プール雨

幽霊について

タイトルがかっこいい『Dの複合』

ひところのサラリーマンの知的レベルを上げたと言われる(こともある)松本清張。生まれて初めて読みました。ふぁ〜〜〜〜。びっくりした。

「そうなんですの。わたくしは何でも計算してみたくなるんです」「ははあ。すると、数学には特に興味があるんですか?」「正式な数学はむずかしくてわかりません。でも、こうしてすわっていてお宅の障子の桟の数がいくらあるか、また、お宅の玄関から見て五分間に何人ぐらい通行人があるか、そんなことにはとても興味があるんです」「おどろきましたね」

この、「何でも計算してみたくなる」人が、意味ありげな純和風の美人なのです。すごく、意味ありげに登場するの。この人がまさか……
話は基本的に作家と編集者のバディもので、巻き込まれ型。「どうなってんだ、これ?」と不安になりつつ最後までどんどん読めます。タイトルの意味がわかったときには「ふぁ……っ!?」となりました。いやあ、ほんとに、一昔前にはやった本、たまに読んでみるものですね。

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