みずからの主であるみなさま、おはよう!
日曜日ですね。
みなさまは今日、どうなさるの?
ざべすの城は、日曜日にもかかわらず稼働中で、日曜日らしさがありません。なぜそうなったかというと、平日に泊まりがけで遊びに行ったからです。道理なのです。
これはせんから決まっていた予定で、そのためいっそう、天気が問題となっておりました。
運悪く、天気予報で二日とも雨になっていたのです。
これはこまったことになりました。なぜなら、旅行のメインは黒部峡谷鉄道トロッコ電車に乗ることだったからです。
雨夫は「雨が降るなら予約をキャンセルして、どこか別のところに遊びに行かないといけないかなあ」と心配していました。ざべすも心配でした。トロッコで急峻なところを行き、雨にふきつけられるのはいかにも大変そうだからです。なのに雨子が「トロッコに乗らなければ意味がない」の一点張りで、「多少、降っても乗る」とまで主張するので驚きました。
雨子は、本気で法力を効かせるつもりなのだなと思いました。
雨子は時折、法力で天気を晴れに変えることがあり、これまでもざべすたちは「雨子がんばってね。雨が降ったら嫌なのよ」とお願いしてきました。
旅立ち当日、ざべす城の辺りでは虹が出ていました。これは吉兆ですか? と雨子に尋ねると、「虹が出るということは、大気が不安定ということ……」「万葉集には虹の用例がきわめてすくない……」などと無表情に言いました。
新幹線に乗ると雨子は外をじっと見て、「雲が近い(低くたれこめているという意味)……」と繰り返しました。なのに「トロッコには乗る」と言います。そして、大宮、高崎、軽井沢、長野と歩を前に進めるなかで、ついに雨が降り始めました。雨子は「力及ばず申し訳ありません」などと気弱なことを言い、それでも「トロッコの予約をキャンセルするのは時期尚早。その場に立ってから決めればよい」とトロッコに関してだけは譲らないのです。
ざべすはちょっと、こわいと思いました。
この旅がこの後、どうなったかは、明日から念入りにご報告いたします。
ではまた明日。
よい日曜日をおすごしくださいませ。
🚃 つづく 🚃