プール雨

幽霊について

かなり強い田中集

〜田中トランプのこれまで〜

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 この田中トランプにおいて平櫛田中をどうするか考えて参りました。

ばばーん

 平櫛田中(ひらくしでんちゅう)。彫刻家。享年 108 歳。彼が 100 歳を超えたときに彫刻用に購入したクスノキクスノキはしかし、20 年ほど乾燥させないと彫刻には使えないとか。それで、この木が掘れる頃には 120 歳になっていますねと言われると田中は「まだまだ作りたい作品がある」と言ったとか言わないとか*1

これがその

クスノキ

おやっ

こっちはなんだっけ?

 平櫛田中、旧姓田中。平櫛姓は養子先です。

 長寿で、横溝正史に「田中さんには及びもないが、せめてなりたやクリスティー*2)」と詠まれたほどです。というわけで、その文言が載っている本を激写しておきました。

孫引きです

 これは由緒正しい「横溝正史が『田中さんには及びもないが、せめてなりたやクリスティー』と語ったという記述が含まれるクリスティー『象は忘れない』文庫版解説」です。

おもしろいけどこわいお話です

 田中(でんちゅう)を田中トランプに入れるのはちょっとためらわないでもないのですが、「『象は忘れない』の解説に引用されている、横溝正史の言及していた田中(でんちゅう)さん、旧姓田中さん」ならいいかもしれない。初出の朝日新聞、1976 年 1 月のどこか、または小林信彦との対談を見つけてくるか、それともむしろこのままクリスティー文庫の解説を貫くか、はたまた全部そろえるか迷うところです。

 そんなことをうすらぼんやりと考えていた今日、決定打が公開されました。2023 年 1 月 27 日付け東京新聞朝刊に載っていた記事です。

「田中」寂しさと葛藤と心強さと

 こちらは現役の田中さんによる、すばらしいエッセイです。今ならまだ買えるはずなので、視点を共有できると思われる田中さん、そして佐藤さん鈴木さん高橋さん伊藤さん、買って読んで下さい。

 何かの例文にはよく出てくる割に、物語の主要な登場人物には選ばれない。書きやすくて読みやすい名字だということは、常日頃から実感しているのでよく分かっているが、残念なのは、いつでも「平凡」というレッテルを貼られているということだ。

 というわけで、この東京都にお住まいの田中さんはご自分の名字に対する扱いをよく「寂しい」と思うのだそうです。でも……続きは買って読んでもらうとして、私はほかならぬ田中さんに伝えたい。「田中」という主要登場人物が出てくる小説、あります。佐藤でも鈴木でも伊藤でもなく、その人は田中でした。名作「好去好来歌」は名著『来福の家』所収でおすすめです!

💛 おしまい 💛

*1:言ったそうです。https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/086/086098.html

*2:原典未確認です。1976 年お正月のエピソードだとか。「クリスティ」「クリスティー」「クリスティさん」など複数の記述があるようです。