プール雨

幽霊について

『簡易生活のすすめ』

山下泰平『簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった!』は楽しい本でした。

 社会を改良していこうという過程で輸入されそして独自の展開を遂げた「簡易生活」。虚礼を廃して旧弊から脱し、そこから生じた余裕をもってより楽しく、幸せな人生を追求しようというもので、「善は悪より簡易」「平和は戦争より簡易」の境地がすがすがしい。

 食事を簡易にするために、おからと小麦粉を混ぜて作ったおから餅のレシピを洗練させるべく三年間おから餅を食べ続けた人(書生とともに)、食糧難、経済苦に備え、21日絶食してみた人と、やりすぎな実験の数々。失敗したら「失敗だった」と認め、即やめ、また簡易を求めて考え、あらたな実験に取り組みます。風通しのよい、すがすがしい本で、おすすめです。