プール雨

幽霊について

「甲斐荘楠音の全貌」と近藤聡乃展「ニューヨークで考え中」を東京で見ました

東京駅

 東京駅丸の内北口改札からひょいっと行ける美術館、東京ステーションギャラリーの便利さ。この季節は特にうれしいです。

 今やっているのは、「甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性」展です。

ばばーん

 でろりとした感触で、日本画の中でも異彩を放っている甲斐荘楠音。ポスターにもなっている「横櫛」は歌舞伎の一場面を義姉がまねして見せたところに着想を得たそうです。今回はその義姉がポーズを決めた写真と、もう一枚、別の「横櫛」の計三枚を一度に見比べることができました。この絵以外にも、モデルとなった写真(楠音自身が演じた写真も)が一緒に公開されていたのですが、どれもあまり似ていないのが共通していました。モデルに生き写しの絵というよりは、もっと抽象的な「このライン」「この色」「この質感」「この情感」といった、奥の方にあるものを模索し続けたようです。似たようなポーズの下絵を何枚も描き、似たような構図の絵を何枚も残し、未完成の絵もちょこちょこある。スクラップ帳は人間の体と顔でいっぱい。きっと、つかみたい人間の体と顔のラインがあったのだろうなと想像しました。

 おもしろい展覧会、おすすめです!

ふむふむ

 ところで、東京駅にはカレーゾーンがあるのをみなさまはご存じでしたか?

八重洲地下街です

 この日はカレーを食べたい気持ちだったので、名店とうわさの「銀座スイス」に行きました。

かわいい

このジョッキでビールを飲みたかった

 欧風カレーだそうで、野菜がみんなとけていておいしかったです。

チキンカツもおいしかった

 涼しくてカレーの香りがするここにずっとずっと座っていたいと思いました。

 そうもいかないので勇気を出して電車に乗り、飯田橋に移動しました。そこからすこし歩いて、ミヅマアートギャラリーで開催中の近藤聡乃展へ。

ばばーん

じゃじゃーん

 漫画『ニューヨークで考え中』が好評の近藤聡乃の絵はとにかく線がきれい。原画の横には、その漫画のために新しく描かれた絵が。

すてきです

 下の、机に向かっている画家の壁を再現したような掲示もありました。

豪華

 引き出しの、椅子の、階段の、猫の、そして人のラインが「これ以外にない」というところでさらっと描かれていて、柔らかいのに重みがあってぞくぞくしました。

 『ニューヨークで考え中』も引き続き楽しみだし、先々楽しみな作家です。

 おすすめです!

暑い日でした

 ここから神楽坂方面へ向かうと、「いやしかし暑いな、もう、飯田橋から帰っちゃおうかな」と諦めそうになるタイミングで近代科学資料館が立ち現れます。ここで涼んで、理性をとりもどします。

建物がきれいなのはいいことです

 神楽坂はカフェやレストラン、雑貨屋さん、書店などふらっと立ち寄れるところがたくさんあって、歩く甲斐があります。

 でもさすがにこの日は暑かったので、お目当ての喫茶店、トンボロに一直線です。

すずしそうです

 「こんにちは」と中に入ると人がおらず、シーンとしていて、不思議な気持ちになりました。

人がいない

 そこに店主の方が現れて、私たちを見てちょっとびっくりされていました。なにかが想定外だったのでしょう。わかりません。

アイスコーヒー

コーヒーゼリーにアイス

 涼しいし、店主の方はほっといてくれるし、コーヒーおいしいし、もうここから出たくない……

 という気持ちをばさっと断ち切っておうちに帰りました。

一度入ってみたい建物

 神楽坂、涼しくなったらまた行きたいです。

🎨 おしまい ☕