プール雨

幽霊について

星空のディスタンスを意識する

 ワクチンについては、自治体から今「待て」と言われています。「8 月に接種できる可能性がゼロではないが、まあ、9 月以降かな」という雰囲気です。

 そんなわけで、どうもワクチンなしでオリンピックを迎えるという前提で生活を回していくことになりそうです。「ワクチンなし」の部分は前から決定していて、「オリンピックを迎える」の部分については、できれば絶対に迎えたくないという気持ちです。そんな気持ちではありますが、「自主ロックダウン」くらいのことはしなくてはならない状況だというのが事実です。

 ぼんやりしていました。去年の今頃はビートルズひと組分相手との距離を保つことを意識し、買い物に行くのすら控えていたのに、今、平気でヨーグルトひとつ買いに出かけますもん。

 どうしてぼんやりしていたかというと「オリンピック、やんないんだよね?」という構えだったからです。「2021 年夏にオリンピックをやるつもりの 2020 年」にはどうしても見えなかった。GOTOキャンペーンもあったし、最初の緊急事態宣言下で新規陽性者が減った後も特にそこでがっと押さえ込むこともなくぼんやりと次の緊急事態に向かっていったし、どかっと海外から人を迎える体制づくりをしている様子が見えなかった。「これはもうオリンピック中止が決まっているんだな」とぼんやりしてしまっていました。

 2019 年には、「来年の夏はオリンピックで流通なんかも大変なことになるから、期間中東京を脱出しよう」という計画すら立てていたのに、このていたらくです。

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おや

 朝、起きると、カメラに「夕べ、ケーキをふたつずつ食べた」という証拠が残っていました。

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お花もようのケーキ

 なんということでしょう。

 しかも、思い出してみるに、このケーキを食べながらアルフィーのライブを見ていました。「星空の下のディスタンス 抗コロナバージョン」です。頼んでもいないのに録画されていました。ラッキー。これさいわいとしげしげ見てしまいました。なんと不思議な三人組なのでしょう。ギター三人、ボーカル三人、そして、なんか、ギターがぴかぴかと光っている人がいる……。軽やかな歌。不思議すぎて、ケーキをぼんやりと食べつくしてしまいました。

 ああ、ぼんやりしすぎている。

 ぼんやりしている場合ではないのに。

 こんなときに自分で自分を守る方法はないものかとヴァージニア・ウルフ『自分ひとりの部屋』を読み始めました。

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 冒頭ではウルフは、かたいプルーンをもそもそ食べながら、あるいは小川のそばでうなだれながら、あるいは間違って入り込んでしまった芝生の上でひらめきに出会ったような気がしながら、ドアが閉ざされることとそのドアに閉じ込められることとを考えていました。

紺碧の空一面に千の星がきらめいていました。神秘の世界にひとりで向き合っているような心持ちでした。人間はすべて眠っていました——うつ伏して体を伸ばして、黙りこくって。オックスブリッジの街路はひっそり静まり返っているようでした。ホテルのドアは、見えざる手が触れたかのように、ひとりでに開きました。明かりを灯してわたしを部屋まで案内してくれそうな雑用係も、起きてはいませんでした。それほどまでに夜は更けていたのでした。 (ヴァージニア・ウルフ『自分ひとりの部屋』片山亜紀訳 p.45 より) 

  それで、「よし、今夜はここで寝よう」と一旦目を閉じました。いい感じに眠れそうでした。しかし外からの無遠慮な音でぱっと目が覚めてしまい、しょうがないので、「どんな状況でも眠れるやつ」を読むことにしました。

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これです

 表紙に「パニクるな!」と書いてあることで人気の『銀河ヒッチハイク・ガイド』です。

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 「星空のディスタンス」と『自分ひとりの部屋』と『銀河ヒッチハイク・ガイド』で始まる自主ロックダウンです。宇宙からの視線を意識して生きていきます。

 

🌎 おしまい🌍