プール雨

幽霊について

帰省はつらいよ

家族っていうのは他人には理解しがたい謎の習慣の積み重ねとルールでできており、家族間のヒエラルキーも固定されているので、もう家を出て何十年も経っている私が一年にほんの四、五日帰ってきて掃除したり、あれこれ言ったりするのは間違ってる。じっとしてるのが正解なのよね。でも掃除しないことにはまず自分一人の居場所がない。それから、掃除でもしないことにはこの家に四泊もできない。間が持たない。でも掃除しても一日と持たないだろうから、全くの徒労で、ちょっとした拷問になっているのだった。セルフ拷問。
無秩序がほんとにきつい。無秩序、きつい。この家は「とらさん」だけでできてて桜やひろしがいない。でも彼らからすればふらっとたまに帰ってきて、ああだこうだ言いながら物をどんどん捨てる私こそがとらさん。たまには帰ってきて欲しいけど「たまにでいいな」って感じだ。