プール雨

幽霊について

『テンタクルズ』

 『テンタクルズ』(1977、オリヴァー・ヘルマン)を拝見しましたわ。
 トンネル工事のための何らかの調査を違法なレベルで行った(目的はいまいち不明)影響で、海の中ではお魚さんがスケキヨ的なことになるという大異変が。そして巨大蛸(この辺の相関ないし因果関係は不明)が食糧としてのヒトの味に目覚め、骨髄までちうちうと吸ってきれいに食べつくしていた。海中になにかがいる……ということに気づくジャーナリスト、海洋学者、海洋警備のひと。

 映画の前半はジャーナリスト、ターナーが牽引。建設会社の副社長だかなんだかを追い詰める。その最中、シャチと友情を結ぶ海洋学者にターナーが調査を依頼……? したあたりから? ちょっと話が見えなくなる。まず、学者とシャチが戯れるところを見てターナーうっとり。必要以上にうっとり。学者は妻を蛸に吞まれてしまうので、「復讐」的な話になるかと思いきや、シャチとの友情を振り返り、シャチに蛸と戦わせ、蛸を倒したら、お前らは俺の元から去ってもいい、自由になれ……的なことを語る。
 シャチの引力がすごくて意味不明になる物語。
 平素より「サメもの」を見ていて、「今、この海でシャチは何をしているんだかな」と気になっていました。シャチが最強のはずなのに、サメに好き放題させているというのは不自然ではなかろうかと思っていた。
 わかりました。
 シャチ、強すぎて、そして美しすぎて、出したらシャチで作り手も演じ手も見る側も頭いっぱいになってしまうのですね。
 話は映画にもどりますが、音楽が不思議でおもしろかったです。♪てれれれれれ、てれれれれみたいなシンセの音が入ったら合図。「このストップモーション一体何」「このアメリカンジョーク、意味がわからんのだが」「なんで今こいつどアップになった」など、不思議満載な映画でした。