プール雨

幽霊について

町田散歩

A子(登場人物が多いため、よそよそしい頭文字+敬称略で表記します)は電車がからむと 15 分前行動です。電車様の時間は絶対ですから。人間は電車の前で謙虚にならなければいけません。それに、慣れない土地では道に迷うかもしれないし。それでこの日も待ち合わせ場所に 15 分前に到着しました。

 

阿房列車―内田百けん集成〈1〉   ちくま文庫

阿房列車―内田百けん集成〈1〉 ちくま文庫

 

 

土曜の夕方、町田です。

 

極め道―爆裂エッセイ (知恵の森文庫)

極め道―爆裂エッセイ (知恵の森文庫)

 

 

町田は頭の中に地図ができあがるのに時間がかかりそうな街です。小田急線と横浜線、二線乗り入れていて、そのどちらも駅ビルと周辺の商業施設が充実していて、高層ビル街というほどではないにしろ、駅を降りた瞬間視界が二系統のビルで遮られて全体像が見えません。

頼りになるのは「うねうね」です。横浜線の改札を出て、小田急側にすこし歩いたところにある謎のオブジェ。A子たちは「うねうねの前に○時集合」といって集まります。

この土曜日もうねうねの前に 5 時という約束で、A子は 4 時 45 分にたどり着き、その時点で「Mさんはもう来ていそうだ」と思いました。予想通り、うねうねのわきに全身黒ずくめのMがいて、A子は「背後から声をかけるのもなんだしな」とぐるっとMの正面にまわりこみ、さも今来て初めて彼を認めたかのような体で「Mさーん」と声をかけました。Mは新調したばかりのヘッドホンをはずして、「(新しいヘッドホンは)ガイダンスの声がちょっと優しくなりました」と重要な情報を伝達しました。

そこにR子とF子も合流し、R子の案内で 4 人はいそいそと「カフェ グレ」へ。カフェ激戦区と言われる町田の駅前で昔からやっている、つわものカフェです。

F子とA子はコーヒー中毒なので、期待に胸が高鳴りました。

古いビルの二階のバロック音楽が流れる静かな喫茶店に、存在感だけですでにさわがしい 4 人がなだれ込み、水出しコーヒーのホット(F子&M)、水出しコーヒーのアイス・氷なし(A子)と順調にオーダーをしたところでR子が何らかの紅茶をオーダー。R子はコーヒーが飲めないのでした。

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じゃ〜ん

この水出しコーヒーがとてもおいしかった。A子感激。コーヒー中毒のF子とA子はおいしい、おいしいと連発し、「なぜ自分で淹れる水出しコーヒーはまずいのか」「甘みやうまみがまったく感じられず、へたをすると命の危険を感じる」「総じて、コーヒーのまずいのは命の危険を感じる」「だがそれでも飲みたい」と、コーヒーのおいしい喫茶店で「まずいコーヒー」という語句を連発。そうこうするうち話題は恐怖の『HiGH & LOW』プレゼン(主体R子、アシストM)へ。実はA子は一週間前すでにR子からの同様のプレゼンを受けており、「映画版の2だけ見ようかな」という気分にはなっていたのですが、この日同じセットが眼前で展開するに及んで、「もはや見ずに済ませる道は残っていない」ことに考えが及び、戦慄したということです。『HiGH & LOW』はドニー・イェンが 20 人、30 人と出てくる、一言で言えば和製『バーフバリ』のごとき勢いのある何かだそうです。A子はドニー・イェンのファンなので、「そのようなものがこの宇宙に実在するとはちょっと考えられないのだが」とも思っているそうです。

 

HiGH&LOW THE MOVIE2 / END OF SKY

HiGH&LOW THE MOVIE2 / END OF SKY

 

 

『HiGH & LOW』トークで喉が渇いたR子たちが二杯目の飲み物を注文したころ、Kaが登場。フランス帰りのKaは「太っちゃって、しぼらないと大変なんですよ」と言いましたが、傍目にはさっぱりわからないので、やはり体型が安定している人というのは小まめに調整するのだなと 3 年で 6 kg 増量したA子は学んだ。

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水出しコーヒーに生クリームとオレンジリキュールを浮かべた琥珀の女王

 

珈琲が呼ぶ

珈琲が呼ぶ

 

 

5 人は再度うねうねに移動し、そこでBa、Ku、Bi、Qo、Qu、P、Wと合流。12人そろいました。そして語り手は「頭文字表記+敬称なしがきつい」とこの時点で気づいたが、今更気づいてももう遅かったのです。

