プール雨

幽霊について

クレームや異議申し立てに対する偏見の映像化

 ルミネの宣伝、あれは「むかっ」ってくるように、見た人を不快にさせるようにつくってあると思う。

 まず、まわりが颯爽としてるのに、あの二人だけ浮いた格好で入っていくでしょう。あの時点で、あの二人共が「変な人」として演出されているか、あるいは待遇に格差があることがわかる。

 それから、もう一人の主要登場人物、巻き髪の女性は、ひっつめの女性より、容貌が地味な人がキャスティングされているし、少なくとも、さえない人として演出されている。あの人がぴかーっと光って出てきたりしたら全然違うんだけど、そうじゃないじゃない。

 どういう立場の人が見ても「むかっ」とくるように構造ができてると思う。日頃「やっぱ女はかわいくないとな」と職場で言っている男の子も、「やっぱり女子はかわいくないとね」と巻き巻きしてる女の子も、「いや、仕事に行くんですから」とひっつめている女の子も、みんな「そんなことを考えている連中は戦力外」っていうメッセージがかくれてる。

 更に、ルミネの客層に対する酷薄な視線も見え隠れしている。主要登場人物三人とそれ以外の人たちがまったく別種の人として演出されていて、三人に対する作り手の冷たい視線を感じる。

 あのCMが一番言いたいのは「うるせえよ」なんだとしか思えない。三人の背景でさっさと働いている颯爽とした人々の姿から、「他人の話なんか聞きたくない」っていう本音が爆発してる。