てくる場面で、玉山の演技プランも甘かったのだろうけれど、演出が雑な感じがした。一応、方向性としては、原作よりも永沢とワタナベに対する糾弾の意味あいが強い気がした。ハツミを被害者として描いていた。これはワタナベと直子の関係にも共通の傾向なので、監督は意図してやっていたと思う。
永沢シークエンスのほか、ラストにもちょっとひっかかりがあって、自分にとっては嫌な意味で忘れられない映画となった。
高橋幸宏が「どらむ寿司」以来の自然な演技を見せた映画として記憶したい。