日本学術会議会員任命拒否に関して、二つの声明にリンクをはっておきます。
日本学術会議推薦の新会員 105 名中 6 名が内閣総理大臣により任命されなかった件について、私の反応は素朴なものです。
行政機関に、日本学術会議会員の選定は認められていません。また、その能力もありません。認められているのは形式的に「任命」することです。だからこれは違法です。
官僚に違法なことをさせ、違法であることを隠すためにばかみたいなスピーチ原稿を書かせ、マスコミを通じてデマを流す。
私は、あらゆる暴力のなかでもこの「嘘をつかせる」ことが最も悪辣だと考えます。もちろん、すべての暴力は悪辣ですが、他人に嘘をつかせるのは、他人を暴力の主体に仕立て上げることで、そこに一手間かかっています。自分が吐き出したかった言葉を人に言わせ、共犯者に仕立て上げ、逃げられないようにする(くわしくは『マッドマックス』をご覧下さい)。
この数年、違法な作業に加担させられてきた公務員、デマ行為を繰り返しおこなったジャーナリスト、そのデマ拡散に努めてきた支持者の方々は簡単には後戻りできないでしょう。莫大な掛け金を賭けて降りられなくなったギャンブルのようなものです。
前政権下ではそのせいで自殺者が出ました。
告発をきっかけに苛烈ないじめに遭い、日本から出て行かされた人もいます。
優秀な官僚の辞職もありました。
嘘をつかない人はいませんが、嘘は事態を無意味にややこしく、雪だるま式にひどくするだけでいいことが何一つありません。
だから大人になると、ふつう、あえて「ふつう」と言いますが、ふつう、人は大人になるとむしろ嘘をつかなくなるのではないでしょうか。
しかもそれを他人に、組織的にさせるなんて。
こうした営みは、どうなったら「上がり」なのでしょう。たとえば今なら菅義偉文体で日本語がぴっしり覆われて、誰も彼に反論しなくなったら「上がり」なのでしょうか。でも総理大臣て変わりますよね。そのとき、この暴力構造の一部になってだれかをせっせと傷つける営みに加担してしまった人たちはどうすればいいのでしょうか。