気合いと熟成の両方を感じる一冊

([し]10-1)私たちがプロポーズされないのには、101の (ポプラ文庫)

  著者がともだちと夜中のファミレスで「なぜ我々はプロポーズされないのか」という考察を重ねてたどりついた結論は、たいへんにシビアな結論でした。たとえ結婚していても、この本から繰り出される往復ビンタは他人事ではないです。
一方で、この手の本としては圧倒的にいじわるじゃなくて、ユーモアがあって優しかったです。「友人に対しては決して失わない敬意を、なぜ恋人や結婚相手に対しては容易に失うのか」というのは、ちょっとしたことのようだけれども、著者の今後に繋がるテーマだと思いました。
個人的には、「商品」として小さくとも、とても丁寧につくられたムードがたちこめていて、そこに好感を持ちました。「若い編集者と、初めて本を出す著者が一所懸命丁寧に作った本」という感じがして良かった。