あげ出すとキリがないほど趣味も仕事もばらばらな 12 人が集まってどこに行くかといいますと、室内バーベキューです。向かう道すがら、A子が着ていたワンピースのボタンがうなじのところではずれていることを背の高いBaが発見、パートナーのKuに伝達、Ku、さりげなくA子の背後にまわりボタンを留めるという見事な連携プレーによりA子、救助され喜ぶ。準備万端、BBQに突入しました。

お店は、飲み物とサラダ、ごはん系のものなどがビュッフェスタイルになっていて、鉄板で焼くお肉と野菜だけ店員さんに持ってきてもらうという形式でした。これがたいへんに自由で良かったのです。みんな大人なので、自由に自分の飲み物とサラダなどを取りに行き、いざ肉へ。残念なことにこの時間帯の写真はいちまいもありません。なぜなら肉を食べるのに忙しかったからです。サムギョプサルを食べながら「サムギョプサルって何?」と言うA子たち。「肉は食べるのにひとくろうあるからその分カロリーを消費できるはず」「牛は野菜を食べているから野菜」といった文言飛び交うなかむしゃむしゃ肉を食べる 12 人。趣味人が集まっているので、話題は多岐にわたっており、 しゃべって食べていたらあっという間に二時間経ってしまいました。

ちょっと印象的な話題としては Base Ball Bear の「ELECTRIC SUMMER」がすごいという話を Perfume ファンと YMO ファンとピロウズファンとでしたこと。A子は生活圏にロック好きがいないので、「『ELECTRIC SUMMER』すごい」と発音したのはこのときが人生初でした。A子感激。


Base Ball Bear - ELECTRIC SUMMER

そんななか、R子がBiに、日頃している妄想は何かと何の脈絡もなく突如尋ね、当然、Biは「えっ、妄想……はしないかな〜」と笑ったのですが、その質問を皮切りに「あ、言われてみれば……ってことはよく考えているかなあ」とそれぞれ定番の妄想セットを告白しだす展開に。個人情報保護の観点から、ここはA子のものをあげるに留めます。

〜〜A子の「これであなたも必ず眠れる妄想セット」〜〜

  • 「インディーズ時代の Perfume に曲を書いて中田ヤスタカ&きの子コンビに負けた自分」をことこまかに想像する。
  • 高橋幸宏が探偵で、自分はそこの事務兼探偵補助で、高橋幸宏に「その図書館司書みたいな服装やめなさい」と注意されて「それ、セクハラですよ!」と言い返す。
  • いろんな俳優が「トラスト・ミー」と言っているところを想像し、お気に入りの「トラスト・ミー」を探す。ミシェル・ウィリアムズに「トラスト・ミー」と言われてもまったく信用できないが、ついて行かざるを得ないといったことを延々考えているとおねむになるの。

ここでBa、Ku、Ka、Mはまたね〜と帰路へ。

P、R子、Wが行きつけの日本酒のお店で一時間だけ飲もうと二次会へ。1000円飲み放題にすると、おちょこがひとつ出てきて、冷蔵庫にある日本酒どれでも、自分で注いでぐいぐい飲めます。おつまみは持ち込み可。酒飲みなA子感激。

おつまみはA子がこの日突然みんなに配った銘菓鶯ボール。おいしいよ。

植垣米菓 鶯ボール 126g×12袋

植垣米菓 鶯ボール 126g×12袋

 

自由に、飲みたい酒を飲みながらしゃべり続けるA子たち。

「宝くじがあたったらサッカーチーム買う」

「いや、それよりも自分の名前がついた○○カップを……」

「益子の……酒造(忘れてしまいました。外池酒造?)はいいですよ〜益子に行ったらぜひ!」

「ましこの『まし』って『損益の益』?」

「酒蔵に行って試飲したら、人間として買わざるを得ない……」

「在庫がね、増えますわね(在庫いっぱいありそうな微笑)」

「(ピロウズファンにとっては)横浜アリーナ広い!」

「(B'zファンにとっては)狭いよ〜〜何でドームじゃないの〜」

「(恵比寿のリキッドでもみくちゃになっている人にとっては)Zepp Tokyoガンダム側でも広い〜」

「好きなスケーターと目が合わせられないが今後は合わせて行く」

「意中の相手と撮った写真が『小学校の先生と大人になった卒業生』みたいになってしまうのは辛い」

あれっ、書けば書くほどわからなくなっていくのはなぜだろう。

とにかく。お酒はおいしく、おしゃべりは楽しかった。

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おいしかったの。とてもおいしかった。

そして解散。

次はチーズかな。それとも牡蠣? などと言いながら帰路につき、お風呂入って寝ました。

楽しかった。

今後ともよろしくお願いいたします。

と、A子は思いました。