プール雨

幽霊について

失せ物

 ちょこっと買い物に行って、部屋の鍵をなくしました。
 うちのマンションは鍵をなくしたらもう入れないスタイルになっておりまして、雨夫さんが帰ってこないかぎりは部屋に入れないわけで、こりゃ困ったことになったなあととりあえず本屋に行きました。そこで何か本を買って、喫茶店で読みながら彼を待とうという算段です。
 でも考えたら、このところ雨夫さんが、九時よりまえに職場を出たことはなく、これはそんじょそこらの本では時間がつぶせない、そうだ、何かドリル系のものにしよう、と探して見つけたのが、「これで古文書が読める」的な本で、書き込みながら変体仮名やくずし字が覚えられるもの。これをやりながら待つしかない……と悲劇的な気持ちでいたところ、♪テレテレッテレー! 雨夫さんたら「ぼくつかれたもう帰る」と! やったー、助かったーーー!
 というわけです。