プール雨

幽霊について

サンキュー、シネマート六本木


 
●6/10
美少年の恋 [DVD]
 
殺人の告白 [DVD]
 
ドラゴン 危機一発’97 [DVD]
 
●6/13
作戦 TheScam [DVD]
 
義兄弟?SECRET REUNION? [DVD]
 
6月14日でシネマート六本木が閉館になりました。この映画館はアジア映画をたくさんかけてくれる、私にとっては希望の星のような場所でした。古いエレベーターは可愛らしく、地下に向かう階段は微妙に長くてどきどきさせてくれ、ロビーが広い上に座る場所がたくさんあってゆったりできるしそこでごはん食べても怒られない。そんな「理想の映画館」と呼ぶにふさわしい施設を備えていました。特に、スタッフの方々の優しさや細やかさにはちょくちょく感激していました。指定席を取るときにちゃんと周りに人がこないように互い違いに席を取ってくれるとか、その程度のことではあっても毎回のことなので嬉しかったです。
6月10日、「殺人の告白」の幕が上がるのを廊下で待っていたとき、「今度80歳になるの」という女性とお話しました。彼女は若いころ中国にいたので、ついに日本に親しみを感じることができず、中国映画や香港映画、台湾映画をかけてくれるシネマート六本木には足繁く通っていたと話してくれました。最近は韓国映画のロマンチックさが好きで、ふらっと映画館を訪れては「何かいいのやってるかしら」とスタッフさんに尋ね、案内してもらうことも多かったそうです。彼女の話に聞き入っているうちに思いがけず時間が経っていたようで、スタッフさんが「お客様、どちらの映画をご覧になりますか?」「まもなく上映です」と迎えに来てくださったことまで含めて、良い思い出です。
この日見た「美少年の恋」、これはもうスクリーンで見ることもなかなかないだろうと思います。香港のアップダウンの多い街並みの、坂や階段で佇む主人公たちがとても愛おしく感じられる優しい映画で、ここで見られて良かったです。ドニー・イェン祭りも参加できたし。
香港映画が好きで通った映画館だったので気づかなかったのですが、韓国映画のブームに大きく一役買った映画館だったのですね。ラストシネマートのラインナップを見て、今更ながら知りました。日本での韓流ブームは外から押し流されるようなかたちで下火になってしまいましたが、この時見た韓国映画はやはりどれもしっかりとおもしろかったです。「殺人の告白」と「義兄弟」は気にしつつ見逃していたから、スクリーンで見られて大満足です。どっちもおもしろかったなあ。パク・ヨンハは今回初めて見たんですけど、感じの悪くなりそうな役をやってもそうならないクリーンさとかあたたかみがあって、魅力的な人だったんだなと思いました。
14日の最終日は、映画の方は満席で見られないかなと思って、友だちと一緒に訪ねてしげしげと建物を眺めたり、シネマート脇の階段を意味もなく降りてみたりしました。この日は、シネマート新宿の支配人が六本木のたすきを引き継ぐために新宿から走ってくるという謎のイベントがあり、それを見届けることができて嬉しかったです。
映画「ジャージー・ボーイズ」で主人公が「街灯の下で4人で声を合わせた瞬間、あの瞬間が最高だった」と微笑みながら言うのですが、シネマート六本木周辺ではそういうことがちょいちょいあったんじゃないかなあと思います。私もありました。シネマート六本木があって、良かったなと思います。