プール雨

幽霊について

『リミット・オブ・アサシン』

この、特段新鮮味のないタイトル(原題も五十歩百歩)、どこかで見た感じのあれこれ。でも見てきましたよ。へとへとのイーサン・ホークがくたくたになる映画と聞いて、見て参りました。慌てて。午後ローで楽しみにしていた「ロスト・バケーション」をころっと忘れるほど慌てて。だって、来週にはもう一日一回とかになってそうなんだもの。

想像以上に始まりは午後ローでした。だがしかし、イーサン登場で「これは何の何?」とわけがわからなくなります。
でも結構おもしろいですよ。午後ローでまた見たい。
今回、イーサン・ホークがそうは言っても名優だということを逆に、むしろ逆に思い出しました。この人はお年寄りと一緒にいると一緒に老け込んで、若めな人と一緒にいると若めになって、ひとつの映画で年齢に 15 歳くらい幅が出ておもしろいです。声もいろんな声を出していて、ここんとこ作り込んだ声を聴いていたので、「あっ、久しぶりに地声っぽい声聴いた」という気持ちになりました。
というわけで話がよく、わからないってほどのあれではないのですが、たぶんよくつかんでいないと思いますし、あのラストはどうかなあという気もしないでもないですが(フェミニズムの文脈で見たときにイーサンホークが醸す、ちょっと特異な感じが味わえていいのかなあ)、映画界という大河でゆらゆら揺れる小舟のようでいて、結構全然沈まないイーサン・ホークを堪能できて満足です。書き添えますと、ファンです。おすすめです。ニコラス・ケイジの新作と二本立てでいかが。

 

【今日良かったイーサン・ホーク

  • メガネ。
  • 女性に声をかけようとして手にしていた新聞をたたんで、山側部分をきっちりきっちり指でさすっている。
  • 裏切られた女性が「てめこんにゃろーイーサンのくせに生意気だぞ!」みたいな剣幕。
  • うっかり銃を向けられたときのリアルさ。
  • 時々死に神みたいになったかと思うと、逆に死に神を見た人みたいになる。
  • 前髪が落ちると昔を思い出すわ。