『みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ ー線の魔術』展に行ってきました。
ミュシャは特にこれまで意識したことがなかったのですけれども、今年はクリムト展もありましたし、クリムトを見といてミュシャを見ないのも何だしな、というくらいの軽い気持ちで参りました。
クリムトもミュシャも、かなり古典的な技術を身につけた画家で、そんな人たちが 19 世紀末から 20 世紀初頭にかけて商業デザインに決定的な影響を与えたというのがおもしろいなあと思います。
ミュシャの絵を見ながら「マンガっぽいな」と思うことがあって、でも、それはもう完全に転倒で、そもそもミュシャの選んだ線描が、あの曲線が、マンガの起源なのですねえ。
それにしてもミュシャが活躍したのと同じ頃、日本では文芸誌『明星』や『文章世界』等の世界があって、これらのデザインがもろにミュシャの影響を受けているのですが、その速度にしみじみとします。
ミュシャ、ほんとに世界に広がっている。
1960 年代になるとロンドン、サンフランシスコでミュシャの再発見が起こって、私たちが常日頃「グルーヴィ」と呼んでいる様々なデザインやアメコミの表現につながっていきます。ミュシャ風意匠のノヴァを見ながら、アイアンマンのまるいラインも、そうか、元をたどればミュシャかあと。
会場には撮影可のスペースもありました。
こうなってくると、エゴン・シーレを見逃したのがくやまれる 2019 年です。クリムトの平面、ミュシャの曲線。せめて映画『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代』はなんとかして今からでも見たいです(下高井戸で 10 月にかけられるようです)。
ミュシャのあとは、居酒屋でおいしいごはんをいただきました。蟹味噌の甲羅焼きとか、突然のぜいたくは、ミュシャでゴージャス気分になっていたのかなあ。
やっぱり、どこから来て、どこに行ったかというのが見えると何でも一気におもしろくなりますね。
おしまい