プール雨

幽霊について

『Mr.Long ミスター・ロン』(日本・香港・台湾・ドイツ合作、監督:SABU)

『Mr.Long ミスター・ロン』(日本・香港・台湾・ドイツ合作、監督:SABU)を新宿武蔵野館で見ました。

ロン(チャン・チェン)は殺し屋。六本木での仕事に失敗し、命からがら逃げた先のどことも知れぬ町でなぜか屋台で牛肉麺を売ることに。その町には人身売買被害者の台湾人女性とその息子も住んでいて……というお話。
チャン・チェンの写真だけ見て「あっ、チャン・チェンで現代物なんだ」という程度の構えで見に行ったので、びっくりしました。

「うわあ、画面、暗いなあ、何が起こってるかよく見えないなあ、それにテンポも不思議だなあ」とか思っているうちにあれよあれよとチャン・チェンは屋台を引くことになり……。
日本人スタッフが撮っているはずなんですが、ちょこちょこよそから来た人の視線が挟まるし、基本的にロン(チャン・チェン)に焦点が当たっているから、見ているこっちもうっかりそこに迷い込んだ外国人のような気持ちで日本の風景を見たり、日本語を聞いたりしてしまう。それが新鮮でした。

日本の貧困、人身売買の問題などがコメディ映画のフォーマットでむき出しになっているので印象が強く、のちのちその辛いところだけ思い出してしまいそうです。
ぽこっぽこっと話が飛ぶのも、不思議な効果がありました。おもしろかったです。