人類が海溝の底と見なしてきた場所は底ではありませんでした。もう二段階くらい下に人類未到の世界があったのです。そこは古代サメ、メガロドンをはじめとする巨大生物の世界でした。
古代魚の世界にずかずかと入っていった前回の調査で、優秀な研究者や技術者を大勢失った海底調査チームでしたが、その後故人の兄が研究を引き継いでいました。やり手の新代表、ジウミン(ウー・ジン)は出資をつのることにも成功し、チームはふたたびマリアナ海溝の底へ旅立ちます。
映画冒頭ではジョナス(ジェイソン・ステイサム)と古代ザメ MEG のイメージが重ね合わされます。そのべらぼうな強さとまっすぐさでつきすすむ MEG とジョナス。終盤、この巨大サメの群れにジョナスは原始的な武器(ほぼ、槍)を手に真っ向から打って出ます。そのとき、「ああ、ジョナス、人類がめんどうかけてごめん」と思い、同時に「ああ、MEG よ、MEG はなにも悪くないのに、ヒトのせいでごめん」とも思わされ、心は千々に乱れるのでした。千々に乱れ、「ふぁ〜」となりつつ、どうしたわけかエンドクレジット(長めよ。ビッグなプロジェクトであるため)がおわるころ、私の気持ちはすっかりまっすぐになっているのでした。
おすすめです!
〜おすすめポイント〜
- ジウミンと MEG(名前はハイチ)が相対するときの耳がきーんとするような緊張感
- サメ対ジョナスの構図の大胆さ、単純さ、すがすがしさ
- パニックものによくある定石を意外と踏まないので安心して見ていられる
- 展開がはやくて余計なじらしがない
- ワンちゃんと子どもは無事
- 人助けする子どもの絵面がリアルでおもしろい
- 中国語と英語の行ったり来たりがスムーズで楽
- ジウミンの出資者を前にしたスピーチが英語ではなく中国語(ジウミンは日常的に英語も話せるが、スピーチを母語でおこなう)
- 子どもと相対するジョナス(ステイサム)の表情がかもす絶対的な安心感
- 前回はちょろっとしか出てこなかった蛸ちゃんも大活躍
- MEG は飼い慣らせないと断言するジョナスと、ハイチと自分は心が通い合っているというジウミンのまったくちがう世界観がひとつの映画のなかで同居していること
- モダンでクラシカル
予告を見たときから「これはもしかしたら、おもしろかったりするのではないか」という予感がありましたが、それをこえておもしろかったです。パニックものが抱えがちな厄介な問題がスマートに解決されていて、伝統的な題材でありながら、しっかり新しいというすてきな仕上がりでした。よかった〜。楽しかった〜。
今晩はサメジャーキーで一杯いただきとうございますわ。
🦈 おしまい 🦈