プール雨

幽霊について

高畑版『赤毛のアン』第 41 章「クィーン学院への旅立ち」

 『赤毛のアン』第 41 章「クィーン学院への旅立ち」を拝見しました。原作で言うと、第 34 章「クィーン学院の女子学生」前半に当たります。集英社文庫版『赤毛のアン』ではわずか 4 頁分のこの回、マリラも私もだいぶ感情がたかぶってしまいました。
 ついにマリラとマシューの元を巣立って、クィーン学院へと旅立つアン。そのために三人とも準備に大わらわ、というだけのことなのですが、これが大変。レイチェルにアンが都会に染まったらどうするの? と聞かれたときのマリラの「アンはそんな子じゃない」とどうしても声を荒らげずにはいられない感情のたかぶりや揺れが印象的でした。また、ミセス・アランとエミリー・ギリスに協力を頼んで夜会服を仕立ててもらうくだりでは、突然のマリラからの依頼にどれほどミセス・アランとエミリー・ギリスが喜んだかと思いました。マリラは敬虔なキリスト教徒だけあって、楽しむことや、だれか特定の人を愛することを罪深いことだと感じるようですが、そんなマリラから「アンのために夜会服をつくりたい」と相談されたときの彼女たちの驚きと喜びはいかばかりだったでしょう。
 結局、アン・シャーリーはこのマリラとマシューという慎み深い兄妹に、喜びや楽しみ、そして愛を与えてくれたのですね。アンもまた、マリラとマシューから愛を受け取り、「私はどんなに変わっても、いつまでもマリラの小さなアンよ」と言葉にするに至りました。
 次回、ミス・バリーんちで下宿しながら勉学にいそしむアン。マリラもマシューもレイチェルも、そしてダイアナもいないところで、アンはどうするのでしょう。早く先が読みたい&見たいのですが、来週までがまんです。