プール雨

幽霊について

『他流試合』

(いとう)せいこう「ほおー。金子さんはまず、五・七・五という形式はとにかく大事だと。次に、切れがなければだめだと、今のところ、こうなってますよね。」
(金子)兜太「そうでござんす。」

兜太「この場合、音歩論で言うと『コ』の下に一字、無声音を取るんだな。『バル コ・ニー』とね。だから『で』は要らなくなっちゃう。この句(バルコニーで文庫一冊分の陽灼け)はその方(バルコニー文庫一冊分の陽灼け)がいいんじゃないかと思ったんですがね、どうでしょう。」
せいこう「はい。もうよくわかるようになってまいりました。」
兜太「エッヘヘヘ」 

いずれも、金子兜太いとうせいこう『他流試合』より。
金子兜太がとにかく楽しそうでした。金子兜太、ラップをなぜか「ラップラップ」と言うのも良いし、その「ラップラップ」のように俳句はどんどん気軽に書けと言い、いとうせいこうが「僕は気軽じゃないですよ。(ラップは)一生懸命やっていますよ」と言わされるのも良かった。