ちょっと前、清澄白河に行きました。
東京の路線名で一番かっこいいのは「半蔵門線」。その中でもかっこいい駅は「清澄白河」と主張しながら行きました。
目指すは東京都現代美術館です。
夏から気になっていたデイヴィッド・ホックニー展に行ってきました。チケットが高価で一度は行くのを諦めようとしましたが、諦めきれませんでした。
デイヴィッド・ホックニーは 1937 年イギリス生まれの愉快な御仁です。60 年以上に及ぶ画業がここ、清澄白河で見られる貴重な機会です。
油彩、アクリル、エッチング、リトグラフ、写真のコラージュ、ipad ドローイングと様々な画法で絵を描いてきました。
写実的なドローイングは美しく、抽象的なリトグラフは鮮やかで、コラージュでは視点の移動を楽しませてくれます。
ホックニーの絵は、歩きながら、行ったり来たりしつつ見るようにデザインされていて、じっとしていなくていいのが魅力です。
写真には写らない大きさと鮮やかさがありまして、これら「春の到来」シリーズの前に立ってぶらぶらしているだけでも、相当いい気持ちになれました。自分が漠然と、目の前にある風景を見ているときの、時々途切れる感じと、途切れても続いていく感じをのんびりと味わいました。
あっちに行ったりこっちに行ったりしながら絵を見るのは楽しいなと思いました。そして、やっぱり絵は、その線や色がそのようなかたちに決着した時間までも含めて見るものなのだなあと思っていたら、まさにそのような展示(ipad ドローイングを利用したもの)も終盤にあって、描いていく過程を追体験できてうれしかったです。
見てから結構立つのに、今思い出して愉快な気持ちになります。こんなに満足感が長く持続する展覧会もめずらしいのではないかと思います。
ついでと言ってはなんですが、常設の横尾忠則による Y 字路のシリーズ。
たっぷりした展示にくらくらしたままの状態で表に出ると、清澄白河ではかかし祭りなる謎のイベントが展開中でした。
そんな私のふらふら状態を受けとめてくれる、すてきな酒屋さんがありました。
角打ちはそこで買ったものをそこで飲んだり食べたりするだけなのですが、お酒のプロ、酒屋さんにおすすめを聞けるのが楽しいです。
このときおつまみに買ったポテトチップス、今まででいちばんおいしいポテトチップスだったし、最近のポテトチップスと違って、ふくろにぎゅうぎゅうに入っていて幸せを感じました(が、名前を忘れました)。
清澄白河はいいねえという気持ちです。
コーヒー屋さんに困らず、東京都現代美術館は展示が充実していて、謎のシーラカンスやかかしが迎え出てくれる清澄白河駅周辺。うわさには聞いていましたが、お散歩に適した、すばらしい街でした。写真はないのですが、すてきな古本屋さんもあって、あこがれの街です。
🎨 おしまい 🐋