プール雨

幽霊について

「リピーテッド」「追憶と、踊りながら」「イニシエーション・ラブ」「ザ・レジェンド」「アナーキー」「マッドマックス」「海街 diary」

●6/1
【映画パンフレット】 リピーテッド 監督 ローワン・ジョフィ キャスト ニコール・キッドマン コリン・ファース  マーク・ストロング  アンヌ=マリー・ダフ
邦題「リピーテッド」。朝目が覚めると記憶が消えていて、隣には見知らぬコリン・ファースが眠っていてバスルームには二人の婚姻を示す写真やメモが貼り付けてある。そして、見知らぬマーク・ストロングが医師として手助けしてくれているというお話。「というお話☆」ではもちろん済まない。が、どことなくそれで済んでしまいそうな雰囲気もあるクリスティーンでした。かろうじて思い出せるのはクレアという女友達とアダムという息子のことだけで、夫のことは全く思い出せない。そこにはもちろんサスペンスの要素もあるんだけど、どうもクリスティーンの性格というのも作用しているような感じで、不思議な人物設定だった。異性愛者ではあるけど、相手が異性となると対応が雑になる人なんだなあ、という感じで特にはらはらすることもなく見てしまいました。
 
Lilting 追憶と、踊りながら [PAL-UK]
邦題「追憶と、踊りながら」。恋人を失った主人公と、息子を失った女性が、それぞれ "I miss you." ではなく "I miss him." と口に出せるようになるまでの物語。二人は言葉が通じないので、通訳を介して語り合うのだけど、意思の疎通があるのかなないのか。もしかしたら、同じ言語を用いていたとしても通じ合わなかったのではないかと思うくらい違う二人が、衝突はあるものの、特に互いに我慢を強いたりするわけでもなく、通い合っているのかいないのかわからない応答をしあう姿がとても良かった。
言葉を大事にする作家陣によるチームらしく、映画ではなかなか見ることのできない、言語的にほっとする瞬間が多々ありました。
 
●6/8
イニシエーション・ラブ -あの頃カーステから流れていた80'S BEST HITS-
Side A は合コンで出会って恋をしてデートを重ねてそしてクリスマスという、恋愛の楽しい段階を追ったもの。Side B は付き合うことによって生じる様々なトラブルで恋が様変わりしてしまう苦い面を追ったもの。
知り合って、デートして、告白して、相手のためなら何でもできると思うような瞬間があり、そしていつしかそれがくすんでいくというごくごく当たり前の恋愛物語を当たり前じゃなく見せるモンスター、前田敦子! という感じでした。まゆ役の前田敦子の凶暴なまでのかわいさにずっとびっくりしていました。
仕掛けは無理があるように思いましたし、この話ならまゆは「苦役列車」のときみたいな雰囲気でやった方が驚きが増したんじゃないかなと思いました。
 
●6/14
OUTCAST
邦題「ザ・レジェンド」。これを見た後、自分はニコラス・ケイジをどう思っていたのかよくわからなくなって、人からすすめられた「アダプテーション」を見てみました。大好きでした。思わず「アダプテーション」の DVD を買ってしまいました。
世界のみなさんにはアンディ・オンをもっと大事にしてほしいと思います。
 
●6/22
アナーキー [Blu-ray]
邦題「アナーキー」。「アナーキー」で検索してもおいそれとはこの映画にたどりつけない。公開中はともかく。ミラ・ジョヴォヴィッチが単に悪いお后様をやっていて、特にそこに現代的な味付けであるとか解釈であるとか、そういったものが何もなかったのでもったいなかったです。ミラ・ジョヴォヴィッチをつれてきてそれはないんじゃないかなあ。イモージェン役のダコタ・ジョンソンはとても良くて、今後、彼女には注目しなくちゃと思いました。
 
●6/24
メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ-ド
リンクのメイキング本を買うべきかなあ。
完璧な映画。マックスとフェリオサが最初にすれ違い、そして対峙して、共闘して、たどりついたその先でしたマックスがした決断の速さに味わったことのない感動を味わいました。ごくごく素朴な、行って帰る話なのに、どの登場人物も登場した瞬間から、どういう人物なのかぱっと納得できてどこにカメラを合わせても映画が生まれそう。どの人も好き。極音上映で見たのですが、それもあってとても楽しかった。
フェミ映画だから嫌だなんていってる人はまず、見たらいいですよ。
 
●6/28
海街diary オリジナルサウンドトラック
原作が漫画なので、漫画っぽい言い回しがちょこちょこ出てくるのに閉口しました。セリフがなくても十分な箇所にもどんどんセリフが入ってくるし、不自然な登場人物配置、不自然な展開もちょこちょこありました。
主人公たちの大叔母(樹木希林)や母(大竹しのぶ)が出てくると、それまでしんと張っていた水が底の方からぐわっと混ぜっ返されるような動きがあって、そこはとてもおもしろかったです。
また、三女のちか(夏帆)は漫画と佇まいを変えていたのがとても良かった。ああ、この人はここでずっとこういう風に暮らしてきたんだなというのがすーっと伝わってきました。長女(綾瀬はるか)と次女(長澤まさみ)の、似ていないけどどこか似ていて、いざとなったら協力しあえるという雰囲気の姉妹描写も良かったし、俳優さんたちは良かったです。
この監督にしては、台詞で説明する箇所が多くてそれが不満でした。姉妹で丘の上から街を見渡して「鎌倉に似てる」と言うけれど、そのときに彼女たちが見ているものは映さないし、亡くなった父の今の奥さんを「あの人、うちらの母親に似てたね」というけど、全然似てないし、台詞でぱっと言って「そこはそういうこととして観る」ことを誘導するような演出にかすかに不愉快さを覚えました。